川原 俊明(弁護士)
「信託法」という法律をご存じでしょうか?あまり、聞き慣れない法律かと思います。
信託とは、財産を有する者(委託者)が、自己または他人(受益者)のために、当該財産の管理・処分を管理者(受託者)に委ねる仕組みです。他人のために財産を委ねるのか?と思われるかもしれませんが、それを生業としている会社等から見たら、お客さんは「他人」になりますので、このような定義となっています。
信託には、@信託契約による信託については、信託契約、A遺言による信託については、遺言、B自己信託による信託については、信託法3条3号に定める書面または電磁的記録によってする意思表示の3類型が定められています。
では、受託者が委託者の財産(信託財産)の管理をしている際、受託者の債権者としては、その信託財産も受託者の財産として、強制執行できるのでしょうか?
確かに、信託財産は、形式的には受託者に属します。しかしながら、受託者は、信託財産の利益を享受する主体ではなく、実質的には受益者がその利益を享受します。そのため、信託財産は、受託者の固有財産から区別され、受託者の債権者からの強制執行等が制限されています(信託財産の独立性)。
その他にも、信託ならではの定めがたくさんあり、活用次第では、資産形成に寄与するものと思われます。
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