2017年08月05日

◆歴史を通じて天皇は日本の統治者

加瀬 英明



 天皇は日本の統治者であられる。

そう言うと、今日の多くの日本国民が「あなたは日本国憲法を知らないの
か。憲法は国民が日本の主権者だと、規定している。国民が日本の統治者
だ」といって、反論するはずだ。

だが、統は「統(す)べる」「ばらばらなものを1つにまとめる」ことであ
り、治は「治(おさ)まる」ことを意味する。

もし、日本に天皇がおいでにならなかったとしたら、日本は1つに纏まる
ことがなく、治まることがないだろう。お隣の韓国のような不安定な国に
なる。

たしかに、現行の日本国憲法では、国民が国家の主権者であって、天皇の
地位は「国民の総意に基く」と定められており、国民が天皇の上にある。

だが、日本では歴史を通じて、どの時代をとっても、国民が天皇を戴(い
ただ)いてきた。日本国憲法は天皇の地位を国民の下に置いているが、日
本にそぐわない。

もちろん、天皇は日本の政治の統治者ではない。天皇は日本の歴史を通じ
て、精神的な統治者であられてきた。

しかし、政治が安定するためには、国民の精神が1つに纏っていること
が、前提となる。

6月に『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』が国会で成立したが、今
日の日本には、2人の天皇が存在している。1人が現行憲法のもとの天皇
であり、もうお1人が日本の歴史のうえでの天皇でいらっしゃる。

2000年の日本の歴史の重さと較べたら、敗戦と外国軍による占領という異
常な事態のもとで強要された、日本国憲法は軽い。現行憲法は「日本国憲
法」と呼ばれているものの、とても「日本国」の名に価しない。

6月に国会で可決されて成立した『皇室典範特例法』は、日本国憲法のも
との天皇を対象としている。

私はこの特例法について、不満がある。1つは「天皇の退位等に関する」
といって、「退位」という言葉が用いられていることだ。なぜ、「譲位」
としなかったのか。

退位は100年前のロシア革命によって、ニコライ皇帝が退位を強いられ
て、ロシアのロマノフ王朝が滅びたとか、第1次世界大戦に敗れたドイツ
のウィルヘルム皇帝が退位したことによって、ドイツが共和国に変わった
ように、皇位が皇嗣(こうし)(嗣は世継ぎ)によって継がれない場合に、
しばしば用いられてきた。

特例法が譲位後の天皇の称号を「上皇」と定めているのに異議はないが、
皇后をこれまで日本語になかった新語を造って、「上皇后」とお呼びする
というのに、目を疑った。なぜ、「皇太后」とお呼びしないのか。

皇室は古い、長い伝統から力をえてきた。それまで存在しなかった新語を
造るたびに、皇室の力が弱められることになる。

選挙によって選ばれる国会は、一過性のものでしかない。天皇の譲位をは
じめとする、天皇家のありかたは、国会ではなく、天皇家にお任せするべ
きだ。皇室典範を天皇家の家法として、憲法と対等なものとするべきだと
思う。

陛下は昨年8月のお言葉の冒頭で、天皇のもっとも重要な役割として、宮
中祭祀をあげられた。新しい憲法では、天皇が「祈る存在」であること
を、明記してほしい。

古来から日本は、祈る国家であってきた。日本を無神論の国家としてはな
らない。



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