2017年09月09日

◆絶滅危惧種の動物

渡邊 好造



胃の調子が悪く、かかりつけの内科医の紹介で近くの京都・山科区の病院に行った。

まず検査前の問診のため診察室に入り、目の前のパソコンの画面をふと見ると写っているのは、患者のデータではなく数種類の昆虫である。甲虫類が中心で「先生、昆虫採集が趣味ですか?」と、筆者も小学生時代からの虫マニアなので思わず話しかけた。

先生はえらいところを見られたという顔をしながら画面を消そうとするので、「ここに写っている虫の名前はほとんど知っています。山科疏水道にいる種類もいますね。全部見せて下さい、、」といったことから、診察は後回しでひとしきり昆虫談義になった。

最近の医者は患者よりもパソコンの画面ばかり見ているので、初めての先生の顔はまず覚えていないがこの時ばかりは違った。医者にも昆虫マニアは結構多い、とのこと、、。

先生曰く『山科には桜並木が多いからタマムシが一杯いただろう、、、。それにしても昔に比べると虫の種類がどんどん減っていくのは残念なことだ。環境変化は昆虫だけでなくあらゆる動物に悪影響をもたらしている』、などと話はしばらくはずんだ。

肝心の診察結果は軽い胃潰瘍で大したことはなかった。

筆者の専門分野だったカミキリムシは、日本全国に6百種ほどいたらしいが、今では百種も残っていないのではないか。トンボも見なくなった。辺りが薄暗くなると餌の蚊を狙って空に群がっていた。その蚊が少なくなればトンボも減る。

住宅地の周りにいたイタチ、こうもり、ガマ蛙(イボ蛙)なども見なくなった。

日本人大好物の鰻まで絶滅危惧種になりかけている。大阪南部の大和川には鰻の子”シラスウナギ”が砂を掘るとウジャウジャ泳いでいたが、日本一の汚染川になり魚どころではなくなった。

河川の汚染は生活排水の垂れ流しが最大要因だが、なかでも合成洗剤の泡の影響が大きい。河川に溢れかえる泡を見て、いち早くその害に気付いた京都のメーカーが泡なし洗剤を製品化しようとしたが、汚れが落ちない気がするという消費者の調査結果から数年後まで製品化しなかった。

最近は河川の浄化が進んではいるがまだまだ元には戻らない。
ツキノワグマが民家近くへ出没し、人が襲われ殺されたり大けがをさせられるなどの被害も環境変化によるものだ。餌となるドングリが木々の伐採で少なくなり人家に下りてくるらしい。

結果は、山に戻されることなく殆んど射殺されている。最近、熊の被害が無いのは寒くなって冬眠しているだけのこと。同じことがまた繰り返されるに違いない。

人間は勝手なもので、数が減ってくると絶滅危惧種の動物に指定してあわてて保護策をとり始める。ツキノワグマも今のように殺していたら絶滅寸前になるに違いない。歌手・宇多田ひかるは大の熊好きで同じことを言っていたらしい。

コウノトリやトキなどを懸命に保護し絶滅を防ごうとしているが、もはや遅すぎて無駄なことに金を使っている気がしてならない。どんな動物でも個体数が2百以下になると絶滅は避けられないという。

近親交配で抵抗力がなくなり病気になりやすく子孫が増えない。保護するならまだ間に合う動物が一杯いるはずだ。

我が国の動物園では、ジャイアントパンダ一頭の年間借用料として中国に8千万円とか1億円を払っているらしいが、その金を日本の動物保護と環境保護にまわせばいいのに、、。パンダならレッサーパンダでも十分可愛いし、世界中にはもっと安くて珍しい動物は一杯いるではないか。

なお、筆者がこの10数年ほどで採集した山科疏水道の昆虫は、昔のように捕虫網で追い掛け回したのではなく、鳥や蟻に食い尽くされる寸前の死骸ばかりである。(完)
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