2018年12月29日

◆本気のアメリカと慢心する中国

加瀬 英明


本気のアメリカと慢心する中国 米中の冷戦の先に見えるもの

私は11月にワシントンで、5日間過した。

アメリカは、中国の超大国化の野望を挫いて、中国を抑えつけることを決
意した。この決意はトランプ政権だけに、よるものではない。

国家安全会議(NSC)、国防省、国務省などが協議して決定したもので
はなく、誰がどうというより、政権、与野党、アメリカの中国専門家、シ
ンクタンク、識者などのコンセンサスであって、有機的にひろく形成され
たものだ。

習近平主席が訪米して、オバマ大統領と会談した後の共同記者会見で、南
シナ海に埋めたてた7つの人工島を、絶対に軍事化しないと誓約したのに
もかかわらず、ミサイルを配備して、世界の通商の4分の1以上が通る南
シナ海を内海に変えようとしていることや、異常な軍拡を行っているこ
と、世界制覇を企んで「一帯一路」計画を、強引に進めていることなど、
傍若無人に振る舞うようになったのに、堪忍袋の緒が切れたものだ。

今後、中国がすぐに引き下がることを、期待できないから、米中対決は長
く続こう。

私が前号で書いたように、貿易・関税戦争は入り口でしかない。

アメリカが中国と対決することに決したのは、トランプ政権が2016年
に発足してから、最大の決定だといわねばならない。

中国の野望を砕く戦略の中核にされているのが、中国への先端技術の移転
を停めて、中国の超大国化の源泉となってきた、先端技術の池の水を抜こ
うとすることだ。

私は福田赳夫内閣、中曽根内閣で、首相特別顧問という肩書を貰って、
カーター政権、レーガン政権を相手に対米折衝の第一線に立ったから、ワ
シントンは旧戦場だ。

ホワイトハウスに向かって、右側にオールド・エキュゼキュティブ・ビル
ディングという、副大統領の執務室もある、古い煉瓦造りの建物がある。
2016年にトランプ政権が舟出した時には、ここにハイテクノロジーの
担当者が1人しかいなかった。現在では、ハイテクノロジーの担当者たち
が、1(ワン)フロアを占めている。

習主席の中国は、「野郎自大」だ。「夜郎自大」は中国最古の正史である
『史記』に、夜郎という小国の王が、漢が広大で強大なことを知らず、自
らの力が勝っていると思い上がって、漢の使者に対して傲慢に振る舞った
という、故事によっている。

中国は歴代の統一王朝が、自分が全世界の中心だという、“中華主義”を
患ってきた。私は“中禍主義”と呼んでいるが、慢心して他国を見縊(みく
び)る、自家中毒症状を病んできた。

アメリカとソ連が対決した冷戦の舞台は、ヨーロッパや、朝鮮半島、アフ
ガニスタンであって、陸上の争いだった。

米中“冷戦”の主舞台は、陸ではない。海だ。

この冷戦は、米日対中の冷戦だ。トランプ政権が「太平洋軍」の呼称を、
「インド太平洋軍」に改めたのは、新たな冷戦の性格を表わしている。

中国にはソ連になかった、脆弱点がある。中国は世界貿易と、先進諸国か
らの投資に依存してきた。

20世紀と違って、製造・金融の拠点を国境を越えて、短時間で移転するこ
とができるから、中国の“仮想空間”である巨大経済を維持することが、難
しくなろう。

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