2017年05月07日

◆最新運用実績に基づく太陽光発電償還年数

酒井 勝弘



3.11大震災翌年の2012年7月1日新エネルギー特措法が施工され、家庭用太
陽光発電余剰電力の売電価格はkWh当たり当初42円であったが、年々低下
し昨年は33円に落ち込み、それに伴い太陽光発電の新設数は近年顕著に減
少している。

こうした状況下、高校の同級生N氏(平塚市)は自宅新築に合わせて太陽光
発電設備を設置し、昨年1年間の運用実績に基づいて償還年数を予測評価
した。

設備の主要仕様や特徴として、@出力(公称値)4.8kW(京セラ製太陽電池モ
ジュール KHM220P-3MD6CG、パワーコンデショナー(PC) PVN-552)、A2
世帯住宅(1階はN氏夫婦、2階は娘さん)で太陽光設備を共用、B高効率
ヒートポンプ式給湯器(SRT-W37)を新設。

新築前の給湯器はガス燃焼式であったが、新築時にはエアコンと同じ原理
のヒートポンプ式給湯器を新設した。この場合、電力はコンプレッサーに
のみ使用し、外界空気が保有しているエネルギーを使用して昇温するので
エネルギー消費効率(生成熱量/消費電力)は1を超え5程度に達する。

償還の対象としては、通常は太陽光パネルやPCなど太陽光発電設備一式
であるが、設置側からすれば、新設の給湯設備も含めて償還できることに
関心度が高い。一方運用実績データにおいて新設した給湯設備の高効率効
果は、自家消費電力に反映加味されてくるので、むしろ給湯器も償還の対
象に含めることに合理性があり、ここでは給湯設備も含めた新しい概念で
の償還年数を評価する。

この新概念の償還年数は、給湯設備も含めない場合より増加することは当
然であるが、上記のヒートポンプ方式のためさほど増加しないことが期待
され、果たして償還年数は10年を切るかどうか興味深いところである。

償還年数(S年とする)に関係する項目として、1)太陽光パネル設置費
A=1,722,500円、2)給湯設備費 B=450,000円、3)保守費
C=17,280×S円(3600円/kW・年:資源エネルギー庁資料)、4)設置前
(2015年)、N氏夫婦と娘さん2世帯の年間の電気、ガス、灯油代
D=223,200円、5)売電収入(150,612円)から自家消費分(買電消費
76,686円)を差し引いた実収入 E=73,926円。

太陽光設備設置後は、項目4)のD円は電力回避額で、見かけ上の収入と
なるので、償還年数Sは次式で決まる:S=(A+B+C)÷(D+E)。C
は償還年数S自身を含むので、Sに関する方程式を解いて、Sは次式で計算
される:S=(A+B)÷(D+E−17,280)=(1,722,500+450,000)÷
(223,200+73,926−17,280)=7年9ヶ月。因みに保守費を考慮しない場
合、上記最初のSの計算式でCを0とおいて、S=7年4ヶ月。

こうして給湯器を含めても7年9ヶ月で償還できることになり、これは発
電設備設置のモチベーションを誘うもので興味深い結果である。償還年数
が小さい理由として以下のことが考えられる。

@太陽光設備設置費単価は1,722,500円/4.8kW=358,854円/kWで、近年大き
く低下している。A売電価格は低下したとはいえ昨年33円/kWhで、東電
から購入する買電価格(平均的に約26円/kWh)より高い。加えて新エネ
ルギー特措法(FIT法)のおかげで売電価格は長期10年間、契約時の価格に
固定されている。

B新築前の燃焼式給湯器に変えてエネルギー生成効率の高いヒートポンプ
式給湯器を新設したこと。C太陽光設備を2世帯共用型としたこと。最もコ
ストのかかる太陽光パネルは基本的に世帯数に比例で、通常の1世帯より
大きい4.8kWであるが、その他PCなどは1世帯分で節約できる。

D出力4.8kWは所謂公称値であるが、夏日快晴時には6kWの時があり、
メーカーとしては公称値を保証するスタンスで設計しているようで、この
事が償還年数を下げる潜在力なっていることはユーザーにとって喜ばしい
ことである。

償還年数が10年を超えると、設置のモチベーションは低いであろうが、10
年以下、特に今回のように7年9ヶ月となると、モチベーションの向上が
期待される。例えば50歳代で設置する場合、定年を迎える60歳代以降は、
クリーン電気を自家生産し地球環境への付加価値を兼ねながら、生涯を終
えるまでの20年程度新たな収入源となる。

                   (大学名誉教授、本庄市)


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