2017年06月25日

◆アメリカを見縊る北朝鮮

加瀬 英明



アメリカを見縊る北朝鮮 気になる中国、ロシアの動向

5月21日に、金正恩委員長の北朝鮮がアメリカを嘲笑うように、2発の中
距離弾道ミサイルを続けて試射した。

ピョンヤンでは数万人以上の市民が、目抜き通りを埋めて動員されて、ミ
サイル試射の成功を手に手に小旗を振って、万歳を叫んで祝った。

5月9日に、韓国で大統領選挙が行われて、北朝鮮に対する融和政策を公
約として掲げた文在寅候補が、当選した直後の5月14日にグアム島、アラ
スカまで射程に収める長距離ミサイル1発を撃ちあげてから、僅か2週間
以内に3発試射したことになる。

月14日は、中国にとって今年の最大の国際行事だった「一帯一路会議」
が、北京で開幕した日だったから、習近平国家主席の顔に、泥を塗ったこ
とになった。

トランプ政権は1月に発足してから、もし北朝鮮が6回目の核実験を強行
するか、アメリカ本土まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の試射を行う場
合には、北朝鮮に軍事攻撃を加えるといって、威嚇してきた。

朝鮮戦争が1953年に終わってから、北朝鮮は金日成主席、金正日第一書記
のもとで、米軍を攻撃するか、韓国に対してテロ事件をしばしば行ってき
たが、一度として米韓から軍事攻撃を加えられることがなかった。

大きな事件をあげれば、1968年に米情報収集艦プエブロ号を公海上で攻撃
して、拿捕した。この時に、プエブロ号の乗組員1名が被弾して死んだ。
その3年後に、公海上を飛行する米電子偵察機を撃墜した。

そのつど、第2次朝鮮戦争が起るのではないか心配されたが、アメリカが
自制した。

プエブロ号事件直前に、北朝鮮の特殊部隊が越境し、ソウルの大統領官邸
の青瓦台襲撃未遂事件が発生し、83年にラングーン事件、87年に大韓航
空機爆破事件が起こった。韓国も北朝鮮に攻撃を加えることがなかった。

そこで、金正恩委員長はアメリカを見縊(みくび)っているのではないか。

クリントン政権が、北朝鮮が94年に黒鉛型原子炉からプルトニュウムを
抽出すると、北朝鮮が核開発を凍結するかわりに、軽水炉を提供すること
で合意して、食糧援助を行った。その4年後に、北朝鮮がはじめて弾道ミ
サイルを実験したが、ミサイル試射を停止するのと引き替えに、再び食糧
援助を実施した。

2006年に、北朝鮮ははじめて核実験を行った。ブッシュ(息子)政権はイ
ラク戦争に忙殺されていたこともあって、北朝鮮が6ヶ国協議に戻ること
と交換して、金融制裁を解除するとともに、食糧援助を提供した。

北朝鮮が5月21日に弾道ミサイルを連射すると、中国、ロシアも加わっ
て、国連安保理事会が北朝鮮を非難する決議を行った。

だが、中国はアメリカの顔色を窺っているものの、北朝鮮に対して厳しい
経済制裁を加えるのを躊躇しているし、ロシアは北朝鮮に新たに石油を供
給するなど援けている。

中国にとって、アメリカが北朝鮮の核・ミサイル開発を放棄させるため
に、中国を頼りにしていることから、北朝鮮がアメリカを挑発するほど、
中国の値打ちがあがることになる。もっとも、その塩加減が難しい。

ロシアはアメリカが北朝鮮を威嚇することに反対して、対話によって平和
的に解決することを主張している。ロシアはイラン、シリアなどの反米諸
国を支援しているが、北朝鮮はそのなかの駒の一国として役に立つのだ。



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