2018年10月03日

◆マハティール・ショック 以後

宮崎 正弘


平成30年(2018年)10月2日(火曜日)通巻第5843号 

 「マハティール・ショック」以後の「反中ドミノ」というTSUNAMI
   パキスタン新政権、20億ドルの削減を模索


「マハティール・ショック」以後、南アジアでは「反中ドミノ」という政
治的な津波に襲われた。親中派で、シルクロード構想にのめり込んだ政権
がいずれも選挙で敗北し、中国の戦略を俄な暗雲が覆い始めた。

マハティールは「われわれは中国の経済植民地ではない」と主唱し、登仙
するや、新幹線プロジェクトの中断とボルネオからのパイプライン工事の
中止、くわえてジョホールバル沖合の「フォレストシティ」に関して、中
国の投資移民にはヴィザを発給しないとした。
中国は青ざめる。


続けての衝撃がパキスタンとモルディブで親中派政権が潰えたことだっ
た。いかに中国がアジアで嫌われはじめたかの証明ともなった。

モルディブでは、親中派ヤミーン大統領が9月23日に選挙で、インドが支
援した野党のソリに敗れた。ところが、大統領就任式は11月17日であり、
それまでにヤミーン政権は何をしでかすか分からず、関係国も注視している。

モルディブにもっとも政治的な影響力を持つのはインドだが、文化的に、
あるいは距離的に近いのはスリランカである。

モルディブはスリランカが中国の「借金の罠」に陥落し、重要な港(南の
ハンバントラ)を99年も租借される羽目に陥ったことを我事のように目撃
してきた。中国への負債15億ドルを、いかにして返済するか。

といってもモルディブのGDPは30億ドル前後しかなく、返済は不能であ
り、問題は岩礁をいくつか貸与すると仮定して、どこに人工島を造成され
るか。それらが軍港に化けるのは時間の問題でもあり、ヤミーンがまだ政
権に居座る間に、そうした契約を北京と結んでしまうのではないか、政局
は流動化している。

すでにモルディブは中国との間にFTAを締結したが、まだ発効には到っ
ていない。

さてパキスタンでも新しい動きが出た。

「中国の借金を減らそう」と訴えて当選したイムラン・カーン首相は、北
京に挨拶におもむかず、急遽、サウジアラビアを訪問した。

財務大臣は「CPEC(中国パキスタン経済回廊)」の総予算600億ドル
から、当面は20億ドルの減額を検討している。さらに20億ドルの削減をし
たい」と発表した(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』、10月2日)。

削減の対象はカラチ ー ペシャワール間の鉄道(1892キロ)で、「経
済、流通の大動脈となることは了解している。が、工事は遅々として進ん
でおらず、区間の削減を含めた措置をとりたい。近未来にはさらに20億ド
ルを減額し、合計600億ドルのシルクロード関連プロジェクトを560億ドル
に減額・修正し、財政健全化の第一歩としたい」と述べた。
言葉は遠慮がちだが、固い決心から具体的数字を出していることがわかる。

かくして「中国経済は勢いを失った」と『ウォールストリート・ジャーナ
ル』(10月2日)が大書した。

     
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1797回】                
 ――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(22)
徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正7年)

              △

「實利的の本能を有」しながら、その一方で「?榮心滿々として、理窟に
拘泥する支那人」を相手にするには、どうすればいいのか。「此の如き人
種に向て、唐突、無遠慮に、我が註文も強制」したら、「彼等をして懊
惱、憤?、屈辱、不愉快を覺えしむる」ことになる。じつは彼らは「實利
主義者なれども、恩讎の念に於て、淡泊ならず」。「決して忘讎者にあら
ず」。だから「吾人は我が不用人、無頓着の結果、徒らに支那人の反感を
沽ふ影響の、甚だ重大なるを虞れずんばあらず」。

「?榮心滿々」で「理窟に拘泥する」うえに「決して忘讎者にあらず」
というのだから、もはや処置ナシとしかいいようはない。やはりケイ
(敬、軽、警、携、計、・・・)して遠避けるのが得策か。

■「(19)下宿屋の敵討ち」

「排日者の留學生に多きは間違いなき事實」だが、その背景を考えれば
「彼等が日本にて被りたる、虐遇、薄遇、冷遇に對する、當然の反應と見
るの外なし」。日本人が普通に対応しているにもかかわらず、「邪推深き
支那人」は「虐遇、薄遇、冷遇」と思い込んでしまう。留学生が排日に奔
ることに関しては、「何れにしても、我が邦人の冷かなる心膓が、支那留
學生に反應したる、結果と見る可き」だ。

ということは「排日の一半は、日本人自から之を誘起したるものにし
て、自業自得」というべきだ。だから「せめて日本人として、支那人に對
して、今少しく温かなる心膓を、表示したく思ふ」。

相手に対し心を砕き、心を通わせておけば、「利益の衝突する場合に、
幾許の緩和力」を持つだろう。「世の中は、損得打算のみにては、成立せ
ず。打算以外の打算あり、損得以外の損得あり。是皆な感情、思想の支配
する所たり」。やはり「彼等の皮下にも血あり、彼等の眼底にも涙あり。
彼らは決して器械にあらず、人間なることを知らば」、それなりに遇すべ
きだ。

――ならば徳富センセイに伺いたい。恩を仇で返すような留学生の犯罪ま
でも、「彼等が日本にて被りたる、虐遇、薄遇、冷遇に對する、當然の反
應と見るの外なし」と、「今少しく温かなる心膓を、表示」すべきなの
か。利害打算なんぞ全く考えず、全身全霊の善意で留学生に対していた庶
民に対する人非人のような犯罪までも、「日本人自から之を誘起したるも
のにして、自業自得」と我慢するしかないのか。

■「(20)腑甲斐なし」

「日本人も、支那人も」、欧米人からすれば「世界の特殊部落として、取
り扱はれ」、「均しく異?徒」であり「?色人種」であるから、「日支人
は樂を同うせざる迄も、或る程度迄は、憂を同じうしつゝある也」。だが
「支那人が動もすれば、其の手近き日本人を袖にして、遠き歐州人に倚ら
んと」するが、「其の責任は、日支兩國民に等分」すべきではないか。

「支那人本來、事大主義者にして、歐米人を餘りに多く買被り、日本人
を餘りに多く買落としつゝあ」る。彼らは日本人を余り理解していない
が、「支那人をして、日本及び日本人を、十二分に諒解せしまざるは、亦
た日本人の怠慢、無頓着の責」であることを知るべきだ。

だかこそ、日本は彼らに向って力と意を尽くしてプロパガンダを展開すべ
きだ。「日支兩國の關係を、分明に告白し、支那人をして、自らの立脚の
地を覺悟せしめ」なければならない。「日支親善の大目的を把持し」ては
いるものの、「平生其の關係を閑却する」からこそ、欧米に乗ぜられてし
まうのだ。
「其の腑甲斐なきや、言語道斷也」。

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