2018年06月23日

◆米朝首脳会談中止 騒動

加瀬 英明


「米朝首脳会談中止」騒動、米の圧力は中国にも向いている

トランプ大統領が、6月12日にシンガポールで予定されていた、米朝首脳
会談を直前に中止することを発表して、北朝鮮の金正恩委員長を狼狽(う
ろた)えさせた。

私はかねてから、本誌のこの欄で、北朝鮮が核を棄てることはありえな
く、文在寅大統領と金正恩委員長による南北首脳会談は“安手の韓流ドラ
マ”にすぎなかったし、米朝首脳会談が実現しても、空ら騒ぎに終わろう
と、論じてきた。

トランプ大統領が“リトル・ロケット・ボーイ”と呼ぶ、金正恩委員長は米
朝首脳会談に執心している。北朝鮮にとって米朝首脳会談が行われれば、
国際的地位が大きくあがるが、それなしには、哀れな、みすぼらしい小国
でしかない。

南北首脳会談や、米朝首脳会談を行わず、中国も含めて北朝鮮に対する経
済制裁を、粛々と進めてゆけばよかった。

私は4月30日から、ワシントンを4泊で訪れて、トランプ政権を支える
人々と、朝鮮半島危機について話した。

着いた晩に、国防省の親しい友人と夕食をとったが、「世界は30年ぶり
に、“ベルリンの壁”が崩壊するところを見るだろう」といって、米朝首脳
会談によって北朝鮮が核を放棄することになると、自慢した。

私は「まさか。金正恩(キムジョンウン)がよほど愚かだったら、そうなる
だろう」と、答えた。

私はホワイトハウスの前の小さな公園をはさんだホテルを、常宿にしてい
る。バーで金正恩(キムジョンウン)の愛嬌ある似顔絵が描かれた、コース
ターが使われていた。ちょっとした、北朝鮮ブームだった。

だが、トランプ大統領も6月の会談を中止したものの、金委員長に一撃を
加えたうえで、米朝首脳会談を開くことを望んでいる。金委員長が懇願し
た結果、再調整されたが、本誌が発行されるころに実現しているかどうか。

別の政権の関係者は、もっと現実的だった。

「われわれは中国が北朝鮮に核放棄を迫らないかぎり、北朝鮮が核を手離
すことはない。米朝交渉を続けるあいだに、中国に強い圧力を掛けてゆく
ことになる」と、語った。

トランプ政権にとって、ほんとうの敵は、中国だ。

北朝鮮の核ミサイルは、まだ戦列に配備されていないし、成層圏から目標
へ向かって再突入する、終末段階(ファイナル・フェーズ)の摂氏7000度に
達する高熱に耐える技術を持っていない。

アメリカにとって、中国の南シナ海進出の方が、差し迫った脅威だ。

中国の脆い点は、中国経済が対米輸出に依存していることだ。

中国はアメリカに寄生している、パラサイトだ。トランプ政権は中国の弱
点をとらえて、揺さぶろうとしている。

これから、商務省が諸国による自動車、自動車部品の対米輸出がアメリカ
の工業ベースと、安全保障を脅かしていないか、調査を始めるが、もし、
“黒”となった場合には、天井知らずの関税をかけることができる。

帰京後に、トランプ大統領が自動車、自動車部品に20%から、25%の高関
税をかける方針を発表したが、これはEU(ヨーロッパ連合)、カナダ、
メキシコ日本との貿易交渉にあたってテコともなるが、中国へ向けたものだ。

中国は自動車部品の対米輸入で、巨額を稼ぎ出しているうえに、安価な
EV車をアメリカへ輸出することをはかっており、すでに売り込みが始
まっている。
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