2007年06月16日

◆敗戦の既定路線化


                        渡部亮次郎

いよいよ迫った参院選挙。何とか過半数割れを避けて安倍政権の長期化を狙う自民党だが、条件があまりに悪すぎる。加えて当事者たちは肌で感じていないようだが、特別地方税の2−3倍増は年金生活層の物凄い反発を買っている。

とうとう刃傷沙汰まで起きた。似たようなことが全国各地で起きるような気がする。

<増税に怒り、市職員に刃物=「死ねというのか」−63歳男を逮捕・新潟

住民税増税について説明に訪れた市職員にナイフを突き付けたなどとして、新潟県警五泉署は14日、公務執行妨害の疑いで、五泉市二ツ柳、無職貝沼寿教容疑者(63)を逮捕した。

調べによると、貝沼容疑者は同日午前10時前、定率減税廃止で今月から引き上げられた個人住民税について、説明に訪れた市税務課の男性職員2人に対し、「おれに死ねというのか」とナイフを突き付けた上で、説明書類を切り裂くなどして、職務を妨害した疑い。職員にけがはなかった。>6月14日21時31分配信 時事通信

さらには官房副長官当時の安倍総理が問題のコムスン会長と会食していた問題。法的に追及される問題では無いとしても老人にとっては裏切られた印象を与えて、これも不利。

そこで総理周辺ではもはや打つ手無しの諦観が先に立ち、敗戦を早くも既定事実に据えての政権維持工作に乗り出したように見える。しかし、党内が果たしてそれを許すほどガタが来ているだろうか。

<民主党は政府批判を強めている。鳩山幹事長は13日、党本部で記者団に「政府・与党の年金記録漏れ問題への対策は後手後手となり、安倍首相に対する(国民の)信頼は完全に失われた」と強調した。

民主党は13日発表した参院選公約の重点となる「政策10本柱」の筆頭に、年金問題の抜本対策を据えた。目玉は保険料の納付履歴を記載した「年金通帳」制度の導入だ。同制度では、約1億人の年金加入者・受給者全員に交付し、納付額や受給までの年数、見込み受給額などのデータを本人がいつでも確認でき、記録漏れ再発を防げるという。

また、すべての年金を一元化し、基礎部分と所得比例部分の2階建てにする案を明記、基礎部分を税でまかない、保険料未納などの問題が起こらないなどと強調した。

これに対し自民党は「民主党は『消費税は上げない』とも言っており、理解できない」(中川政調会長)と批判し、民主党側が「自民党は2009年度までに基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるための財源確保について、明確な道筋を示していない」と切り返すなど、双方の応酬は激しさを増している。>(2007年6月14日11時57分 読売新聞)


<小泉前首相「おれにそんな金はない」 年金記録紛失問題で

小泉純一郎前首相は13日夜、都内の日本料理店で開かれた自民党新人議員の勉強会「新しい風」と二階派の懇親会に出席し、「2年前の郵政解散はむちゃだったが、何かが変わる可能性のために解散した。参院選に負けても政権が変わるわけではない。いちいち一喜一憂せずにやればいい」と安倍晋三首相にエールを送った。

同席した中川秀直幹事長が、年金記録紛失問題で歴代厚相などの給与返納に言及すると、小泉氏が「おれにはそんな金はない」と切り返す場面もあった。> 産経Web最終更新:6月14日8時0分

「参院選に負けても政権が変わるわけではない。いちいち一喜一憂せずにやればいい」と安倍晋三首相にエールを送った、となっているが、激闘を前に戦術よりも敗戦後の収拾策を授けるところに「落ち目の三度笠」を感じる。

しかも小泉さんが言わせたことでは無いだろうが、首席秘書官だった飯島勲氏は、この日(13日)、東京都内で講演し、夏の参院選について「与党が過半数を10から12、13議席割る大変な事態に陥ると率直に見ている」と惨敗の可能性を指摘したのはどう見ればいいのか。

果たしてこうした悲観的な見方に対して楽観論が党内から出てくる事は無いのだろうか皆無と見るのが妥当だろう。むしろ、参院選敗北でも下野しなくても良いとする小泉氏の主張に対する反論が出てきて闘い前の修羅場が展開されないかを恐れる。

自民党・公明党が敗戦しても参院だから直ちに政変にはならないだろう、という楽観的な見方がある。憲法上は衆院で通った法案が参院で否決されても、それを衆院でもう1度、可決するということになる。小泉氏の主張の根拠である。

しかし、現実にそうしたことが繰り返されれば、確かに参院のやることは、すべて否認して参院不要論も出る事は確かだろう。しかし信任投票ともいえる国政選挙で敗れた内閣が無傷の如く装って居座ることを世論は何時まで許すだろうか。

加えて、自民党は参院選での惨敗がここまで予測されると、怖くて衆院の解散・総選挙がかえって出来なくなった。解散せず、あえて変則国会を選択するしかなくなった。こうなると自民党は厭になった、しかし民主党はもっと嫌い、という人たちはどうする。棄権?2007・06・15
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