阿比留 瑠比
「北朝鮮(に対し)、性善説のような質問ですが、
菅義偉官房長官が1日の記者会見で、北朝鮮側ではなく日本政府の対応
ばかり疑問視して対話を促す東京新聞の記者を、こうたしなめる場面も
あった。
国民の生命・財産に直結し、世界平和を脅かす危機を引き起こしている
北朝鮮よりも、日本政府に対して「性悪説」をとって攻撃する人たちも少
なくない。
5日付東京新聞朝刊によると、安倍政権による憲法9条改正に反対する
市民団体の呼びかけ人の一人である評論家、佐高信氏は4日に記者会見
し、こう訴えたのだという。
「再び戦争をしたい人たちを阻止していきたい」
だが、筆者は安倍政権内でも自身の周囲でも、再び戦争をしたい人など
ただの一人も知らない。少なくとも日本では、護憲派と改憲派などそれぞ
れの立場や考え方によって、平和を維持・確保するための方法論が異なる
だけで、誰も戦争など求めてはいない。
8月29日朝に、北朝鮮が日本上空を飛び越える弾道ミサイルを発射 し、
政府が12道県で全国瞬時警報システム(Jアラート)を配信した際 に
は、金子勝慶大教授がツイッターでこんな投稿をしている。
「まるで戦時中の『空襲警報』を一斉に流す。北朝鮮も怖いが、『戦時放
送』を流す安倍政権も怖い」
また、9月3日の北朝鮮の核実験を受け、コラムニストの小田嶋隆氏は一
応、北朝鮮を批判しつつも4日付朝日新聞朝刊にこんなコメントを寄せて
いた。
「安倍政権は、求心力を高めるために国防意識を強い口調であおっている
ようにも映る」
政府が北朝鮮のミサイル情報を国民にただちに伝えたことや、安倍首相ら
政権中枢が北朝鮮の無法への憤りを口にしたことが、まるで問題のような
言い草である。「安倍嫌い」をこじらせて、どんな事態、状況も安倍政権
批判に結びつけなくては気が済まなくなってしまったのか。
評論家の石平氏は6日、自身のツイッターでこうはっきりと断じていた。
「『北を追い詰めたのは日米だ』と金正恩の立場を弁護したり、北朝鮮
の脅威に対処するための自国防衛強化に難癖をつけたりする人はいる。そ
んなのはもはや平和ボケ程度のものではない。日本国民に対する犯罪だ!」
言葉はきついが、おおむね同感である。自国は信用できないが、他国は信
頼しようと説く人たちの道連れにはされたくない。(論説委員兼政治部編
集委員)