2017年11月14日

◆自由で開かれたインド太平洋

宮崎 正弘

<平成29年(2017)11月12日(日曜日)通巻第5505号>  

 「自由で開かれたインド太平洋」(トランプ)と「自由と繁栄の弧」(安
倍首相)
   「自由、民主、人権、法治」を脅かす敵は中国しかいないではないか

 ダナンで開催されていたAPECでトランプ大統領は米国の戦略を打ち
上げた。

「自由で開かれたインド太平洋」というのは、「アジア太平洋」という従
来の米国の戦略タームの拡大であり、前々から安倍首相が唱えてきた「自
由と繁栄の弧」とほぼ同意義である。

 しかも従前の日本の外交防衛は「極東」に限定してきたのだから、広域
に対象が拡大したことになる。

PEWの世論調査によれば、アジア各国で「アメリカへの信頼」は下がり
続けてきた。オバマ前政権でアメリカの威信は地に落ちていた。
トランプの登場によって相当信頼回復はみられるものの、「世界の警察
官」とした頼りにされた面影はなく、この間隙を巧妙について台頭してき
た中国の影響力拡大が顕著である。

さて「インド太平洋」の安全保障となるとマラッカ海峡防衛からアンダマ
ン海、インド洋へと防衛協力の範囲はひろがる。

日本の協力の度合いが今後、大いに深まることにもなるが、本格的な防衛
協力は、日本の改憲がなくては達成困難である。

マラッカは16世紀にポルトガルが領有し、砦をつくり軍事拠点とした。も
ともとはムラカ(それがなまってマラッカ)となる。マレーシアのペナン
島、ジョージタウン(旧市内は世界遺産)が、いま、その最前線である。し
かもマレーシアは中国寄りであり、米国との協力度は弱い。

インド洋防衛となると米海軍拠点はディエゴガルシア、そして中央軍の司
令部は中東とアフリカに分担され、それぞれに空母が配置される。

いま、その拠点防衛の空母が3隻同時に日本海を遊弋しているということ
は異常事態でもあり、北朝鮮は縮こまり、中国は異様な警戒心を研ぐ。

ダナンAPECで米国戦略を打ち上げたトランプはダナンからハノイへ飛
んで米越首脳会談を済ませ、マニラに向かう。


 ▼フィリピンのダーティ・ハリーことドゥテルテ大統領は対米戦略をど
うするのか

麻薬密売組織、末端の売人にいたるまで7000人を殺害し、一躍「保安官」
の勇名を轟かせたドゥテルテ大統領は、イスラム過激派が拠点とするマラ
ウィを攻撃し、IS系の過激派を退治した。ミンダナオ諸島は治安の悪さ
で有名だったが、ドゥテルテの拠点はダバオであり、近年は劇的に治安が
回復した。

フィリピンは中国にスカボロー岩礁を盗まれたが、正面からの抗議を控
え、たびたび訪中して商談に熱中した。だがドゥテルテ・ハリーのホンネ
は反中国だが、ビジネス優先、経済の回復である。

前アキノ政権では緩やかだが景気の回復が見られた。ドゥテルテ大統領に
なってからフィリピン経済は低空飛行のまま、むしろ海外への出稼ぎが推
奨され、その仕送りで経済の20%程度を成り立たせている。

貧困層は相変わらず社会の末端に拡がっている。

ここへ乗り込むのがトランプ。ギクシャクしてきた米比関係の改善に向か
うことは明らかであるが、スビック湾とクラーク基地の再利用が議題にな
るか、どうかは不明。

マニラではトランプ大統領とドゥテルテ大統領との対決が見られる。  
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