川原 俊明弁護士
私たちは、部屋を借りたり、電化製品を買ったり、スーパーで買い物をしたり、いろいろな契約を結んで、生活をしています。
契約を結ぶ際、私たちは、契約の内容を理解して、どのような利益や負担が生じるのか判断して意思決定します。
しかし、認知症の方や知的障害のある方のように、適切に意思決定をすることが困難な場合があります。
このような場合、ご本人や、その親族等からの申し立てにより、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあると裁判所が判断すれば、後見が開始され、成年後見人が選任されます。
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができますので、例えば、成年被後見人がひとりで訪問販売の勧誘を受け、高額な契約をしてしまったとしても、後から、本人や後見人が取り消すことが出来ます。
ただし、日用品の購入その他日生活に関する行為は取り消すことは出来ません。
その他、例えば、施設に入る必要がある、介護サービスを受けたい等、必要な契約があれば、後見人が被後見人の意思を尊重して、本人の代わりに契約を締結することができます。
このようにして、被後見人の意思を尊重しながら、安心して社会生活を営むことができるようにするのが成年後見制度です。
ご家族の中で、意思決定をひとりでさせることにご不安がある等のお悩みがあれば、ご相談ください。