2018年10月12日

◆ニッキー・ヘイリー国連大使は

宮崎 正弘


平成30年(2018年)10月11日(木曜日)通巻第5852号  

 ニッキー・ヘイリー国連大使は2024年大統領選に照準
  2020年は上院議員か、或いは副大統領を目指すだろう

 ニッキー・ヘイリー国連大使は1972年にサウス・カロライナ洲バンバー
グ群で生まれた。両親はインド人、それもシーク教徒である。

母親は衣料品店を経営していた。ちなみに1972年といえば、ニクソン大統
領が再選された年であり、隣のノウス・カロライナ州では、のちに「レー
ガンの朋友」となるジェシー・ヘルムズが上院議員に初当選した年でもあ
る。もうひとつ「ちなみに」、このヘルムズ上院議員の補佐官をしていた
のがジョン・ボルトン(元国連大使、現大統領補佐官)だった。

当時のアメリカでは、リベラルの台頭が凄まじく、反戦運動が吹き荒れ、
ベトナム戦争の疲れ、ヒッピー文化、秩序の崩壊、モラルの乱れが目立っ
た。「法の回復」が叫ばれた。

サウス・カロライナ州は、保守的な地方として知られ、インド系アメリカ
人としてのニッキーは少数民族への差別を受けて育った。この体験が女性
蔑視社会を嫌悪し、ジェンダー・ギャップには激しく抵抗し、フェミニズ
ムに寛容である。彼女は美貌だが、地元のミス・コンテスト応募に、「少
数民族」という理由で参加を拒否された経験もある。

彼女は政治へ志す目的を「CAN‘T IT IS NOT AN 
OPTION」(出来ないなんて選択肢にはない)。同タイトルの自伝を
出している。
https://www.amazon.com/Cant-Not-Option-American-Story/dp/1595230858

ニッキー・ヘイリーのフルネームはニムラタ・ニッキー・ランドハワ・ヘ
イリーで、最後のファミリーネームは夫の姓。ふたりの間には2人の子供
がある。結婚と共に彼女はシーク教徒からメソジストに改宗している。

俄然、へーリーは政治に目覚め、下院議員に挑んだ。泡沫候補扱いされた
が、おりからのサラ・ペーリン、エリザベス・ドールなど女性政治家が応
援に駆けつけ、逆転当選を果たした。

その後、下院議員に3期連続で当選した。ついで、ニッキー・ヘイリーは
サウス・カロライナ州知事に挑んだ。最年少の、しかも初の女性知事とし
て注目され、同州知事を2期務めた(2期途中で国連大使に指名された)。


▼ヘイリーはトランプ批判の急先鋒だった

2016年の大統領選挙では最初に保守本流の最有力候補と言われたマルコ・
ルビオ(フロリダ州上院議員)、ルビオが予備選から撤退すると、次に茶
会系のテッド・クルーズを応援した。

保守のタカ派、それも強硬路線を主張する政治信条に共鳴し、異端児だっ
たドナルド・トランプを激しく批判した。

へイリーのトランプ批判は、イスラム教徒の入国制限が少数派への差別に
基づくとする視点からだった。だから、トランプが当選後、いきなり批判
の急先鋒だったヘイリーを国連大使に指名したとき、ワシントンには驚き
が走ったのだ。

さて国連大使としての活躍は言うまでもないが、イラン、露西亜批判はト
ランプより強硬であり、かつベネズエラ、北朝鮮への批判も一貫してい
て、国連ではアメリカ・フォーストの旗幟鮮明。イスラエルの大使館移転
問題でも最前衛だった。トランプの政治路線に共鳴していた。

このニッキー・ヘイリー国連大使が年内に辞任するという衝撃は、各界を
揺らしたが、明らかに彼女は「次の次」、すなわち2024年の大統領選
挙に照準を当てている。これを目標に共和党内の人脈、全米での資金集
め、政治的影響力の拡大をなす動きをしめることになり、共和党を大きく
揺らすだろう。

2020年は人事刷新によるイメージアップという文脈では、ペンスにかわっ
て副大統領という強運に恵まれるかも知れないが、おそらくは上院議員を
狙うだろう。

第1に「資質」について言えば、十分な政治才能を持つうえ、女性政治家
の少ない共和党においては重宝される。かつてのフェラーロ、サラ・ペー
リン、エリザベス・ドールといった女性副大統領候補や上院議員のように
活躍できる才能に恵まれている。

第2に資格を問うなら、下院議員3期、州知事2期、そして閣僚級の大使
と、輝ける経歴を誇り、知名度も抜群である。

州知事から大統領となった例はカーター、レーガン、ビル・クリントン、
ブッシュ・ジュニアと枚挙に暇がなく、また上院銀から大統領となったの
はJFK、LBJ(ジョンソン)、ニクソン、そしてオバマという前例が
ある。

第3にアメリカの人口動態と意識の変化から押して、ヒラリーまで残存し
た「ガラスの天井」(女性政治家の限界)は雲散霧消し、女性だからと
言って問題視する雰囲気は消えているだろう。いや、逆に女性こそが望ま
しいとする社会的土壌に変貌しているかも知れない。

ましてやオバマ大統領という初の黒人大統領を経験したアメリカでは、イ
ンド系という少数民族出身を、どうこう議論する政治的風土も稀薄になっ
ているだろう。

2024年、アメリカは初めての女性大統領出現という時代を迎える可能性が
高まった。

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