2018年10月31日

◆キリスト教会を破壊し、

宮崎 正弘


平成30年(2018年)10月29日(月曜日)通巻第5871号 

「キリスト教会を破壊し、聖書を焚書し、信徒を弾圧している」(ペンス
演説)
「バチカンは中国内のキリスト教徒を絶滅させるつもりなのか」(香港の
枢機卿)

香港のカソリック教会枢機卿であるジョセフ・ゼンは「バチカンは中国国
内1200万人のキリスト教信徒を絶滅させようとしている」として、激しく
バチカンのフランシスコ法王を批判した。

「もし私が漫画家なら、ローマ法王が、あろうことか習近平にひざまずい
て『どうか私をローマ法王と認定して下さい』と懇請している構図のもの
を描くだろう」とフランシスコ法王の異常な遣り方を非難する。カソリッ
クの枢機卿が法王を批判したのである。

たしかに現在のローマ法王フランシスコはイエズス会出身の異端児、その
うえアルゼンチン出身でイタリア留学組である。

南米はカソリックの王国であり、プロテスタントは少なく信徒の大市場ゆ
えに選ばれたという説も流れたが、法王に着座以来、キューバを訪問した
り、正教会と和解したり、イスラム教とも対話を推進するなど、型破りの
行動をとってきた。

特筆すべきはアルバニア訪問だった。この無神論の国へ赴いてマザー・テ
レサを追悼するミサを行ったのだが、中国のキリスト教徒を「マーケッ
ト」と見立て、9月には中国共産党と暫定合意を結んでいることに直截に
繋がる。つまり中国共産党が任命する地区の司教をバチカンが追認すると
いう破戒的な合意である。

台湾は、すぐさまカソリック司教をバチカンに派遣したが、ローマ法王は
すげなく台湾への招待を断り、外交観測筋は年内にもバチカンが台湾と断
交し、中国と国交を開くかも知れないと予測する。

中国国内のキリスト教徒は推定6000万人、カソリックはこのうちの1000万
人から1200万と見積もられているが、中国共産党御用達のキリスト教会に
背を向け、大半の信者は地下教会に通う。

 英文政権発足以来、台湾と断交した国々は五ヶ国。ところが米国は最近
になって台湾と断交したドミニカ、パナマ、エルサルバドルから大使を召
還し、一方で台湾への梃子入れが顕著である。

駐台北の米国大使館(米台交流協会)の警護は海兵隊が行い、トランプ政
権は「台湾旅行法」の制定以来、台湾防衛を鮮明にして武器供与を加速化
している。


▼バチカンへ間接的な警告を為したトランプ政権

これは米国のバチカンへの無言の圧力である。

そのうえ、10月4日のペンス副大統領の宣戦布告的な演説のなかに「中国
はキリスト教会を破壊し、聖書を焚書し、信徒を激しく弾圧している」と
の文言がある。

キリスト教徒の多い米国では、これまでウィグル族弾圧にそれほどの関心
がなかったが、キリスト教徒への弾圧を聞いて、中国への敵愾心はさらに
高まっている。「反中」は全米のコンセンスなのである。

香港の枢機卿による激しいローマ法王批判は、大いに注目しておく必要が
ある。

      ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆書評 しょひょう 
BOOKREVIEW 書評BOOKREVI
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痛快・豪快に戦後日本の思想的衰弱、文春の左傾化、知的劣化をぶった斬る
マハティール首相は激しく迫った。「日本は明確な政治的意思を示せ」

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渡部昇一 v 西尾幹二『対話 日本および日本人の課題』(ビジネス社)
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この本は言論界の二大巨匠による白熱討論の記録を、過去の『諸君』、
『WILL』、そして「桜チャンネルの番組」(『大道無門』)における
収録記録などを新しく編集し直したもので、文字通りの対話扁である。

討議した話題はと言えば、自虐史観、自由とは何か、歴史教科書問題、戦
後補償などという奇妙な政治課題、朝日新聞と外務省批判、人権など多岐
にわたり、それぞれが、対談当時の時局を踏まえながらも、本質的な課題
をするどく追求している。

目新しいテーマは文藝春秋の左傾化である。

評者(宮崎)も、常々「文春の3バカ」として立花隆、半藤一利、保阪正
康の3氏を俎上に乗せて批判してきたが、文春内では、この3人が「ビン
の蓋」というそうな。えっ?何のこと、と疑えば文春を右傾化させない防
波堤だという意味だとか。半藤などという極左がまともな議論が出来ると
でも思っているのだろうか。

半藤よりもっと極左の論を書き散らす立花隆について西尾氏は「かつて
ニューヨーク同時多発テロが起こったとき、立花は日本の戦時中の神風特
攻隊をアフガンテロと同一視し、ハッシッシ(麻薬)をかがされて若者が
死地に追いやられた点では同じなんだという意味のことを得々と語ってい
ました(『文藝春秋』2001年10月緊急増刊号)。条件も情勢もまったく違
う。こういう物書きの偽物性が見通せないのは文春首脳部の知性が衰弱し
ている証拠です」と批判している(252p)。

文藝春秋の左傾化という文脈の中で、「朝日が慰安婦虚偽報道以来、いま
の『モリカケ問題』を含め情けないほど衰弱していったのは、野党らしく
ない薄汚い新聞」に変わり果て、文春はどんどんその朝日に吸い込まれる
かたちで、たぶん似たようなものになってくる」と嘆く。

評者が朝日新聞を購読しなくなって半世紀、月刊文春もこの10年以上、読
んだことがない。なぜって、読む価値を見いだせないからである。

戦後補償について渡部昇一氏は「戦後の保障は必ず講和条約で締結されて
いる」のであって、戦後補償という「とんちきな話」が半世紀後に生じた
のは社会党があったからだと断言する。

この発言をうけて西尾氏は「中国の圧力を日に日に感じているASEAN
では、米国の軍事力がアジアで後退しているという事情もあって、日本に
ある程度の役割を担って貰わなければならないという意識が日増しに高
まっている。マハティール首相の発言にみられる『いまさら謝罪だ、補償
だということをわれわれは求めていない、それよりも日本の決然たる政治
的意思を明らかにして欲しい』というあの意識です。こういう思惑の違い
ははっきり出てきている。結局、戦後補償がどうのこうのというのは日本
の国内問題だということですね」(104−105p)

活字を通しただけでも、2人の熱論が目に浮かんだ。
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