2017年09月18日

◆残業と超過勤務手当は

前田 正晶



残業と超過勤務手当は我が国の企業社会の独特の文化ではないか

電通に始まって、一時(イットキ)は残業に対する議論がマスコミでは百
出どころか万出だったかのような気配があった。ある地位というか身分が
上がるまでは残業代が付くのは我が国ならではの制度だと、アメリカの会
社の移って初めて知った。

そこには年功序列制に加えて、外部からも当人にも良く解らない査定が
あって、何時の間にか同期入社の者との間に差が付いていく制度が絡まる
のが不思議に思えてきた。

ご存知の方もあると思うが、アメリカの制度では基本的に本俸(年俸)一
本だけであり、我が国のような諸手当や管理職手当などない。解りやすい
ように極端な表現をすれば、本社機構だろうと何だろうと、中途で入社す
る際に、直轄の上司と話し合って合意した年俸しか貰えないのだと思って
頂いて良いだろう。

更に言えば、給与に関係するような遅刻も早退のような制度もないが、有
給休暇(paid holiday)は貰えるはずだ。

即ち、与えられた「職務内容記述書」を達成する為には、朝6時に出社し
て夜は21時までオフィスにいてもそれは各人の勝手であるということだ。
それでも追い付かなければ土・日に出勤するのも、各人の自由意志である。

極言すれば「週5日勤務では仕事を裁ききれない無能力者は週末を犠牲に
せよ」ということ。逆に「週末と家族を犠牲にしても与えられた職務以上
の成果を挙げたい者」は1年365日働き続けることを厭わないのである。

ここで看過できないことは「アメリカ式では仕事は全て個人に割り当てら
れていて、皆で分け合った負担することではない」点である。

では、一方の我が国ではどうなっているかなどを、ここで私が説明する必
要などあるまい。かく申す私も日本の会社にお世話になっていた頃には残
業はしていた。今となっては、その理由や必要性が何であったかの記憶は
全くない。

だが、私個人に割り当てられたその日の仕事をやり遂げられなかったから
残っていたとは思えない要素もあったのだ。新入社員の頃は恐らく不慣れ
で仕事を消化しきれずに残っていたのかと思うだけだ。

こういうこともあった。ある商社の新入社員が2〜3日続けて同じ服装をし
ているのを見た人がその理由を尋ねたのだそうだ。答えは「今週になって
から会議室に2日連泊しています」というものだった。更に、その理由は
「新入社員の私には与えられた仕事をこなしきれずに深夜を過ぎても帰れ
ず、会議室で寝ることを選択した」だった。

彼は言葉を継いで「これは私の能力が不足しているだけではなくスキルも
足らないのか、あるいは会社側が与える仕事の範囲が私の能力を超えて余
りにも広く且つ大木過ぎるのかの何れでしょう」とサラッと述べたのだっ
た。彼は「2日連泊などはお手柔らかな方で、同期でXX部に配属された者
は既に連泊2週目に入っています」とも教えてくれたそうだ。この連泊を
誰も咎め立てしないそうだ。マー、言ってみれば、野球の練習で言う「千
本ノック」のような新入社員の鍛え方だ。

我が国とは違ってボーナス制度がない会社側というかサラリー制のアメリ
カ式給与では、既に述べたように年俸だけである。ということは、残業手
当はないと思っていて良いだろう。全ては自分の成績次第だから、目標達
成までは何時間でも働けば良いだろうということだと、私は解釈していた。

こういう制度を我が国に急に持ち込む訳には行かないのは明らかだ。残業
料を支給することが企業の固定費(と考えても良いのかと思う)が増えて
困るというのだったならば、最初から人事部だの勤労部で査定せずに、所
属の長が全員の前年度の残業代まで含めた所得を見て、諸手当を排除年俸
一本に定めてしまえば良いではないか。即ち、何時間超過勤務しようと会
社が強制したのではなくなるのだ。

それでは、ボーナスや退職金の金額が増加しすぎるという心配も生じるだ
ろう。そうであるならば、「最初からそういう金額の算出の基準を元の本
給を基準とするようなことにでも話し合いでもしておけば良くはないの
か」などと勝手に考えている。これは暴論かも知れないが、私が考えてい
ることは「各人が何時間働くかは自分で決めれば良いことで、政府や会社
が介入するのは不自然だ」との考えを述べているに過ぎないのだ。

経験から言えることは「アメリカ式の方が自分のことは自分で処理せよ」
であって、達成できなければ自分一人だけの結果責任で諦めが付くのだ。
だが、一歩どころか半歩誤っても馘首が待っている世界だった。それと比
べれば、我が国の企業社会の方が遙かに温情的だとは思う。

だが、アメリカでは同期入社の者たちとの比較などないし、全ては自分に
返ってくるので、諦めが付きやすかったとも言える。

結論めいたことを言えば、日米の何れが良いかなどと言う選択ないと思
う。私は向き不向きだけだと思う。アメリカに行けば「身分と地位の垂直
上昇は先ず期待できないが、定年制度はないし、成績次第では何歳になろ
うとも昇給させてくれるという、我が国にはない慣習がある。余り上手く
纏めきれなかったが、日米間の違いの概要がお解り願えれば幸甚だ。


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