2018年04月02日

◆森友文書だけが日本の問題ではない

櫻井よしこ


「森友文書だけが日本の問題ではない 国の安全への責務を政治家は自
覚すべきだ 」

3月19日の参議院予算委員会で安倍晋三首相は、森友文書書き換え問題で
「行政全体に対する最終的な責任は首相である私にある」と陳謝した。

その上で、「私や妻が国有地払い下げや学校の認可に関与した事実はない
ことは明らかだ。書き換えを指示していないし、そもそも財務省理財局や
近畿財務局の決裁文書などの存在も知らない。指示のしようがない」と
語った。

財務省が発表した76ページの文書には首相夫妻関与の痕跡は全く無い。

省の中の省と言われる財務省が決裁文書を書き換えていたことは重大問題
であり、首相をはじめ政治による不当な真実隠しがあれば糾すべきなのは
当然だ。この二つの問題には粛々と取り組めばよい。だが、急展開する国
際情勢を見れば、国会が同問題だけにかまけていてよいはずはない。国会
は日本の命運を左右する大きな国際情勢問題に急ぎ取り組むべきだ。

ドナルド・トランプ米大統領は国務長官のレックス・ティラーソン氏を更
迭し、マイク・ポンペオ氏という元米中央情報局(CIA)長官で対北朝
鮮強硬派を後任に指名した。トランプ氏は国家安全保障問題担当補佐官、
ハーバート・マクマスター氏も解任する方針だと報じられている。後任と
して取り沙汰されるのがジョン・ボルトン元国連大使ら、対北朝鮮強硬派
である。

北朝鮮を巡っては、4月末に南北朝鮮首脳会談、5月には米朝首脳会談が予
定される。南北首脳会談の韓国側準備委員長は、北朝鮮の故金日成氏の主
体思想の信奉者で、朝鮮民族として正統性を有する国家は韓国ではなく北
朝鮮だとの考えを隠さない任鍾ル(イム・ジョンソク)氏だ。

同氏の下で首脳会談を調整するのは2000年の金大中・金正日首脳会談を設
定した責任者、林東源元統一相だ。大中氏は秘密資金4億5000万ドルを正
日氏に貢いでようやく会談してもらったのだが、そのお膳立てをしたのが
林氏だったとみてよいだろう。韓国が北朝鮮にのめり込むのが4月の南北
首脳会談だ。その後に誕生する韓国は今よりずっと親北だろう。

米国は5月の米朝首脳会談を目指して準備中だ。日本は4月中に日米首脳会
談を開く。米朝首脳会談が本当に実現するのか、実はまだわからないが、
実現すれば日本に重大な影響を及ぼすのは確かだ。わが国の準備は進んで
いるのか。

日本にとって最悪なのは、北朝鮮が米本土に届く大陸間弾道ミサイル
(ICBM)を放棄するだけで米国が納得することだ。北朝鮮は日本を十
分狙える核とミサイルを手にすることになり、到底日本は受け入れられな
い。日米の絆である日米安全保障条約の基盤は大きく揺らぎ、それは日本
の国益にも米国の国益にもならない。

安倍首相は4月の首脳会談でトランプ大統領にそのことをよく理解させな
ければならない。だが、強固な日米同盟が大事だとトランプ氏に納得させ
るには、同盟が米国にとっても代替不可能な必須の戦略基盤であることを
示さなければならない。そのために日本のなすべきことを国家戦略として
決めておくことが欠かせない。

折しもユーラシア大陸には中国の習近平政権とロシアのプーチン政権とい
う、事実上の終身皇帝を戴く専制独裁政権が誕生した。政権地盤を固めた
2人の専制者は、国内基盤強化のために厳しい対外戦略を打ちだすだろう。

かつてない厳しい国際情勢の中で日本が依って立つ基盤は日米同盟しかな
い。同盟を日本の国益を守る方向へと導くためになすべきことを決め、具
体的政策に移す局面だ。その作業を日米首脳会談前までに全力で行わなけ
れば日本は深刻な危機に直面する。森友文書だけが問題ではないのだ。日
米同盟に生じ得る根本的揺らぎを読み取り日本国の安全を確固たるものに
する責務を政治家は自覚すべきだろう。

『週刊ダイヤモンド』 2018年3月31日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1225 

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