2017年05月07日

◆我が国の企業社会は平等で機会均等である

前田 正晶



一寸微妙な話題になるかも知れないが、目下、ヤマトホールディングスが
諸般の事情に鑑みて、宅急便の運賃の今年9月からの値上げを慎重に検討
中と報じられている。

個人的には無理からぬ事態であると思って眺めている。その実務部門であ
るヤマト運輸の長尾社長がその考えをテレビで淡々と述べていた。

その画面には社長の出身大学が高崎経済大学と掲示され、入社後は現場を
経験された上で、そこから昇進されてきたことも知った。

ヤマトホールディングスは資本金が1,272億円で、16年度の売上高が1兆
4,000億円超の大企業である。その大企業の社長の山内氏は金沢大学の出
身とあった。

ここからが誤解を招くかと危惧する微妙なことになるかと危惧するが、こ
の人事を見ると我が国の企業社会の人材の活かし方が如何に平等で機会均
等であるかが解るのだ。

それは、アメリカのような資本主義社会におけるヤマトホールディングス
の規模の会社でCEO乃至はexecutiveまたはsenior vice president陣は、
ほとんどIvy leagueまたはそれに準じる私立大学のMBA等で固められてい
て、地方の州立大学出身者がそこまで上がってくることは極めて稀であ
る。即ち、ある程度以上の階層に属する良家(裕福なと言っても良いだろ
う)の子弟が圧倒的に多いのである。

この辺りを私は「良い家(アッパーミドル等)の子弟に生まれた時点で勝
負が付いてしまう傾向がある」と指摘したものだった。より具体的に言え
ば、嘗ては年間500万円、現在は600万円に近くなったと言われる私立大学
の授業料を含めた学費を難なく負担出来るような家庭に生まれた者が有利
だという意味だ。

一方の我が国では多くの上場企業やそれに準ずる会社を見ていても、昇進
して重要な地位にある方々にはアメリカのような学歴による差というか、
アメリカのような「スピードトラック」のようなシステムもなく、懸命に
努力され、よく勉強され実績を挙げられれば、それなりの報いがあると見
えるような、アメリカと対比すれば平等で機会均等な人事が行われている
と思って、アメリカ村から眺めてきたものだった。

アメリカにも言わば立志伝中の人物のような異例の出世を成し遂げた例を
みてきたが、全体に占める率は低かった。



私は日本とアメリカの何れの制度というか仕組みが良いかは断定する気も
ない。解りやすく大胆に言えば「向き・不向きの問題だ」と思うのだ。だ
が、出自や 学歴(≠出身大学)を問わずに本人の努力と研鑽次第で昇進し
ていける人事制度があ ればこそ、アメリカのような報われない中間層が
不満を抱えながらおざなりな仕事し かしないような弊害をもたらしてい
ないのではないのかと思うことすらあった。

私はアメリカのそのスピードトラックなどとは無縁の中年の事務職員がポ
ツンと言ったことが忘れられない。それは若くして事業本部長に昇進した
年下の者を 指して「彼奴は好き好んで、成りたくてあの地位に登たの
だ。俺はそんなことは望 んだこともない。

その職責と収入に見合う仕事をする為に朝は早くから出勤して動き 回
り、世界中を飛び回り、土日を犠牲にしてまで働きたいなどと考えたこと
もない。 自分の能力とそれに見合った収入が維持出来れば生活が成り立
つのだから、それで十 分」だったのだ。

トランプ大統領を支持する一票を投じたのは、彼のような階層に属する者
たち及びそれ以下の白人層があったと聞くが、何となく良く分かる話だっ
た。さて、 貴方は我が国の企業社会の在り方にご不満な点があるでしょ
うか、それともアメリカ 型を望まれますか。


        
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