2018年05月31日

◆あえかな女性を泣かせるな

加瀬英明


私は幼い時から、父から「女性と動物を苛めてはならない」と、躾けられた。
外交官だった父・俊一(としかず)は、101歳で生涯を閉じた。その他に、
とくに教えられたことはない。

 最後の日まで元気だったが、女性を大切にして、優しかったから、艶が
あった。

やはり若いころから、外務官僚として新橋のお茶屋に通ったからだろう。
私は中学生のころに洋食屋で、父の馴染みの芸者衆に引き合わされた。

そんなことから、私が50を過ぎて父の家に寄ると、新橋の80歳を超える姥
桜(うばざくら)が遊びにきていて、「まあ、お坊ちゃま、おおきくなられ
ましたこと」といわれて、閉口したものだった。

 父は気障なところがあった。女性に対して、いつも凛としていた。そん
なことを習ったから、私も少年のころから女性と動物をもっぱら愛護する
ようになった。

正岡子規が人は「気育」が大切だと説いているが、「気」が「艶」になる
のだろう。

女性に懸想し、言い寄ることを古語で「婚(よば)い」というが、古く『古
事記』『万葉集』に登場するから、男が持って生まれた性(さが)である。
“通い婚”の時代だったから、「夜這い」とも書かれた。

私は妻と結ばれてから、明治生まれの歌人の与謝野晶子が、「かげに伏し
て泣くあえかにわかき新妻(にひづま)を、君わするるや思へるや」と戒め
ているのを、心に刻んだ。あえかは「かよわい、たよりない」という意味
である。

それにしても、最近の国会議員や、高級官僚は男の矜持を欠いている。閣
僚や県知事が買春し、財務次官がセクハラで辞任するというのに、日本の
男の品位が地に堕ちたことを、慨嘆せざるをえない。大臣や、県知事が人
足ではあるまいし、平成の夜鷹を買うのは、あってはならないことだ。

財務次官が官位を笠に着て、卑猥な言葉を連発して、女性を苛めて喜ぶの
は、日本が崩壊する前兆ではないか。『源氏物語』では女性を、「あえか
な花」(帚木)と描いている。

江戸時代に夜鷹は引っ張りとか、夜発(やほつ)、辻君と呼ばれた。

 もし、武士が夜鷹小屋に出入りするところを見られたら、品位を穢した
かどで禄を奪われ、足軽の身分に落とされた。



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