2018年10月30日

◆れっ、こんなことありか?

宮崎 正弘


平成30年(2018年)10月28日(日曜日)通巻第5870号 

 「れっ、こんなことありか?」。コロンボの政変
   ラジャパクサ前大統領が、スリランカ首相に電撃就任

スリランカで珍型の政変が起きた。

2018年10月27日、シリナセ大統領は親米、親インド路線の有力政治家とし
て知られるウィックラマシンハ首相を突如更迭し、前の大統領で親中派と
して悪名高いラジャパクサを、首相に任命した。

そのうえ、そそくさと就任儀式を執り行った。この模様はテレビ中継さ
れ、スリランカ国民ばかりか、インド政界に衝撃をもたらした。

ラジャパクサ前大統領といえば、スリランカ南方のハンバントタ港を中国
に売り渡した張本人である。

中国は99年の租借権を手にいれ、港湾の近代化、工業団地、免税倉庫など
を建設中で、付近の飛行場もラジャパクサ空港と命名された。後者の飛行
場は閑古鳥、ドバイ、アブダビからの定期便も客数がすくなくて欠航が続く。

インドならびに西側の軍事専門家は、「中国はハンバントラを軍港にする
のだ」と分析した。ラジャパクサ前大統領は、言ってみれば、「腐敗の象
徴」であり、彼を批判して現在のセリナセが大統領に当選したのではな
かったのか。

つまり2015年のスリランカ大統領選挙は「借金の罠」に落ちたラジャパク
サ前大統領の汚職体質を猛烈に抗議するキャンペーンが基軸となった選挙
戦だった。インドが背後で野党を支援したといわれる。

ラジャパクサ前大統領は、一方で10年にわたったタミルとの内戦を終結さ
せたが、その強硬な武力発動に対して欧米から非難の声があがった。落選
後、しばらく沈黙してきたが、周囲に押され政界復帰を狙っていた。

とくにラジャパクサ前大統領にとって、インドとの関連が最重要であり、
過去三ヶ月、頻繁にニューデリーに出かけてインド政界へのロビィイング
を展開してきたという(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』、10月28日)

この政変劇は、シリセナ大統領をささえる与党が連立政権であり、統一自
由人民連合党が、とつじょ連立から離脱したために、議席のバランスが崩
れておきた。ラジャパクサ前大統領派の議会工作による。

しかし、「議会が承認するまでわたしは首相の座にある」として、ウィッ
クラマシンハ首相は、27日以来、首相官邸に立て篭もり、ラジャパクサ
前大統領の首相就任に抗議している。スリランカ国会は11月5日に開会さ
れる。

おりしも、28日、インドのモディ首相が来日する。
      
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIE 
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いま戦わなければ中共の軍門にくだり、自由世界の人々がシナの奴隷に
  トランプは米中貿易戦争という「大英断」を下したのだ

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ケント・ギルバート『「パクリ国家」中国に米・日で鉄槌を!』(悟空出版)
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いま店頭に並ぶ『NEWSWEEK』日本語版(2018年10月30日号)は、
なんと「ケント・ギルバート現象」特集である。

なぜ「ケント本」が書店にうず高く積まれベストセラーを続けるのかの秘
訣を探ろうとし、同誌の結論は、とどのつまり白人のアメリカ人が、日本
の保守論客になりかわって左翼リベラルをぶっ叩いていることが小気味良
いので、読書人も釣られて買うのだという底の浅い分析である。

そんなことよりケントさんは、日本人が露骨に批判しないところを、まっ
すぐに批判するというポイントを見逃してはならない。そのうえ、言い分
はあくまでも論理的であり、さすがに弁護士だけあって、日本の左翼特有
の感情的な批判ではなく、論拠を明示した論の組み立て方に、注意するべ
きではないかというのが評者の感想である。

それはそれとして、アメリカ人が、なぜ中国に怒りを表明しているのか。
日本はあれほど中国に苛められ、莫迦にされ、顔に泥を塗られ、利用され
るだけ利用され、技術もカネも盗まれても、中国を非難しない。

そればかりか、安倍首相訪中でも「競合から協調へ」などと唐変木な言辞
を吐いて、中国の狙う日米分断に策略に引っかかろうとしている。エド
ワード・ルトワックは、米国は対中認識では与野党、右翼・左翼、メディ
アを問わず「反中というコンセンサス」があって、中国を潰すという戦略
で結束しているという(今月号の「HANADA」と「WILL」を参照)

ケント・ギルバート氏は、この背景を詳述してはいないが、米中貿易戦争
はトランプ大統領がしかけた「大英断」(76p)という

「勝てる間に勝つことが重要」と判断したトランプは、中国は対面を重視
するという弱点があるため、「中共は、負ける戦争では、できるだけ権威
が傷つかない形で早めにダメージ・コントロールしようと考えます。そこ
がアメリカの狙いどころであり、オールマイティーなカードにもなる」
これによりアメリカは北京から多くの譲歩を獲得できると説く。

その上で、ケントさんは米中貿易戦争を批判している人に問いたいと反論
する。

「現在ですら貿易ルールを守らない中共が、今後さらに経済成長した結
果、誰も逆らえない技術力や軍事力、政治力を手にした場合、自由貿易や
WTO体制を破壊し、世界大戦を脅し文句に、もっと傍若無人に振る舞う
のは、火を見るよりも明らか」

「私たちは、肥大化した中共の下で、彼らの言いなりになって暮らすこと
を拒否したい」。

それゆえに戦いは早いほうがよく、「いま戦うしかない」という結論が導
かれる。

ちょっと日本人評論家が書かないような語彙(たとえば「大英断」とか
「中共」など)、その力強き言辞に感心しながら読み終えた。

        
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1810回】              
――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(35)
徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正7年)

                ▽

「支那人をして、斯くの如く思惟せしむる」ために、「只だ、興亞の一天
張りを主要とする、大旗幟の下に、日支協同の一大新聞を、發行」させる
べきだ。そこで問題になるのが人材と資金だが、いずれ「英、米、獨逸其
他の國人」は必ず新聞創刊に踏み出すはずだ。その時になって「如何に
七?八到するも時機既に晩しと云はざるを得ず」。であればこそ、日本人
は躊躇せずに一日も早く新聞創刊に踏み切れ。


■「(65)道?の天下」

「儒教は、治者階級少數者に?にして、然もそれさへ實際は覺束なく、唯
だ看板に過ぎず。佛教も寧ろ、曾て上流社會の一部に行はれる迄」であ
り、「強ひて國民的宗教」をあげようとするなら「道?に若くはなかる可
し」。「未來の安樂を豫約する佛?よりも、現在の福利を授與する道?が
支那の民性に適恰す」る。

道教と国民性の関係を考えれば、「道?支那人を作らず、支那人道?を
作」るというべきだ。いわば「支那人ありての道?にして、道?ありての
支那人」ではない。「道教其物」こそ「支那國民性の活ける縮圖」なのだ。

■「(66)回教徒」

「若し支那に於て、眞に宗?と云ふ可きものを求めば、恐らくは唯回?あ
らんのみ」。それというのも形式にも虚儀に流れない回教だけが「聊か活
ける信仰と、活ける力を有」しているからだ。

「回教とは、新疆より北滿に及び、寨外より南海に至る迄、殆んど一種の
秘密結社たるの風あり」て、彼らは異郷にあっても「必ず回?徒の家に宿
す」。彼らの「分布の地域は、支那の領土に普」く、「彼等が?徒として
の氣脈相接し、聲息相通じつゝある團結は、蓋し亦た一種の勢力」という
ものだ。

なぜ回教徒が全土に住んでいるのか。それは「支那は、世界のあらゆる物
の會湊所也、即ち溜場」だからだ。宗教をみても「佛?あり、道?あり、
拝火?あり。猶太?も、今尚ほ若干開封府に存し、景?に至りては、唐代
に於ける盛況」が伝えられている。

少数派である彼らは「宗門の戒律を守」ることで、自らを守る。であれば
こそ「少なくとも支那に於ける、他の宗?に比して、其の活力の若干を保
持しつゝあるは」否定できない。

■「(67)日本の?史と支那の?史」

「日本の歴史は、支那に比すれば、稀薄にして、其の奥行き深からず」。
だから「如何に贔屓目に見るも、支那の?史に於て、太陽中天の時は、日
本の?史に於ては、僅かに東方に曙光を見たるならむ」。だが「唯だ日本
が支那に對してのみならず、世界に向て誇り得可きは、我が萬世一系の皇
室あるのみ」。「此の一事に於ては。空前絶後、世界無比」といっても過
言ではないが、「帝國其物の?史は、質に於ても、量に於ても、到底支那
の敵にあらず」。

――さて蘇峰山人の説かれる歴史の「質」が何を指し、「量」は何を指すのか。

■「(68)一大不思議」

「吾人(徳富)が不思議とするは、支那史の久遠なるにあらずして、其の
久遠なる繼續にあり」。「或る意味に於ては、支那の保全は支那其物の爲
めのみならず、世界に於ける活ける最舊國の標本として、是非必要」だろう。

たしかに「老大國」であり「老朽」ではある。「舊國民として多くの缺點
を有する」。「に拘らず、尚ほ若干の活力を有するを、驚嘆」しないわけ
にはいかない。
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