2018年11月29日

◆難問山積、激動の極東情勢

杉浦 正章


「米中第2次冷戦」は長期化へ

北方領土「五里霧中」、邪道の韓国

今年もはや師走が目前となったが、日本を取り巻く環境は地殻変動を起
こす前触れのような様相を見せている。まず大きな潮流を見れば米中関係
の潮目が変わり、米中両超大国が「第2次冷戦」ともいうべき状況に突入
した。

日本は多かれ少なかれ影響を受ける。一見、首相・安倍晋三との関係が良
好に見えるロシア大統領プーチンは、核心の領土問題で一歩も譲らぬ姿勢
をあらわにした。隣国韓国の大統領文在寅は、人気が落ちそうになると竹
島・慰安婦で対日世論を煽る邪道路線だ。

まさに「四面楚歌」のごとき様相だ。来年の干支は己亥(つちのとい)で
足元を固めて次の段階を目指す年だが、次の展望は五里霧中と言わざるを
得まい。

米ソ冷戦に勝った米国は、トランプが「一国主義」を前面に打ち出し、
「アメリカ・ファースト」で国を率いると宣言。この方向は一方の超大国
中国を刺激し、習近平は「一帯一路」構想を合い言葉に、臆面もなく地球
俯瞰型の勢力拡大に打って出た。

中国の歴代皇帝がそうしたように、「皇帝」習近平は陸路と海路で西進を
開始した。2017年10月19回の共産党大会で採択された党規約には、「共に
話し合い、共に建設し、共に分かち合うという原則を遵守して『一帯一
路』建設を推進する」と明記した。覇権主義が芬芬(ふんぷん)とにおう
大方針である。

9月30日には「航行の自由作戦」遂行中の米艦船に中国の艦艇が45メー
トルまで接近するという異常事態を現出させた。

こうした動きをとらえて米副大統領ペンスは、2017年の国家安全保 障戦
略の「中国は米国の安全と繁栄を侵食することで我々のパワー、影響 力
に挑戦している」との立場を再確認。同時にペンスは「中国は米国の最
先端技術を盗み、西太平洋地位域から米国を排除して、同盟国支援を妨げ
ようとしている」と強く批判した。これらの発言は、明らかに敵対国同士
の応酬段階のように見える。

こうして米中対立は長期化する可能性が高い情勢となって来た。米政 府
はキッシンジャーの隠密外交で1971年から始まったニクソン政権に よる
対中融和策から転じて、対決路線に大きく舵を切った。

ここで注目されるのは目前に迫ったブエノスアイレスでの主要20か国 首
脳会議である。G20は11月30日から12月1日の2日間開かれるが、米中は
水面下で首脳会談の下準備をしている模様だ。

この米中首脳会談が決裂す れば米中対立は修復不能の状態となることが
確実であり、両国とも薄氷を 踏むような調整をしているに違いない。し
かし、中国が一帯一路路線を転 換する気配はなく、唯一の超大国として
君臨してきた米国も、トランプが そう簡単には引き下がるとは思えな
い。大きな構造的な潮流は、米中冷戦 の継続だろう。

一方、安倍との個人的な関係を棚上げするかのようにプーチンは北方領
土で強硬姿勢を貫く構えだ。ロシア国内でのプーチン人気を押し上げるこ
とになったのは、紛れもなくクリミア・セヴァストポリの編入である。ロ
シアの領土は世界の総陸地の11.5%を占め世界第一を誇るが、大地主が境
界線に異常なこだわりを見せるのと同じで、国家も土地があるほど卑しく
固執する傾向がある。おまけに極東安保上の戦略が絡む。これに対して安
倍は4島のうち歯舞・色丹の2島先行返還でゆく方向に舵を切ったかのよ
うに見える。

とろろがプーチンはここにきてちゃぶ台返しに出た。安倍との首脳会談
でプーチンは、「日ソ共同宣言には日本に島を引き渡すと書かれている
が、どの国の主権になるかは書かれていない」と言い出したのだ。まるで
日本に引き渡しても主権はロシアにあるという、荒唐無稽な屁理屈であ
る。これは事実上プーチンに返す意図がないことを物語っている。

安倍が これに対して何も言わなかったのは、「2島先行返還」でも、な
んとか実 現にこぎ着けたいとの思惑があるからだろう。「安倍さんは2
島で腹をく くった」という説まである。

しかし、情勢は2島といえども容易でない感じが濃厚だ。なぜならクリ
ミア・セヴァストポリ編入で高まった人気で味を占めたプーチンが、自ら
の保身を考えたら、2島といえどもロシア人が3000人も住んでいる 「領
土」を返したら一挙に人気が瓦解すると思ってもおかしくないから だ。

こうして北方領土問題は五里霧中となったのが実情だろう。安倍と プー
チンは3年以内に平和条約を結ぶことで合意した。安倍の任期は 2021年
9月までだから任期中にと言うことだろう。安倍は「戦後70 年以上残さ
れた課題を次の世代に先送りすることに終止符を打つという強 い意志を
完全に共有した」と発言したが、ここで期限を切っては、事実上 歯舞・
色丹2島にとどまり、残る国後・択捉2島は永久に棚上げとなる心 配が
ある。

一方、竹島では韓国の国会議員が上陸した。上陸について、外相・河野太
郎は、上陸にあたっては政府が関与している可能性もあるとして、韓国政
府の責任も問いただす必要があるという考えを示した。

韓国大統領文在寅 は人気が落ちそうになると、竹島・慰安婦で日本の神
経を逆なでして、国 民を煽り、人気を取る癖があり、こんな大統領を相
手にまともな会談など できるわけはない。安倍は当分「無視」 すべきだろ
う。ただ河野の言う 「文在寅の責任」については、当然追及すべきこと
だろう。

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