2017年11月22日

◆雄安ハイテク都市は「実現しない」

宮崎 正弘

<平成29年(2017)11月20日(月曜日)弐 通巻第5512号> 

「習近平の夢」=雄安ハイテク都市は「実現しない」
    国家開発変革委員会幹部の喬潤令が爆弾発言

 身内から爆弾発言が飛び出した。中国共産党幹部が、習近平の路線に疑
問符を投げかけたのだ。

 「習近平の夢=雄安ハイテク都市は実現しない」と『財訊』のインタ
ビューに答えたのは新都心プロジェクトの大元、国家開発変革委員会幹部
の喬潤令である。

雄安は北京の南西120キロ、この地域を土木技術の粋を投じて開発し、エ
コ・シティの模範とするばかりか、ハイテク企業を集め、中国の新世代の
技術センターにも生まれ変わらせる、というのが習近平の夢である。

習近平の打ち上げ直後から、雄安地区の土地代はいきなり4倍となり、不
動産業者が殺到して買いあさった。このため不動産取引停止という措置が
とられた。

もともと習近平が『雄安都市』構想を打ち上げ、ハイテク企業をごっそり
と移転し、社会科学院など国家機関も移設して100万都市を建設すると言
い出したとき、多くのエコノミストが疑問視した。内陸部にあって交通ア
クセスが悪いうえ、地盤は湿地帯が多く、近くに大学も空港もないからだ。

推進者の言い分は「広東省の深センが小さな漁村から僅か30年で大都市と
なり、人口1000万を超えた。上海の浦東開発も、同じように発展したか
ら、北京の近くの郊外開発が主力の雄安都市も、政府の肝いりなら、出来
るに決まっている」

この見立てが間違っているのは、深センは海に面し、橋を渡れば香港であ
る。後景には豊かな広州と珠海ベルト地帯があり、香港ならびに海外華僑
の投資が集中していた。新幹線もつながって、条件に恵まれていた。

上海浦東の場合、もっと条件がよい。新空港が建設され、中国一のメガロ
ポリス上海が控えている上、この大都市を囲む浙江省には大学も多く、ハ
イテク企業が目白押しだった。アリババなどのハイテク企業100社以上
が、この周辺に集中していたから、浦東はいきなり発展したのだ。

日本企業の多い上海、その先の蘇州、無錫など、上海にはふたつの空港が
日本とも直行便で結ばれているし、杭州にも直行便がある。

雄安都市は、これらの前提条件がない。そのうえ共産党の上意下達ではノ
ルマ達成のための建設となり、結果は『幽霊都市』の残骸がひとつ増える
だけとなる。無駄な、しかも壮大な投資となって消えるだろう。

喬潤令は、これらに加えて「規制緩和、大胆な自由主義経済システムへの
改編がない限り、雄安都市は夢と消え、実現することはない」と言い切っ
ている。

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