2018年01月03日

◆中国、さらに厳しい外貨持ち出し規制

宮崎 正弘

平成29年(2017)12月31日(日曜日)通巻第5562号   

中国、「旧正月」を前に、さらに厳しい外貨持ち出し規制
  ひとりの上限を5万ドルから1万5000ドルに

 旧正月を前にして、中国人の海外旅行はピークを迎える。
 
3年前まで、中国人の「爆買い」は世界に脅威の印象を与える一方で小売
業界は商機到来と捉えた。ホテルや、デパートばかりか、ドンキホーテな
ど、あらゆる店舗が改装し、中国語のできる店員を雇い、さらなるブーム
に備えた。欧米でも同じ対策をとった。

ところが、爆買いは「突然死」していた。銀座のブランド旗艦店を覗かれ
ると良い。店内がガラガラである。

外貨持ち出しが制限され、ATMから現地で引き出せる上限は一日に1万
元(約」16万円)、年間に5万元(80万円)となったのも束の間、2017
年12月30日に当局は、後者の上限を1万5000ドル(24万円)に制限すると
した(前者は据え置き)。

これっぽっちの上限枠では海外で食事をして、交通費などを考えると、土
産にまで予算は回らないだろう。1
年に1
回ていどしか海外旅行は楽しめなくなる。逆に言えば中国人の観光客が世
界的規模で激減するだろう。

日本でもすでにその兆候があり、かれらの食事場所は豪華レストランか
ら、吉野屋、回転寿司、立ち食い蕎麦、すき家などに移行している。

過去2年間の動向をみても、中国人ツアー客相手の免税店は閑古鳥、店員
は暇をもてあまし、地方都市(福岡、神戸、長崎など)でも、ホテルはが
らんとしている(クルーズ船が主流となったからだ)。カメラ店も、ブー
ムは去ったと嘆いている。

新しい外貨規制は、2018年1月1日から実施される。

中国政府の発表では、目的は(1)資金洗浄を防ぎ(2)テロリストへの
資金の迂回を止める。(3)脱税防止としている。

そんな表向きのことより(そもそもATMを使って利便性の高い現地通貨
を目的地で引き出す上限が1日16 万円ていどで、資金洗浄、テロ資金、脱
税などに転用される筈がないではないか)、本当の目的は底をついている
外貨を防衛することになる。

あれほどブームだったビットコインも中国では取引所が停止されたため、
突然ブームは去った。ビットコインは昨秋から日本に熱狂が移った(が、
そのうちの幾ばくかは在日華僑、日本人を代理人に立てた中国人投機筋だ
ろう)。


 ▼本当の目的は外貨流出防衛だ

拙著で度々指摘してきたことだが、中国の外貨準備、公式的には3兆ドル
と言っているが(このなかには1兆1000億ドルの米国債権を含む)、対外
債権の多くが「一帯一路」の頓挫が象徴するように、すでに不良債権化し
ており、あまつさえ共産党幹部が不正に持ち出した外貨が3兆ドルを超え
ている。つまり中国の外貨準備は事実上マイナスに転落していると推測で
きる。

かろうじて中国が外貨を取り繕えているのは、貿易によるドル収入と、海
外企業からの直接投資が続いているからだ。これでなんとかやりくりして
はいるが、予測を超えるペースで外貨準備が激減しており、今後も、この
動向は悪化してゆくだろう。

次なる対策として、おそらく中国は海外で購入した資産売却に走る。つま
り買収した企業、土地、不動産の売却である。

また同時に「上に政策あれば、下に対策あり」の中国人のことだから、別
の手口により新現象が併行して起こるだろう。

第1はヤミ金融、地下経済、偽札の横行が予測され、第2に外貨持ち出し
も、小切手や証券などの手口が使われ、詐欺的な新手口が見られるように
なるだろう。

第3にこれまで日本などで買ったローレックスなどを逆に日本に持ち込ん
で売却することも予測され、ダイヤモンドなど換金価値の高いものが逆流
することになるのではないだろうか。
          
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1680回】           
――「早合點の上、武勇を弄ぶは、先ず先ず禁物とせねばならぬ」――(川田5)
川田鐵彌『支那風韻記』(大倉書房 大正元年)

    ▽

これまでも「各省で鑛山其他の物件を擔保に入れ」、いままた「軍隊解散
費及行政費の充つる爲」に借款に頼る。これに対し「列國は競うてこの借
款に應ずる」。その結末がどうなるのか。貸す方も、借りる方も、よくよ
く考えるべきだ。

「其五」=「中華民国は、どのくらいつゞくであろうか」。中華民国とは
いうものの、「極端に中央政府の權力の乏し」く、「各省毎に多大の實權
を有する共和政體で進む」しかないだろうが、それでは「國一國の體面を
取り直し、經濟上の基礎を鞏固にする」ことは「骨の折れる話である」。
各政治勢力が「何時迄も、内輪喧嘩するようでは、國内疲弊するばかりだ」。

中華民国崩壊は、日本にとって「一衣帶水を隔てた一大障壁を無くす」よ
うなもの。だからこそ「この際、多大の同情を以て、支那を研究する必要
がある」。だが、「書物の上で調べた支那大陸と、實地踏査した支那大陸
とは、著しく相違の點がある」。

やはり「孔孟の立派な學問は、日本に於いて、其の實を見ることが出來る
も、支那大陸では寧ろ有名無實の嫌がある」。「支那大國は、隣國であり
ながら、日本人に其眞相が誤解されてゐる」。これは、これまでの学者が
「或る程度の迄は、其責任を負はねばなるまいかと思ふ」。なぜ、いまな
お「日本人に其眞相が誤解されてゐる」のか。川田は痛憤する。

「支那に對しては、列國とも、其前途に就き、多少疑問を抱いて居
る」。日本人と違って「歐米人士は、支那の内地に入り、殖産興業上に關
し多大の研究を重ね」ている。だから、残念ながら「支那の現状を詳に研
究せんには、外人の著作を手に入れるより他」に便法はない。

ビジネスという「所謂平和の戰爭に、勝利を占むることは、今日の急務で
ある」からして、愛国心に富む商工業家が一念発起して、「特に江西・江
蘇・浙江・福建方面に、然るべき研究隊を派遣し、靜に實地調査に意を用
ひて貰ひたい」ものだ。

日本は、軍事力を頼って「干渉の下、無理に植民政策を施さんとせる獨逸
の不自然を學」ぶべきではない。日清・日露の両戦争で列強の関心が薄れ
た揚子江一帯に多額の資本を投じ、確固とした基盤を築いた「英國の態度
を、腹に入れてかゝ」るべきだ。それというのもイギリスは「武力もあれ
ば金力もあり、ゆったりとした中、抜け目のない、植民政策經驗に富ん」
でいるからだ。やはり日本は「抜け目のない、植民政策經驗」に乏し過ぎた。

なぜイギリスに学ぶべきか。ドイツ方式では、「元來恩を仇に持つ癖のあ
る支那人に、惡感情を抱かしむるばかりでなく、意外に、列國の非難を蒙
ることに陷らないとも限ら」ないからだ。

世界における日本の立場からして、「これから先は、どこ迄も落付いて、
公明正大の方針を採らねばならぬ」。「武勇を示して、商工業家を輔佐す
る位は、別に差支もなかろう」。だが、「早合點の上、武勇を玩ぶは、先
ず先ず禁物とせねばならぬ」。やはり「聲を小に、實を大とするは、最も
肝要である」。

この時から日本の敗戦までの大陸における日本の動きを振り返るに、総
じて言えることは「聲を小に、實を大とする」方式とは程遠かったように
思う。長い歴史と豊富な経験に基づく「ゆったりとした中、抜け目のな
い、植民政策經驗に富ん」だイギリスを筆頭とする諸列強の思惑に翻弄さ
れ、やがて悪辣・巧妙なスターリンに眩惑され、『四捨五入』するまでも
なく、「聲を小に、實を大とする」とは真反対に、声を大に、実を小で終
わった。

それにしても川田が学ぶべきではないと主張した「干渉の下、無理に植
民政策を施さんとせる獨逸」が、日中戦争中も、現在も、『友好裡』に対
中関係を推移させているカラクリは、やはり突き詰めて考えたい。たんに
ドイツが騙されているわけでもなかろうに。

それにしても「元來恩を仇に持つ癖のある支那人」とは・・・言い得て妙
である。
                       《QED》
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