2018年01月02日

◆戌年は大波乱、平成30年(2018年)予測

                    宮崎 正弘

平成30年(2018)1月1日(月曜日)通巻第5563号   

 戌年は大波乱、平成30年(2018年)予測
  トランプ中間選挙勝利、安倍首相悠々3選。朝鮮戦争の危機高まる

新年は目出度くもあり、目出度くもなし。
 
戌年は歴史的にみても大変化が繰り返されてきました。とくに本年は戊
戌。国際情勢は大荒れになりそうです。

米国は利上げ観測が高まり、株価は低迷傾向が前半期から顕著となり、逆
に日本株は上昇機運、日経平均は2万6000円台をうかがう地合が形成され
ています。

「安倍一強」は変わらず、おそらく戦後歴代首相の長期記録を塗り替える
でしょう。

習近平は前半期までやや安泰かも知れませんが、後半、経済の直滑降大暴
落が始めれば、フルシチョク的解任へ向かって高層部の権力闘争が激化
し、暴走が始まる兆しも否定できず、したがって中国は対外矛盾に外交を
転回し、北朝鮮か、尖閣諸島を狙った「小さな戦争」をおっぱじめる危険
性があります。

米国トランプ政権は日本のメディアが予測することとは逆に地盤が固まっ
ており、共和党主流派も、彼を引きづり降ろそうとするより秋の中間選挙
勝利に向けて陣営の立て直しをやり始めるでしょう。

トランプの支持率は回復気味です。エルサレムへの米国大使館移転があた
らしい波紋を呼ぶとはいえ、すでにイスラエル・パレスチナ紛争は地域限
定、世界史の視点からは大きく外れており、焦点はシリアからトルコ、レ
バノン、イラク、そしてイランに移っています。

厄介なのはBREXIT以降のEU諸国の亀裂、その方向性が不明となり
ました。

ドイツがいまだに連立政権を組めず、ひょっとして総選挙やり直しとなれ
ばメルケル退陣が射程に入ってくる。

シリア難民は「ゲルマン民族の大移動」の如しであり、トルコが300万人
を引き受け、セルビア、ハンガリーなどが国境を封鎖したため下火とは
いえ、こんどはアフリカからの難民が南欧に押し寄せており、引き続き
EU諸国の難題であり続けるでしょう。
 

 ▼欧州の団結がささくれだってきた

住民投票で独立賛成が過半をしめたバルセロナ中心のカタロニアは、選挙
やり直しの結果、またも独立賛成が多数となり、スペイン政府はなす術も
なく悄然となって、フランスもオーストリアも、イタリアも保守系政党が
大躍進、EU統合への亀裂がますます鮮明化しています。

オーストリアとオランドには保守政権が誕生し、ポーランド、ハンガリー
は明確に移民政策でEU主要国と対決し、つぎにバルカン半島に目を転ず
れば、セルビアとボスニアヘツェゴビナとの国境付近で停戦以来の「地域
独立」、もしくはセルビアへの編入をめぐる戦争が勃発する可能性がある
とTIMEが予測しています。

ロシアはすでに有力な対立候補がなく、プーチンは大統領職にとどまるば
かりか、シリアで確立された世界史的プレイヤーの位置をさらに強靱なも
のとして、中東政治に介入してくるでしょう。

とりわけ、ロシアートルコーイラン枢軸の形成を政治的に留意すべきです
し、サウジが呼びかける対イラン包囲作戦にエジプトとUAEがどの程度
関与するか。

かようにして欧州の団結がささくれだってきました。
 
朝鮮半島問題は日本の核武装議論を覚醒し、アメリカは日本に核保有を促
す人が増えており、日米安保条約の改定にむけての基盤醸成がなされそう
です。

北朝鮮は挑発行為を止めない限り、いずれアメリカのミサイル攻撃を受け
ることになりそうで、ここにロシアが絡み、中国が別のシナリオで行動す
るとすれば、下手をすれば第二次朝鮮戦争への口火をきることになりかね
ません。

ことほど左様に戊戌の年は、国際情勢波瀾万丈です。
         
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 幕末維新から日清日露、日本のダイナミックな歴史を裁断しつつ
  自衛力のない日本外交は福沢諭吉の警告を忘れていないかを問う


渡邊利夫『決定版 脱亜論』(育鵬社)
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一年の計は元旦にあり、まさにそれを考えるにふさわしい書が、本書である。

題名から判断すると、一見、福沢の警告本『脱亜論』の現代訳と解題の本
かと誤解しそうである。

ところが本書はまったく異なっての戦略的思考書であり、福沢諭吉の思想
と、その執筆動機となった同時代の国際的状況を、現代日本の立ち位置を
対比されながら、渡邊氏は我が国の自立自尊の原則的なありかたを追求し
ている。

同時にこの本は渡邊氏の現代史解釈であり、そのスピード感覚、パノラマ
的叙述の展開におけるダイナミズムもさりながら、基礎に横たわる確乎た
る愛国心を読者は発見するだろう。

主眼は下記の訴えである。
 
「外交が重要であるのはいうまでもないが、弓を『引て放たず満を持する
の勢いを張る』(福沢諭吉『脱亜論』)、国民の気力と兵力を後ろ盾にも
たない政府が、交渉を通じて外交を決することなどできはしない、と福沢
はいう。極東アジアの地政学的リスクが、開国・維新期のそれに酷似する
極度の緊迫状況にあることに思いをいたし、往時の最高の知識人が、何を
もって国を護ろうと語ったのか、真剣な眼差しでこのことを振り返る必要
がある」。

しかし。

現代の状況を見渡せば、日本は国家安全保障を日米同盟に好むと好まざる
とに関わらず依拠し、しかも歴代自民党が、あまりに依存度を深くしすぎ
て独立の気概を忘却の彼方に置き去りにしたが、本質的な情勢把握ができ
ている中国は、この日本の脆弱性がどこにあるかを知悉している。

だからこそ、と渡邊氏は続ける。

「中国が、東アジアにおいて覇権を掌握するための障害が日米同盟であ
る。中国は、みずからの主導により東アジア秩序を形成し、日本の外交ベ
クトルを東アジアに向かわせ、そうして日米離間を謀るというのが中国の
戦略である。日本が大陸勢力と連携し海洋勢力との距離を遠くすれば、日
本の近代史の失敗を繰り返すことになる」(236p)。

たしかに外交の裏付けは軍事力、情報力だ。
 
この2つを欠如する日本が、アジアの暴力国家群と渡り合えることはあり
得ず、北朝鮮の挑発、韓国の暴発、中国の『アジア的暴力』に対抗するに
はどうしたらよいのか、自ずと結論は見えている。

渡邊氏はアジア全般の経済に関して造詣が深い学者であるが、いまの中国
を、次のように簡潔に概括されている箇所があり、大いに参考になった。

「古来、中国に存在したのは封建制ではなく、郡県制である。全土をいく
つもの郡にわけ、郡の下に県をおき、それぞれの郡と県を中央の直下にお
いて、その統治は中央から地方に派遣された官僚によって一元的になされ
るという、皇帝を頂点とする古代的な官僚政治体制が一貫して踏襲されて
きた。朝鮮の王朝は中国のコピーだといっていい。郡県制は、封建制とは
対照的な中央集権的で専制的な統治機構にほかならない」(12p)

まさに中国の政治体制は、いまもこの原則が機能しているばかりか、じつ
は中国の軍隊制度も同じなのである。すべての軍区が中央軍事委員会直轄
となって、習近平皇帝直属の軍隊と組織図的には編成替えされているので
ある。

とはいえ、地域的軍閥がなぜ危機になると生まれるかは、じつはその弊害
の反作用であり、中央の強圧的求心力が弱まると、自らが遠心力に便乗し
得独自的行動を開始する特徴がある。
 念頭に読んで、大いに参考となった。

      

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