2018年05月09日

◆「非関税障壁でアメリカの自動車が

前田正晶


未だに「非関税障壁でアメリカの自動車が売れない」と我が国を責めるの
は戯言だ

私は5月5日にアメリカの我が国に対する貿易赤字問題を論じて下記のよう
に指摘していたので、ここでは「我が国はアメリカというかトランプ大統
領とその側近に向かって下記のような主張をすべきであり、この程度のこ
とを言ったくらいで失うものはない」と敢えて言おうと思う。

即ち、敢えて重ねてアメリカ側というかデトロイトの主張が如何におかし
いかを述べておこうと思うのだ。非関税障壁などという言いがかりは
30〜40年も前の蒸し返しであって、全く現実味がないのだ。もしもアメリ
カの自動車メーカーもトランプ大統領も、ライトハイザーUSTR代表が本気
でそう言っているのだったら「知らないからこそ言える妄言」の他ならな
いのだ。

私は彼らというか、我が国のアメリカ製の車を売る業者の努力も不十分で
は無いのかと思う。東京都内を歩けばドイツやイタリアの車の販売店の展
示場は幾らでも見かけるが、アメリカの車だけの販売店の展示場を見た記
憶は無い。努力不足ではないのか。

>引用開始

私はトランプ大統領が大統領として貿易赤字を削減しようと言われるのは
当たり前のことだし、特に間違っているとは思わない。だが、細川昌彦氏
も指摘されたように30年も前の貿易摩擦の時期に何あったのか、何故アメ
リカは大きな赤字を抱えるようになったかをご存じで言っておられるとは
とても思えないのだ。

また、何かと言えば、デトロイトの詭弁を信じて「我が国が非関税障壁を
設けてアメリカ産の自動車を輸入しないのが怪しからん」と言うのは、自
国の問題点を全く認識していないからこそ言える台詞だと思う。

私は何度「未だに左ハンドルの車しか作らない姿勢を反省もしていないの
は不当であ。ドイツを筆頭に欧州車が何故我が国で売れているかを知ろう
ともしないのか」と批判し続けてきた。英語の表現では右ハンドルの我が
国の車は The steering wheel is on the wrong side. となってしまう
のだ。即ち、「ハンドルが誤った位置にについている」という観念なの
だ。誤った位置に付けているのは自分たちだという自覚がないのだ。

細川氏はこの件の締めくくりで興味深いことを言っていたのには同感だっ
た。それは「もしも、我が国がそれでは『アメリカ産の車を100万台輸入
しましょう』と言ったならば、その場合に入ってくるのはアメリカで製造
されたトヨタやホンダの車になることになってしまうぞ」だった。現に、
所謂逆輸入の車は入ってきている。

私は細川氏の言を借りるまでもなく、政府なのか経産省なのか、茂木大臣
なのか知らないが、デトロイトに向かっては「貴方たちが如何に誤ってい
るか」を怖めず臆せずに言って聞かせるべきだし、ライトハイザーUSTR代
表もこれくらいのことが解っていないはずはないと思っている。

<引用終わる

お気付きの方が多いことを希望的に考えているが、未だにハンドルが反対
側に付いた車しか造らず、売れないのを我が国の市場のせいにしている点
などは典型的なアメリカのビジネスマンの悪い癖で「自分たちの至らざる
を潔く認めることなく、買わない日本が悪い」と開き直っている姿勢は
1990年代かそれ以前から全く変わっていないのだ。私は何度も繰り返して
指摘したが、1994年7月にUSTRのカラーヒルズ大使は「対日輸出が振るわ
ないのはアメリカで初等教育が充実していないことと、識字率が低すぎる
点に問題があるからだ」と率直に認めておられた。

同じ頃にFRBの議長のグリーンスパン氏は「アメリカの労働者階級では
numeracy(=一桁の足し算と引き算ができる能力)が低いことは問題であ
る」と指摘されてていた。これらの指摘が意味するところは簡単に言えば
「労働力の質の低さ」である。

そういう言い草を21世紀の今日まで引き摺って難癖を付けるアメリカの手
法はフェアーではない。尤も、カーラヒルズ大使は「そうであっても買わ
ない日本が悪い」と指摘された。彼らは何があっても負けないのだ。

貿易赤字対策で我が国に圧力をかけるのも一法だろうが、その手法はクリ
ントン政権下でも失敗した実績がある。どのような製品を如何なる手法で
売り込めば成功するかをもっと真剣に検討すべきだ。トランプ大統領がご
執心のFTAも一つの手段だろうが、それがもしも締結に成功したとして
も、どれほどの日時を要するかをお考えだろうかと疑ってしまう。即ち、
赤字削減の即効性はないという意味だ。既に指摘したが、W社の紙パルプ
製品がなくなっただけでも数百億円の売り上げを失っているし、他のアメ
リカの同業者だって同様に市場を失っているはずだ。

我が国がアメリカの貿易赤字削減に協力すべきだろうとは思う。だが、自
分たちが何ら工夫も十分な努力もせずにいきなり関税をかけるとか、圧力
をかけるだけではこの世界でも有数に難しい市場での売上高を伸ばすのは
容易ではないと20数年の経験からも敢えて指摘しておく。

ロッキー山脈の東側に立地する製造業者が本気で大量に日本に売りたいと
企画している製品があるのだろうか。彼らが真剣に対日輸出に取り組も
うと思う能力が高く英語力もある日本人の社員を十分に集められるのだろ
うか。

ところで皆様に伺いますが、アメリカ産の自動車でトヨタやホンダを捨て
てまでも是非とも買いたい車種かブランドがありますか。何でも良いから
アメリカの製品でなければ買わないと執着されたい商品がありますか。ラ
ルフローレンやブルックスブラザーズやJ.PRESSなどはアメリカで造って
いる訳ではないのですが。



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