2017年07月06日

◆北朝鮮がICBM発射に成功

宮崎 正弘



<平成29年(2017)7月5日(水曜日)弐 通算第5341号>  

 〜北朝鮮がICBM発射に成功。G20で米中首脳会談の優先議題に
  トランプ「北朝鮮へ圧力をかけるという中国への期待は幻覚だった」〜

7月4日、日本は台風騒ぎに明け暮れ、北朝鮮のICBM発射実験成功
はトップニュースではなかった。軍事脅威不感症の所為だろう。
 
トランプ大統領は「中国が行動を取らないなら、米国は単独で行動を取
る」としたうえ、7月6日ドイツのハンブルグで行われるG20の最中に、
日本と韓国の首脳を招いて米日韓の首脳会議を行うとした。翌日7月7日
には安倍、文在寅会談が予定されているが、その前夜に三者会談が行われ
る段取りとなった。

ところが文在寅は北のICBM成功に関して記者会見し、「まだ引き返せ
ない地点ではない」と幻想的な見通しを語っている。

トランプは中国への幻覚を捨てた。中国が北朝鮮へ経済制裁など具体的で
効果的圧力を架ければ事態は解決するという、根拠の薄い期待を抱いてい
たため、4月の米中首脳会談でトランプは習近平に百日の猶予を与えたと
される。

しかし中国はまったくやる気がないばかりか、ぶつぶつと米国に文句を言
い出した。

北朝鮮のICBM事件は、米海軍の空母2隻(カールビンソンとロナルド
レーガン)が日本海から撤退したことを見計らい、韓国の油断、中国の事
情などを勘案した上で、発射した。慎重にタイミングを計算しているので
ある。

7月2日、トランプは習近平に電話をかけている。その内容は、大統領が
休暇先からワシントンへ戻った3日夜(日本時間7月4日)に、ホワイト
ハウス筋からリークされた。習近平は、トランプに対して北を制裁しない
理由付けに多くの苦情を述べたという。


 ▲中国が北朝鮮を制裁するなどという米国の期待は幻想だった

習近平が米国への不満は次の5つではなかったかと消息筋は推測している。
 
第1にトランプ政権は「一つの中国」の原則を守るとしながらも台湾へ14
億ドルもの武器供与を決めたではないか。
 
第2に米国が中国大使などを通じて「人権問題」に言及し、劉暁波の米国
亡命受け入れなどを示唆するのは内政干渉である。

第3に米国は中国の丹東銀行に対して北朝鮮のマネーロンダリングや不正
送金に手を貸したとして制裁した。
 
第4に中国の鉄鋼製品をダンピングなどと言いがかりをつけて400%前
後の報復関税を課している。

第5に南シナ海における「航行の自由作戦」という米国の軍事行動は中国
の主権を侵害する深刻な、由々しき挑発行為である等等。

トランプは習近平の発した小言を聞いた上で、これまでの中国幻想を捨てた。

不誠実な、約束を守る気が初めからなかったことに気がついたのでは
と、ニューヨークタイムズ‘7月4日付け)が珍しくまともな分析をして
いる。
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