2017年07月28日

◆安倍は持ち直すが民進はメルトダウン

杉浦 正章



ダブル辞任がもたらす衝撃度
 

小池新党が政局のカギ
 

いやはや稲田・蓮舫のダブル辞任とは恐れ入った。二度にわたって辞任の解説を書く手間が省けてありがたいが、このテーマは駆け出し政治記者たちと異なり、老練な評論家らしく大きな俯瞰図から描かなければならない。だから難しい。


まず辞任劇が首相・安倍晋三に痛手か、民進党に痛手かと分かりやすくとらえる。そうすると、見えてくるのが民進党の断末魔の光景だ。対照的に安倍は支持率にはマイナス要素だがしょせんは一閣僚の辞任だ。閣僚が辞任して首相がその責任を取って辞めるなどということは古今東西聞いたことがない。おまけに、民進党は原発で言えばメルトダウン・炉心溶融の段階に入った。もう崩壊しか待っていないかのように見える。


政治論としては安倍はこの野党第一党の崩壊過程をチャンスととらえ、秋以降衆院解散という伝家の宝刀を抜く勝負に出ることが出来る。小池百合子の出方が政治を左右するポイントの一つとなる。
 

それにつけても蓮舫は自ら記者会見で認めたように攻撃型であって、政治家としての総合的な判断に疎い。指導力などかけらも感じられない政治家であった。都議選で2議席減のたったの5議席という大惨敗の責任をとらずに済むと考えたのが甘い。大きな読み違いだ。最初は幹事長・野田佳彦だけの首を切って逃げようと試みたが、甘かった。党内の大反発を受けてやっと自分の置かれている立場を理解するに至ったのだ。


背景にあるのは社会党ー民主党ー民進党と、だましだましで維持してきた政党としての賞味期限が完全に切れたということだろう。とりわけ民主党政権時代の「2馬鹿1利口首相」への国民の反発と落胆が、いくら拭っても拭いきれない汚点となって作用し続けているのだ。ちなみに1利口とは野田だ。
 

一方で安倍は内閣支持率の急落という事態に直面しているが、今後政権を維持するだけで支持率上昇に“活用”できる内政・外交・安保上の課題が山積している。折から北の“馬鹿大将”が、安倍の窮地を救うかのようにICBM 発射の準備を整え、発射しようとしている。1回発射すれば安倍の支持率は数%上昇する。核実験をすればさらに数%上昇する。国民は身の危険を感じて初めて、やはり安倍でなければ対応できない安保上の課題があることが分かるのだ。


野党と左傾メディアが結託したカケだのモリだのの支持率引き下ろし工作より、直面する自らの生命の危機にやっと気付くのだ。衆愚というのはそうしたものなのだ。経済でもアベノミクスの成功で有効求人倍率が何と東京で2倍、地方でも1.5倍前後という状況にあるありがたさにもやがては気付くだろう。就職したいものには全てに職があるなどという状況は、歴代政権でも、世界的に見てもまれであり、財界を敵に回した民主党政権ではあり得ない数字であった。したがって内閣支持率も長い目で見れば上向きとなるだろう。
 

一方で5〜7%と低迷している民進党支持率が上向くかと言えば難しいだろう。蓮舫に代わって代表になり得る人物は前原誠司と枝野幸男だろうが、前原は党内右派だが線が細い。過去に民主党代表を偽メール事件で辞めており、外国人の献金問題で外相を辞任した。一方、枝野は顔が憎々しげで支持率を上げるようなタイプではない。悪名高き革マルの根城となっている東労組などとの交流も過去にあり、これについて安倍は、「鳩山由紀夫内閣の時に、JR総連やJR東労組について革マル派活動家が相当浸透しているとの答弁書を、枝野氏が行政刷新担当相として署名している」、などと指摘している。答弁書は枝野にとって身の証であったかのようだ。


左右どちらが代表になるかだが、前原がなった方が民進党としてはいいのだろう。枝野になれば攻撃材料がありすぎて自民党を喜ばす。若手からは幹事長代理玉木雄一郎を推す声もあるが、玉木はかつて前原グループに所属しており、前原の支援に回る可能性もある。玉木は悪名高き獣医師連盟から100万円の献金を受け取っており、そもそも加計追及の先頭に立てる人物ではない。前原なら共産党との選挙共闘を断ち切るだろうが、枝野は進めるだろう。


まるで難破船からネズミが逃げ出すように、民進党から離党者が続出している。やがて「離党ドミノ」へとつながりかねない状況でもある。民進党内で一るの望みとしてささやかれているのは、小池百合子が新党を作り「国民ファーストの会」などと称して国政進出を決断した場合に、これと連携するか、大挙してなだれ込むかなどが語られているのだ。しかし当面を糊塗する愚策だろうと思う。第一小池にとってはゾンビに抱きつかれるようで、迷惑な話だろう。要するに民進党は八方塞がりということだ。自民党の受け皿になることなど逆立ちしても出来ない。
 

一方自民党内は改造人事を前にして干されてはたまらぬと、表だった反安倍の動きは台頭していない。安倍は来月早々の改造人事で新規まき直しをはかり、今秋以降解散のチャンスをうかがうことになろう。民進党の崩壊現象は自民党を有利に導くことになるが、小池新党が登場すれば打撃を被る可能生はある。しかし、現在の293議席は取り過ぎだ。取り過ぎた結果三流若手議員の不祥事が頻発して、党のたがが外れたような印象を持たれている。昔田中角栄が沖縄返還選挙後に「300議席は取り過ぎた」と漏らしたことがあったが、次期衆院選では260から70台に乗れば十分とみた方がよい。党内が締まるのだ。


いずれにしても改造から解散に至るまでは安倍長期政権にとっての正念場だ。それにつけても安倍は女を見る目がない。辞任した閣僚6人のうち3人が女だ。

            <今朝のニュース解説から抜粋>


◎俳談

【俳句の擬人化】
◆小隼一直線なり一途なり     産経俳壇一席
 擬人法とは、植物や動物や自然などを人に見立てて表現することだ。例えば、鳥が笑う、花が泣く、などといったもの。初心者のうちはついつい使いたがるが、陳腐の極みであることに早く気付いた方がいい。駄句のことを月並み句というが、まずその部類に落ちてしまう。掲句は小隼(ハヤブサ)が一途だと言っている。小隼を己に見立てた。擬人法を使っているから、悪い句であるとは一概には言えない例として挙げた。擬人法は難易度が高く、成功すると良い句になる。

◆海に出て木枯(こがらし)帰るところなし 山口誓子
は木枯らしが帰るところがないと言っているが、これは特攻隊で散った若者を暗喩(あんゆ)で表現しているのだ。しかし、初心者はまず写生から始めるのが無難だ。

       <俳談>     (政治評論家)
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