2019年03月08日

◆ボールペンの今昔

渡邊 好造


ボールペンは昭和25年(1950年)頃にアメリカから渡来したと、全国版メルマガ「頂門の一針」主宰の渡部亮次郎氏が書いておられた。そう言えば、私もボールペンについて思い至ることが多い。

今でこそボールペンは筆記具の代名詞といわれるほどの高い地位を占めているが、私が広告代理店調査部に勤務し、調査報告書作成に取り組んでいた昭和40年(1965年)前後は、まだそれほど普及していなかった。

主流は鉛筆、万年筆、カブラペン(ペン先をインク壺にその都度つけるつけペン)で、ボールペンはあまり使われていなかった。ボールペンのインクがボタおちしたり、途中でかすれて書けなくなったりなど、性能が良くなかったこともその理由であった。

あるボールペン・メーカーの依頼で、いまひとつ普及しない「ポイント」を探るよう調査依頼があった。

結果は、性能もさることながら正式な文書、手紙には不向きで、受取った相手に対して失礼にあたるというのが、大半の意見であった。

その後約15年経って、金融会社に転職した頃のこと。多額の融資をしてくれていた生命保険会社・明治生まれの会長(当時85歳位)から、わが社社長宛に筆書き巻紙のクレームが届いた。

「○○社長さん、手紙にボールペンはよくありません、、、」とのこと。

ボールペンの手紙は秘書の代筆であったが、秘書は次の詫び状をワープロでうち、末尾に社長自筆のサインをつけた。ところが、相手の会長からより以上のお叱りの言葉。

「ワープロはボールペンよりもより以上に失礼ですよ」、「筆書きが駄目なら、せめて万年筆にしなさい」であった。

実は、ワープロの原稿が私のつくったものであったため、以後先方の会長宛ペン書きの手紙と署名の仕事が回されてきた。

その後約10年程、社長の手紙は、全部私の癖字が使われた。「○○社長はなかなか味のある字を書かれますね、、」との返書を寄こした人物もいたらしい。とても褒め言葉とはおもえないが、、。

私はある時、件の会長と銀座の料亭でお会いする機会があり大変な歓待を受けた。「今日は若いオネーサンを大勢よんでいます、、」ということで楽しみしていたところ、宴席に侍ったのはみなさん60歳以上のオネーサンばかりだった。90歳以上の会長からすれば若いオネーサンには違いなかった。

もちろんお礼状を会長宛にださなければならない。私の字ではまずいので部下に万年筆を買ってこさせて代筆させた。

私が使用中のボールペンは、パーカー、モンブラン、ランセル、テイファニーなどブランドものだが、普段は10本袋入り105円のグリップが透明のいわゆる”見える見える”という代物である。(完  再掲)

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