2017年09月06日

◆中国の本格的な北制裁は不可能

杉浦 正章



日米の「石油輸出規制」論は空転か


韓国にも核武装論が台頭
 

ドキリとさせられた。このような時に国会で冗談でも「包丁一本さらしに巻いて」 と歌って訪朝する神経のばかさ加減を疑うが、アントニオ猪木なら包丁を使わなくても金正恩を殺害できる。しかし、もう殺害しか手段はないとことまで行くかもしれない。事実韓国は国防相宋永武が4日、今年12月1日付で暗殺を目指した「斬首作戦」部隊を創設する方針を発表。陸・海・空合同で、その規模は1000人から2000人だという。


しかし、その前に日米が国連でやろうとしていることもドラスティックだ。中国の対北石油輸出の規制だ。日本が太平洋戦争に突入した歴史を見れば石油の規制が国家にとって存亡の危機になることは明白だが、習近平がこれを本格的にに断行するかと言えば、しないだろう。プーチンも否定的だ。したがって、国連決議などほとんど意味はない。やっても「お茶を濁す」程度だろう。だから金正恩はますます増長して、結局、殺害しかないということになる。
 

昔、ニューヨークで国連を取材したが国際機関というものは、ウィーン会議時代と同様に「会議は踊る」 のであって、まとまらない。国際会議は戦争の代わりに大国が角を突き合わせる場であり、国家エゴがむき出しになるのだ。北朝鮮問題の本質は、中国とロシアが北を使って米国と対峙する準冷戦の構図であり、その基本構図が変わらない限り、金正恩のやりたい放題は続く。もっとも、先進7か国が歩調を合わせて対北制裁を求める現状に中国とロシアは、国際社会の批判をかわさなければならない局面に追い込まれつつある。
 

とりわけ注目されるのは日米が主張している「対北石油輸出規制」に中国がどう出るかだ。昨年3月の決議ではロケット用燃料を含む航空燃料の提供を原則禁止したが、北は何の痛痒も感じていない。国境には密輸がはびこっているのだ。この先例があるから多少の制裁は全く不可能ではないが、中国は国際世論に向けて極めて“ずる賢く”対応するだろう。鴨緑江を渡る石油のパイプラインを全面的にストップすることには徹底的に抵抗するだろう。現に環球時報は「北に対する石油の供給中止と国境の閉鎖は中国の国益と合致しないため、中国はこのような政争の先鋒に立ってはならない」 と主張している。


北の核ミサイルに端を発している安全保障問題を、臆面もなく「政争」と位置づける図々しさである。またプーチンも「制裁は無駄であり効果がない。北が大量破壊兵器を放棄することはない」と制裁に乗る気配はない。
 

中国にしてみれば朝鮮戦争は“休戦”なのであって、北を崩壊させて、中国が米軍と直接国境で対峙することを回避することは戦略的最重要テーマと依然として位置づけている。習近平は金正恩への憎たらしく思う感情を押し殺して、この国家の大計のために我慢し続けるのだ。したがって中国がたとえ譲歩するにしても、せいぜい暫定的かつ部分的な供給制限であろう。“お茶を濁す”程度の対応しかしない。だから北が経済的な困窮に追い込まれることはない。
 

こうした中で筆者がメディアで最初に紹介した米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の、日本核武装論が大きな波紋を投げかけている。社説で「北朝鮮の核武装を放置すれば日本が核武装することになる」と警告したものだが、今度は米ブルームバーグ通信も社説で日本の重武装の可能性を指摘した。ブルームバーグは「日本国民のおよそ4分の3は、北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射すれば、日本が先制攻撃をしたり反撃を加えることに賛成している」と分析し、「中国指導部が北朝鮮の脅威を緩和しない場合、重武装した日本の登場は中国が支払うべき代償の一つだ」と強調した。


国会議員のなかからも日本のこころ幹事長の中野正志が「抑止力としての核兵器を保有することの是非を含めた幅広い議論を始めることを提案する」と正面切って核武装論を展開。自民党内でも石破茂はかねてから原発の廃止反対と絡めて核武装論を述べている。11年に「日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れる。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。本当に原発を放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。」と発言している。日本の核アレルギーは徐々にその威力を失いつつある。
 

さらに韓国にも飛び火して朝鮮日報は5日「韓国の核武装は2年で可能」と題する記事で「北朝鮮の核の脅威に対抗して韓国が選ぶ“最後のカード”には、独自の核武装がある。北朝鮮が核武装を完了した後、朝米交渉を通して在韓米軍が一方的に撤収するなど最悪の状況が迫った場合には、“最後のとりで”として独自核武装のカードを切るべきだ。専門家らは『決心しさえすれば1年半から2年以内に核兵器を持つことができる』と述べた」と書いている。
 

こうして北による核とミサイル実験は極東安保情勢に、おどろおどろしいインパクトを生じさせており、早期に狂った指導者を排除しなければ混迷の度は増すばかりだろう。北が忘れてはいけないのは米国には東京やドレスデンへの大空襲の経験がある。米軍は@金正恩ら中枢へのピンポイント爆撃A核ミサイル施設全てへの爆撃Bソウルを狙う長距離砲への壊滅的な爆撃ーで韓国や日本の被害を最小限にとどめる空爆作戦を立案しつつあるといわれている。ばかなTVコメンテーターらが断定する攻撃不能論は必ずしも通用しない。

<今朝のニュース解説から抜粋>     (政治評論家)


◎俳談

【台所俳句】

玉葱に涙などして暮らしゐる 産経俳壇1席
 
男といえども退職すれば厨房に入ることも多い。時には本格的な料理にも手を出す。従って台所は句作の材料に事欠かないのだ。掲句はタマネギを切って涙が出たのをとらえた。中村汀女(なかむらていじょ)の句に
秋雨の瓦斯(ガス)が飛びつく燐寸(マッチ)かな
がある。マッチの火にガスが「飛びつく」と表現できるのは並大抵の力量ではない。皆飛び付くのは分かっていても、表現に結びつかないのだ。季語を秋雨と置いて、昔の薄暗い台所の情景を思い起こさせる。男子厨房に入り大いに俳句を作るべし。

     <俳談>    (政治評論家)
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