2017年06月14日

◆日本射程の北朝鮮ミサイル、国家存亡の危機

加瀬 英明 




硫黄島は本土から1300キロ離れている。栗林忠道中将が率いる小笠原兵団
が、アメリカ軍に対して健闘して玉砕したが、アメリカ軍にわが軍の戦死
者よりも多い出血を強いた。

だが、日本は硫黄島を奪われた時に、命運が盡きた。硫黄島から飛来する
P51戦闘機が小学生にまで、機銃掃射を加えた。

東京から朝鮮半島の日本海側の南北軍事境界線(DMZ)まで1000キロ、
ピョンヤンまで1300キロ、九州から黄海側のDMZまで500キロしか、離
れていない。

このままゆけば、朝鮮半島で戦争が始まる可能性が、高まっている。日本
は戦後最大の窮地に、立っている。

アメリカ鷲と中国龍が、4月6、7日に、フロリダのトランプ別荘で対決
した。

初日の午後8時40分(フロリダ時間)に、地中海に浮ぶアメリカの2隻の
駆逐艦から、ミサイルがシリア空軍基地に撃ち込まれた。

私たちはテレビの映像で、夜闇のなかをアメリカの駆逐艦から巡航ミサイ
ルが閃光に包まれて、発射されるのを見た。

トランプ大統領が習主席に「いま、シリアへミサイル攻撃を加えた」と告
げて、支持するように求めた。習主席は一瞬、呆然としたが、「多くの赤
ん坊が殺されたから、仕方がない」と力なく答えた。習主席に随行した幹
部のうち何人か、唖然としたにちがいない。

この数時間後に、ロシアがアメリカのシリアに対するミサイル攻撃は侵略
行為だと、激しく非難した。
 
中国は2ヶ月前に国連安保理事会で、シリアのアサド政権が2013年から化
学兵器を用いたという化学兵器禁止機関(OPCW)の調査結果にもとづ
いて、シリアへ制裁を加える決議案が提出されたのを、ロシアとともに拒
否権を行使して、葬ったばかりだった。

習主席は自分とプチン大統領の顔に泥を塗ったのだった。

習主席は今秋の第19回共産党大会で、中国13億人の「核心」である最高指
導者として、もう1期5年選出されるために、アメリカとできるだけ波風
をたてたくなかったから、トランプ大統領にとっさに媚びたのだった。

トランプ大統領は習主席に北朝鮮の核ミサイル開発を阻むために、中国が
よそ見せずに、真剣に協力するように求めた。それでなければ、アメリカ
が「ゴー・イット・アローン」(単独で行動する)といって、凄んだ。

北朝鮮に龍をけしかけたのだが、ここしばらくは中国の出方を見守ろう。

アメリカは原子力空母『カール・ビンソン』を中核とする機動打撃群を、
朝鮮近海へ急行させた。北朝鮮は怯んで、予定していた6回目の核実験を
半年か1年か、延期したにちがいない。

アメリカはシリアへミサイル攻撃を加える2時間前に、ロシア軍要員を殺
傷することがないように、ロシアへ通告した。シリアへのミサイル攻撃
は、あきらかに北朝鮮に対する警告だった。

トランプ大統領は、オバマ政権が中国という暴れ龍を仕付けることを怠
り、北朝鮮の核・ミサイル開発を放置していたツケを、支払うことを強い
られている。

私はトランプが大統領選に勝ったのを、喜んだ。もしヒラリー夫人が勝っ
ていたら、オバマ政権の8年間の対外政策の無策が続くことになって、世
界がいっそう安定を失うことになったろう。

トランプは予測不能だ。それに選挙事務所にレーガン大統領とジョン・
ウェインの等身大の写真を飾って、「メイク・アメリカ・グレイト・アゲ
イン」と叫んでいたが、「メイク・アメリカ・タフ・アゲイン」と聞こえた。

トランプ大統領は、北朝鮮がアメリカまで届く核ミサイルを完成すること
を、「絶対に許さない」といって、北朝鮮が核実験を強行したら、核施設
を攻撃することになろう。

いったい、北朝鮮は何を求めているのだろうか?

北朝鮮は何よりもアメリカと交渉して、アメリカが北朝鮮を核保有国とし
て認めさせ、米朝間に国交関係を結ぶことによって、金王朝の存続を保証
することを、強く望んでいる。

ところが、トランプ政権は「北朝鮮が核開発を放棄しないかぎり、話し合
いに応じない」と、繰り返し言明している。

3月6日に、北朝鮮が4発のミサイルを発射して、3発が秋田県沖合に弾
着した直後に、北朝鮮は「在日米軍基地を狙った演習だった」と声明し
た。日本の沖合に4発とも落すつもりだったが、1発が外れたにちがいない。

4発のミサイル発射は、北朝鮮のアメリカへの熱烈な“ラブコール”だった。

その7日後にマレーシア空港で、異母兄の金正男氏を、VXガスを用いて
暗殺した。なぜ、他の毒物をいくらでも使うことができたのに、そうしな
かったのか。VXガスを大量に貯蔵していることを、示したかったのだ。

おそらく、安倍首相がアメリカの袖に縋って、北朝鮮と話し合うように哀
願することを、期待したにちがいない。

4月13日に米大手テレビが、「トランプ政権が北朝鮮が核実験を行う確証
をえたら、先制攻撃を加えることを決定した」と、報じた。北朝鮮は「最
高指導部が判断した時に、いつでも核実験を実施する」と反発した。

朝鮮半島は一触即発だ。トランプ大統領と、金正恩朝鮮労働党委員長の予
測不能の2人が、朝鮮半島と日本に戦火を招こうとしている。

ところが、日本の国会は朝鮮半島の危機が刻々と募っていたのをわきに、
米国に任せておけばよいと、与野党ともに属国根性を丸出しにして、4月
に入ってからもわずらわされることなく、森友学園問題におもしろおかし
く没頭していた。

5月3日には、日本国憲法が70周年を迎える。アメリカが70年前に日本を
属国とすることをはかって、押し付けたものだ。

私は「平和無抵抗憲法」と、呼んでいる。きっと護憲派が全国にわたっ
て、属国憲法の記念日を祝う集会を催すことだろう。属国根性で国民の生
命を守れない。私は日本国憲法や、森友学園の籠池夫妻と心中したくない。

4月15日は、金王朝の創始者の金日成主席の生誕105周年を祝う「太陽節
(テンチョル)」だった。ピョンヤンで新型のミサイルが次々と登場し、
“虎の子”の部隊が行進した。

雛壇から朝鮮労働党副委員長が、「核戦争には、核攻撃で応える!」と、
叫んだ。

大型のミサイルが登場すると、世界でもっとも若い、33歳の最高指導者
である金正恩委員長が、お気に入りのオモチャ箱の兵隊を見るように笑顔
となった。

この夕方、岸田文雄外相が記者団に、「いかなる事態にも対応できるよう
に、万全の態勢を整えている」と、語った。

トランプ大統領は北朝鮮が核実験の準備に取り組むか、アメリカまで届く
ICBM(大陸間弾道弾)の試射をはかる場合に、先制攻撃を加えると、
繰り返し警告している。

アメリカが北朝鮮の核施設とミサイル基地を摘出する、限定的なサージカ
ル・ストライク(外科的攻撃)を加えたら、北朝鮮は体制の威信を賭け
て、南北軍事境界線から45キロしか離れていないソウルを砲撃を開始
し、日本へ向けてミサイルを発射しよう。韓国にある多数の原発が被弾し
たら、偏西風に乗って、日本全国が放射能によって覆われる。

1950年から3年にわたった朝鮮戦争の再演には、ならない。北朝鮮は全面
戦争を戦ったら国家的自殺になるから、開戦5、6日以内に国際世論を背
景にして、国連、中国、ロシアが間に入って、停戦が成立することを見込
もう。

北朝鮮が日本へ多数のミサイルを、同時に撃ってきたら、日本は迎撃して
全て破壊する能力がないから、ひたすら耐えるほかない。

岸田外相が「万全の態勢を備えている」と述べたが、前大戦で米国が日本
全土を空襲する前に、軍部が「来るなら来い! 我に鉄壁の備えあり」
と、豪語したのと変わらない。

トランプ大統領は核実験を強行するか、アメリカまで届くICBMを試射
する確証をえたら、先制攻撃を加えると警告している。「アメリカ・
ファースト」――「アメリカの安全(アメリカン・セイフティ)ファースト」
なのだ。

日本が頭から火の粉をかぶることになるが、トランプ政権は、剣道でいえ
ば「肉を斬らせて、骨を斬る」ことになる。肉は日本だ。

いつ、朝鮮半島に火の手があがることになるのだろうか。私は時間的な余
裕が、まだ1年か、2年あまりあると思う。

中国の習近平主席は「偉大な5000年の中華文明の復興」、英訳すれば「メ
イク・チャイナ・グレイト・アゲイン」と叫んで、中国国民の人気を博し
てきたのに、北朝鮮のおかげでアメリカに対して威張れなくなった。

といって、米国のいうままになって、北朝鮮に核開発を放棄するように、
真剣になって迫ることはしまい。

北朝鮮が核開発を放棄することはありえない。核やミサイル実験を行わな
くても、性能を高めることができる。このまま進んでゆけば、アメリカは
いずれ北朝鮮を攻撃することとなろう。

国会は与野党が一致して、ミサイル迎撃システムを強化し、北朝鮮のミサ
イル基地を攻撃する能力を保有するために、防衛費を画期的に増額するこ
とを、集中審議すべきだ。

72年前に、朝日新聞と狂気に取り憑かれた軍人たちが、日本精神さえあれ
ば「神州不滅」だと叫んで、「一億総特攻」をあおった。護憲派が「平和
憲法」さえあれば、「日本は不滅」だと説いているが、72年前に「一億玉
砕」の道を突き進んでいた亡霊が、さまよっているとしか思えない。

 戦後の日本は弱いことがよいという風潮によって覆われてきたが、一刻
も早く改めよう。

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