2017年12月04日

◆「措置入院」精神病棟の日々(76)

“シーチン”修一 2.0

構想から6か月、11/28(いい庭)に屋上展望台「スカイデッキ」、ま“見
晴らし台”が竣工する。床面積は6畳ほどで、ビルの4階からの眺望が楽し
める。東北方向には東京タワーがよく見え、スカイツリーは最近できたマ
ンションに遮られて展望回廊(451m)あたりからてっぺんまでが見える
だけだ。

師匠の「頂門」渡部亮次郎氏や洋食店「あきら」はあそこいらだろうなあ
などと思ったりする。墨田川(大川)の空間があるためにアサヒビールの
ジョッキを模したビルは良く見える。「完成祝いで飲みたいなあ」とは思
うが、飲んだらアウト、サヨナラ負けだから、男の子は我慢せにゃならん。

西南方向は多摩丘陵で、真っ白い富士山の上部が見える。スカイツリーと
富士山を結ぶ線が多摩川を越えたあたりがわが展望デッキだ。

このデッキに天体望遠鏡を据えてもいいが、天文学にはまったく疎く「星
は見るもの、愛でるもの」派だからせいぜい月のニキビのような小惑星衝
突跡を眺めるくらいで、すぐに飽きてしまうだろう。迎撃ミサイルPAC3は
1ユニットが10車両以上(多分20トンとか)からなるので、とても設置は
できない。結局はときどきNikonの200ミリ望遠レンズで周囲を眺めるくら
いだろう。

スカイデッキは鉄パイプで塔屋周囲を囲っただけだが、自宅の2か所の物
置に放置されていた材料を利用したので、費用はペンキ、針金、ビニール
テープなど1万円ほどで済んだ。副産物として綺麗になった3F物置は書庫
にする予定で、これにより2Fの8畳間から大きな本棚2つ、小さいのが1つ
がなくなることになる。広々となるからKは大喜びだ。

(読書をしない人にとっては書物はたとえ名著であってもゴミでしかな
い。母御用達の呉服屋の番頭曰く「こんなに読んでどうするの?」、けだ
し名言だ。「どうするのか」を知りたいから読んでいる、とでも言ってお
けばよかった)

工事では孫が落ちないようにできる限り頑丈に造ったが、フェイルセーフ
主義で今後はさらに補強し、安全性と快適性を高めていく。鉄製の小さな
テーブルを据えたり、熱いコーヒーなどを上げ下げする仕掛けも造る考え
で、当分は作業療法の恰好の舞台となりそうだが、まともに木枯らしにさ
らされるのでこれからはかなり寒いだろう。

ま、小生の作品というかオモチャで、当分は楽しめる。北風の方向が良け
れば凧揚げもできそうだ。屋上には1/10、1/20スケールで「空に浮かぶ熱
気球」(簡単)や、「サーカスの綱渡りでヒヤヒヤドキドキの少女」(AI
によるバランスと歩行を研究せなあかんから難易度は高い)といったオブ
ジェも創って界隈の善男善女を楽しませたいなあなどとも思っている。

作業中はいろいろなことを考えるのだが、この頃は突然、昔のことを思い
出したりする。楽しい事柄が多いが、無念なこともちょっぴりある。「老
人は過去を生きる」というが、ああ、こういうことかと納得したり。若者
と老人の違いを考えてみた。

◆若者        ◆老人
未来を見る      過去を見る
これからの人     これまでの人
覚える人       忘れる人
上を向く人      下を向く人
ピチピチ       ヨレヨレ
ピンピン       フニャフニャ
異性が好き      異性が嫌い
大食い        小食い
金欠         病欠
発展途上人      衰退途上人
忙日閑あり      暇日閑のみ
アホ         さらにアホ

ま、当たらずとも遠からずか。

山本夏彦翁曰く「老人のバカほどのバカはいない」。基本的に老化ととも
に知能も劣化するから、社会人としての良識も怪しくなり、暴言、暴力の
不逞老人や、OS(オレオレ詐欺)に引っかかる痴呆老人も増えていく。

若いと異性への関心も高いが、以下のようなことを思い出したのにはビッ
クリした。まるで昨日のような感じだった。

<「修一はんが『お、今日は一段と別嬪さんやなあ』て言うてくれる日
ね、実はうち排卵日なんや」

5歳下の女の子が居酒屋でぽろっとささやいた。お酒で目の淵がほんのり
ピンク色になって、潤んでいる。

「ハイランビって、あの、受精しやすい日のこと?」

「そうや。なんで修一はんには分かるんやろ」

「フェロモンとかオーラとかが出ているんかいなあ、不思議やな・・・排
卵日って何日くらい続くん?」

「大体前後合わせて2〜3日いう話や」

「繁殖期か・・・動物は季節が決まっているそうやが、人間は基本的には
毎月2〜3日は繁殖期かいな。多すぎるんやないか、冷静に仕事ができへ
ん。いっそ季節を決めて、その間、現役夫婦は公休にしたらええんとちゃ
うやろか、前夜は壮行会を開いて応援歌や進軍ラッパで送り出すとかさ」

「そやね!」>

あの子、誰だったっけ・・・普通、異性との酒席で排卵日なんて話題には
しないのだけれど、もしかしたら彼女は「うち、受精したい気分や」と
ボールを投げてきたのかなあ、それなら惜しいことをした、あるいはその
ボールにバットを振ったらホームラン or 空振りで、別の人生になってい
たかもしれない。

人生は偶然の要素によることがかなり多い。小生が小学生のころ、4つほ
ど上の近所の福夫ちゃん(みなは「フクチャン→クッチャン」と呼んでい
た)は、数年前にお父さんが亡くなり、病弱のお母さんと姉、妹の一家4
人暮らしだったが、小さなニワトリ小屋みたいなバラックで、文字通りの
「清貧洗うが如し」だった。

クッチャンは中学を卒業すると小生の家の前の寿司屋に就職した(オヤジ
さんは小生にとって第二の父親だったが、陰に陽に夫婦でクッチャンを支
援していたようだ。オバサンは夕食を不思議なほどどっさり作っていた
が、今から思えばクッチャンに持たせたのだろう)。

1年ほど経つと、クッチャンは一家4人が住めるアパートに引っ越した(オ
ヤジさんが保証人になったり、敷金を出したのかもしれない)。16歳にし
てクッチャンは一家の大黒柱だったのだ。

やがてクッチャンは二輪車「ホンダドリームCB250」の中古車を買った。
初代CB250は1962年発売で、当時は250CCが最高クラス(白バイは唯一
350CC)、男の子の憧れだった。

仕事が休みの日、クッチャンは中学生の小生を乗せてドライブに連れて
行ってくれた。羽田空港のデッキから2人で飛行機を眺めたものである。
バイクの乗り方や空気銃など、女性の生理のこともクッチャンに教わっ
た。クッチャンは上に3人の姉を持つ小生にとって“アニキ”だった。

クッチャンは頭が良くて絵が上手だった。寿司屋の2F宴会場へ行く階段の
壁に日光の渓流を覆う紅葉を描いたが、もし彼が極貧の子でなかったのな
ら芸大で美術を学び、名を成したはずである(基本的に自作をプロダク
ション方式で永遠に“真似”し続けた東郷清児よりはるかにいい)。

クッチャンは若くして新興の新幹線都市「新横浜」に店を出し、オヤジさ
んの通夜の時は寿司を握って振舞ってくれた。オヤジさんへの恩返しなの
だろう。休みの日はクルーザーで楽しんでいると言っていたが、貧しさを
乗り越えて豊かに暮らしているようだった。オヤジさんは海釣りが好き
だったのでクルーザーで一緒に遠征していたのかもしれない。

運命とか偶然で人の一生が大きな影響を受ける。ロヒンギャで揺れるイン
ド/バングラの国境地帯に生まれていたら、今頃小生は異民族に迫害され
て、あるいは異民族を迫害しているかもしれない。運不運、人生は時に残
酷なものである。

小生が「まさか!」の酒乱、キチ〇イになったことは幕内“良き市民”転落
の痛恨の黒星だったが、断酒できたのは大金星だった。日馬富士もこの際
だから断酒した方がいいと思うがの・・・

11月中旬から徐々に抑うつ症状が改善し、何やらここ2、3日は躁状態の発
狂亭雀庵の病棟日記から。

【2017/1/7】*早朝、2F急性期病棟の女帝、ナースの“ジャイアン”と会
話。アル中だった住職の旦那とは別居して4年だという。道理でアル中に
詳しいわけだ。結局、

「あなたの発狂事件は家族にはトラウマになっているから、あなたが宗教
にすがって自己犠牲で引いたところで上手くはいかないし、長続きはでき
ないよ。時間が必要で、朝晩、天と家族に感謝していれば、やがて少しず
つ家族の傷が癒えていき、寄り添うようになるよ」

とのこと。経験者の言葉は重い。どうもそれ以外に道はないようだ。「恩
讐の彼方に」を期すしかないな。日米戦の傷も70年でようやく癒えてきた
感じがするが、わが家の場合はどうか。1〜2年で済むのかどうか・・・

*16:30、Dr,診察、「奥さんへの思いやりが必要」という。それは感性
などの右脳領域のことで、小生は基本的にロジック、論理の左脳人だか
ら、感性ソフトがどうも発達障害なのかもしれない。

Dr,によるとKは9日(月)に小生に面会してから外出の可否をDr.と相談し
ながら決めるという。今は夫婦の信頼関係が欠如しているのだ。

改めて「Kや子・孫を愛しているのか」と自問してみると、ただの「身近
な人、同居人」のような感じがする。信頼感とか、親愛の情といった
ウェットな感情がいささか欠落しており、「他人とは言わないけれど、結
局は他者だわな」という想いがする。自・他の距離感があり過ぎて、異常
かもしれない。かなり怪しく、そのうち専門家に聞いてみよう。

他者への関心が薄いから会話やおしゃべりが苦手で、そもそも興味がな
い。他者は他者、自分は自分。言った、言わないのトラブルが嫌いだから
「言いたいことはメモに書いてくれ」。これでは誰も寄り付かないが、静
かな方が好きだからまったく苦にならない。

思いやり:他人の身の上や気持ちを推し量ること、同情。sympathy:同
情、哀れみ、同感、共鳴。

小生が目指すのは孤高の人、孤立主義、独立独歩で、「思いやり」という
感覚がよく分からない。

【1/8】*このところ体が地に着いていない感じで、フワフワしている。
薬やサプリメントの影響とか、運動のし過ぎとも考えられる。もうすぐ66
歳だから、そんな風になるのも自然なのかもしれない。終日、部屋を飾っ
たり、機能的にして楽しんだ。

*夕食後に“バアバ”とおしゃべり。「お正月は外泊したみたいね、どうで
した?」と聞けば、「あっという間の2泊3日でした。家はやっぱりいい
わ、自分で料理も作れるし」。

一時期、彼女は料理ができなくなっていたのだが、家族から「おいしい
ね」と言われてから料理を以前のように作れるようになったと言っていた。

家族からの「思いやり」とは、そういう感謝の言葉や励ましなのかもしれ
ない。「ありがとう、美味しかったよ、また作ってね」とか・・・(つづ
く)2017/11/28



      

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。