2019年01月08日

◆今年の政局は波瀾万丈

杉浦 正章


解散説も出たり引っ込んだりの危険水域に

亥年だからどうなるなどと言う馬鹿馬鹿しい話しは民放正月番組に
任せるとして、今年の政局を見通せば内外とも波乱要素に満ちている。首
相・安倍晋三が目指す北方領土返還も憲法改正も、具体論に入れば国論は
2分3分する。あえて火中の栗を拾い政権の根幹を揺るがす必要があるの
かといえば、疑問だ。それよりも統一地方選、参院選をこなさなければな
らず、まさに正念場だ。野党はここを先途とたたみかける。場合によって
は安倍が衆参同日選挙で斬り返す事態も予想される。政治決戦の年になる
ことは間違いない。

まず大局を見れば、近い将来国民が現自民党政権維持から野党政権への選
択をする可能性はゼロだろう。なぜなら安倍自民党政権の6年は、日本繁
栄の6年であり、失業率実質ゼロの状態維持は戦後の政権において存在し
ない。安倍にとっては赤壁の戦いではないが、天の利、地の利、時の利、
人の利があったのであり、その余韻は残る任期3年にも多かれ少なかれ及
ぶだろう。6年の実績を見て国民の大勢は、現状維持指向に向かうだろう。

立憲民主党代表枝野幸男は「衆参同日選挙はあり得るとの前提で準備した
い」との見通しを新年早々述べている。しかし安倍はよほどの好機と見な
ければやるまい。よほどの好機とは北方領土問題の大きな進展である。し
かし、ずる賢いプーチンが4島を返して、米軍に有利になる極東情勢を認
める可能生はゼロであり、せいぜい2島返還の可能性があるが、一部の期
待のように4島への足がかりなどにはなりそうもない。

2島で打ち切りというのが現実だろう。戦争で取られた領土が全て返るこ
となど世界史的にも希有なことであり、2島がせいぜいであろう。その2
島の是非で総選挙をぶちかませれば、野党やマスコミのの絶好の攻撃材料
となり、極右も何をするか分からない。現在の改憲勢力で3分の2の議席
の維持などはまず不可能となるだろう。北方領土は光明が見えているよう
で、本筋は依然として無明の闇といってよい状況なのだ。従って対露外交
の重要度はは2の次3の次でよい。

ここで今年の重要日程をみれば、今月通常国会が招集され、下旬には日露
首脳会談。4月には統一地方選挙があり、同月30日には天皇の退位があ
る。5月1日には新天皇が即位し、改元となる。6月28,29両日大阪で20
か国・地域首脳会合(G20)が開催され、中国国家主席習近平が来日する
予定だ。6月か7月には参院選挙、10月1日には消費税が10%に引き上げ
られる。

今年の政局展望にとって最大のくせ者がその消費税引き上げだ。なぜなら
消費税を引き上げた直後に解散・総選挙をすれば、確実に大敗する。従っ
て総選挙は引き上げのかなり前か、国民の怒りが収まる2020年後半以降し
かない。そもそも前回16年の参院選挙は、自民、公明、大阪維新で3分の
2を上回った。今回の参院選で自民、公明、日本維新の改憲勢力は90議席
弱。3分の2を維持するにはこの90弱をなんとしても死守しなければなら
ない。前回が勝ちすぎているのであり、減少を避けるのは極めて難しいのだ。

 こうした事態を回避するためにささやかれているのが、夏の衆参ダブル
選挙だ。一種の大ばくちだが、安倍は度胸があるからやりかねない。ダブ
ルについて安倍は「私自身は全くの白紙だ。頭の片隅にもない」と完全否定
している。しかし昔から解散と公定歩合に関しては首相の嘘が許されるこ
とになっている。元首相野田佳彦も「私も総理大臣になったときに大先輩
たちから、解散と公定歩合はウソをついてもよいと、言われ続けた。

そうはいっても、ウソをついてよいテーマが特定分野にだけあっていいと
は思えなかった。だから、(2012年に)『近いうちに解散』と言った後
は、葛藤した。今の安倍(晋三)総理がどう考えているかはわからない
が、人それぞれだと思う」と述べている。

やるかどうかは別として、今後安倍が「解散は考えていない」と発言した
ら、やる可能性があるのだなと疑った方がよい。首相が解散で嘘をついて
良いのなら、メディアも解散時期については独断と当てずっぽうが許され
ることになる。もっとも昔民放記者で、ことあるごとに「解散だ〜」と叫
びまくっているのがいて「解散小僧」と命名されたことがあったが、解散
判断には政治記者としての判断の蓄積と洞察力が不可欠であり、解散小僧
だけはいただけない。しかし、夏以降は何があってもおかしくない“危険
水域”に政局が突入すると心得た方がよいことは確かだ。



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