2018年04月16日

◆中国のビッグデータは

宮崎 正弘


平成30年(2018年)4月12日(木曜日)通巻第5670号 

 中国のビッグデータは反政府分子やスパイの摘発ばかりではない
  国内の金融取引の全てを掌握し、管理する邪悪ビッグブラザーの元締めだ

中国は従来の金融監督官庁を統合して「銀行保険監査管理委員会小組」を
立ち上げた。トップは劉?(副首相)である。中央銀行の従来の役目を取
り上げるのか、並立的な組織となるかは不明だが、その目的は単純明快で
ある。

2015年の上海株式暴落を、中国政府は管理の不徹底によってシャドー・バ
ンキングならびに金融ユニット末端の新興組織(これも影の銀行の範疇に
はいる)が、高金利を謳って投資家から金をかき集め、それを信用取引で
4倍、10倍に梃子を効かせて株式市場に注入したからであるとした。

なぜなら株価が下落すれば投資家は証券会社から保証金の追い証を取られ
るが、おおくの投資家は借金して、ハイリターンを信じて投資したのであ
り、そのメカニズムさえ理解できずに、ひたすら株はあがるものという信
仰がもたらした熱狂的投機だった。

実態はと言えば、太子党や証券にすくう代理人等の空売り、それも巨額の
空売りがなされ市場の狼狽が次の下落を招いたからである。

上海株式市場から蒸発したカネは5兆ドル(当時のレートで500兆円)と
当局は算定している。株式は時価総額の合計から下落額を引けばそうなる
が、実際には、それだけの現金が消えたわけではない。5兆ドルというの
は時価総額のことである。

「けっきょく監督力が不足したのだ」というのが、中国政府の驚くべき安
易な総括で、再暴落を防ぐには、徹底した管理が必要という共産党独裁者
の狭窄な思考範囲が達した予防策である。

つまり最新のデータベースを使って、銀行間、銀行・証券間、銀行の地方
政府への融資ばかりか、証券と保険の迂回融資、影の銀行の実態を掌握す
るために個人の銀行口座の取引記録まで閲覧し、これらのデータから対策
を割り出すという、あくまでも共産党の人民管理方法の発送の延長線から
生まれてきた対策なのである。

「e租宝」とう新興のネット企業は、p2p(ネットでのカネの貸し借
り、当局には届け出だけで良かった)の大手である。[e租宝]に群がっ
た投資家がおよそ90万人もいて、ファンドライジングであつめたカネは
77億ドル。

魅力的な高利を謳って、多くのプロジェクトを提示し、薔薇色の将来の収
入を画面に分かりやすく描いて夢を売り、民衆のカネを集めたのだ。
ところが調査した結果、95%のプロジェクトは胡散臭い、実態のないも
のだった(サウスチャイナモーニングポスト、4月11日)。

かくして中国のビッグデータは反政府分子やスパイの摘発に向けられるば
かりではなかった。国内の金融取引の全てを掌握し、管理する巨大なビッ
グブラザーの元締めとなるのだ。 
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