2018年05月08日

◆「小義」では崩せぬ安倍一強体制

杉浦 正章



“四人組”の仕掛けは空振り
 

「春雨や食われ残りの鴨が鳴く」は一茶の名句だが、自民党内は小泉純一
郎を中心とする“ノーバッジ四人組” が、「グワッ!グワッ!ワッ!」と
なにやら姦(かしま)しい。どう見ても疝気筋のOBが「安倍降ろし」を始
めようとしているかのようだ。

そこには国民に通用する「大義」はなく、個人的な恨み辛みを晴らそうと
する「小義」しかない。小義で国政の中枢を攻撃しても説得力はない。9
月の自民党総裁選で安倍3選という流れを変える力にはなるまい。

まず四人組の発言を検証する。姦しい筆頭は何と言っても小泉。それも親
子で姦しい。親は「3選は難しい。信頼がなくなってきた。何を言っても
言い逃れ。言い訳と取られている」だそうだ。この発言から分かる小泉の
政治判断は「信頼がなくなってきたから3選は難しい」だが、一体誰の信
頼がなくなったのか。

国民に聞いたのか。それともTBSやテレビ朝日の情報番組の軽佻(けちょ
う)浮薄な報道の請け売りなのか。息子の小泉進次郎も「全ての権力は腐
敗する」だそうだ。

英国の歴史家ジョン・アクトンの言葉の請け売りだが、アクトンは専制君
主の権力はとかく腐敗しがちであるということを言ったのであり、民主主
義政権の批判では更々ない。学校で習ったの政治学用語などをそのまま
使ってはいけない。現実政治にそぐわない。青いのである。

政界ラスプーチンのように陰湿な印象を受ける古賀誠も「首相は改憲あり
きだ。憲法9条は一字一句変えない決意が必要だ」と安倍の改憲志向を攻
撃する。これこそノーバッジが発言すべきことだろうか。

口惜しいのならバッジを付けて「改憲反対党」を結成してから言うべきこ
とではないか。それとも民放から“お呼び”がかかるように、アンチ安倍を
売り物にしているのだろうか。

 山崎拓の「財務相が辞める以外に責任の取り方はない」は、独断。福田
康夫は自身が旗振り役だった公文書管理法に触れ、「いくら法律やルール
をつくっても守ってくれなきゃ全く意味がない。政府の信用を失う」と述
べ、財務省による公文書改ざんなどを批判した。これも自分の冴えなかっ
た政権を棚に上げた難癖だ。

口裏を合わせたような安倍政権批判発言の連続だが、その狙いはどこにあ
るかだが、おそらく“政局化”の瀬踏みであろう。導火線に火を付けて自民
党内の反安倍勢力をたきつけようというわけだ。

しかし、“仕掛け”はしても肝腎の党内は全く呼応しない。導火線は湿って
進まないのだ。せいぜい村上誠一郎あたりが反安倍の牙城TBS時事放談で
「日本が崩壊しようとしている。

政治と行政が崩壊しつつある」と太った腹を叩いて呼応しているが、誇大
妄想が極まったような発言にはよほど馬鹿な視聴者しか喜ばない。そこに
は大義がなくて個人的な憎しみだけをぶつけても共感は沸かない。

 
一方で、党執行部も沈黙していては安倍から疑われると考えてか、3選支
持論が盛んに出始めた。幹事長・二階俊博は「安倍首相支持は1ミリも変
わっていない。

外交でこれだけ成果を上げた首相はいない」と持ち上げた。なぜか眼光だ
けは鋭い副総裁・高村正彦に至っては「日本の平和と安全にとっても、安
倍首相は余人を持って代えがたい」と持ち上げられるだけ持ち上げた。

そもそも安倍支持の構図を見れば、細田、二階、麻生の3大派閥が 支持
しており、これだけで人数は197人に達する。これは405人の自民党国会議
員の半数に迫っている。シンパを含めれば3分の2は固い。

これに対して岸田文男ハムレットは、禅譲路線を走るべきか戦うべきかそ
れが問題じゃと優柔不断。もっとも戦うにしてもとても過半数はとれる情
勢にはなく、戦うことに意義があるオリンピック精神でいくしかない。し
かし、この路線が政治の世界では通用するわけがない。無残な敗北は、将
来の芽を自ら摘んでしまう。46人では多少は増えてもいかんともしがたい
のだ。

将来もくそもないのは石破茂だ。もっと少なく総勢20人の派閥では総裁選
出馬に必要な推薦人20人を自前で確保できない。自分は数えないから
19人しか推薦人がいないのだ。1人や2人は集まるだろうが、それでは
とても安倍には歯が立たない。

TBSもテレビ朝日も的確な分析が出来るコメンテーターがゼロで、放送法
違反すれすれの反安倍色の強い情報番組をやっているが、昔から民放テレ
ビの無能さは度しがたい。

加えて安倍政権は安倍の外交指向に近隣諸国の情勢が作用して、外交日程
が押せ押せになっている。極東緊張緩和が大きく動こうとしている。9日
には東京で日中韓首脳会談とこれに合わせて日中、日韓首脳会談がそれぞ
れ行われる。

約2年半ぶりとなる会談は北朝鮮の完全な非核化に向けた具体策や、米朝
首脳会談に向けた連携を確認する。5月下旬には日露首脳会談。6月8
日、9日には先進7か国首脳会議がカナダで開催される。

同月中旬までには米朝首脳会談が予定され、これに加えて日朝首脳会談も
浮上するだろう。マスコミは内閣支持率が30%台に落ち込んだと批判する
が、外交で持ち直すだろう。そもそも30%台などは通常の政権だ。佐藤政
権などは長期に30%台だった。

こうした重要な外交日程を前にして野党が国会で、つまらぬ森友だの加計
だので安倍の足を引っ張れば朝日や民放がはやし立てても、世論からブー
メラン返しに合うだろう。

既に昨年の総選挙が証明したとおりだ。野党は追及すべき外交、政策課題
は山積しており、モリだのカケだのと無為無策のまま6月20日の会期末を
迎えるべきではない。しかし、結果的には安倍は終盤国会を乗り切るだろ
う。そうすれば、9月の総裁選挙まで3か月。安倍は事実上有利な態勢の
まま総裁選に突入する公算が大きい。最近安倍はいい顔になってきた。

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。