2019年04月29日

◆「損切り」を覚悟の民間払い下げか?

宮崎 正弘


平成31年(2019)4月28日(日曜日)通巻6058号 

 絶望の果てか、「損切り」を覚悟の民間払い下げか?
  中国、新幹線を分割、民間企業に売却という新手

中国は新幹線の一部を民間企業に払い下げる。

すでに累積赤字は、邦貨換算で87兆円にも達しており、それでも中国は新
幹線プロジェクトを強気の投資継続で続行する。その一方で、完成した区
間の一部売却なのか、部門売却なのかは明らかではないが、民間企業に払
い下げるという新手を思いついた。新華社が伝えた。

初契約は41億8000万ドル(4600億円内外)で、中国の国有銀行団がシンジ
ケートを組み、浙江省政府と民間大手の「復星國際集団」に融資する。高
速鉄道経営権が委譲される仕組み。シンジケートを組む銀行団には中国発
展銀行、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行ほか二行が加わる。

復星國際集団と言えば、その傘下にある上場企業だけでも20社を超え、初
代CEOの郭広昌は「中国のウォーレン・バフォット」などと持ち上げら
れた。ところが、一時期、郭が行方不明になるなど、謎の部分が多い企
業。日本でも星野リゾート買収で名前を馳せた。

おりから閉幕した「一帯一路國際フォーラム」でも7兆円の投資続行がア
ナウンスされたが、中味をよくよく見ると、民間企業の出資であって、政
府支出ではない。中国が外貨払底に直面している傍証にもなる。

問題は予算面である。なぜ自爆的肥大化を続けざるを得ないのか。
2006年に北京―天津間を開通させて以来、わずか13年で敷設したレール
(営業キロ)は2万5000キロ以上(日本は半世紀かけて3000キロ)。

さらに2019年もプロジェクトを拡大し、予算8兆円強がつけられた。
 事業体の強制的維持である。

したがって車より熊の交通量が多い山岳地帯や、荒涼たる砂漠を越えて、
長い河川には橋梁を架け、山稜には片っ端からトンネルを掘る。

中国鉄道は第10局まで地域別に分けられ、鉄道建設のほか、配線、電気工
事を請け負う企業、その下請けから鉄道学校。関連する産業分野はレー
ル、枕石、コンクリート、駅舎建設。開発の建材、ブルドーザ。運営は運
転手、車掌から踏み切りに至るまで数十万の大所帯が、給料をいただき、
その上で黒字路線が北京―上海と上海―広州しかない。

あとの路線はすべて赤字。そこで余剰人員と鉄材、セメント在庫を処理す
るために、新幹線プロジェクトを海外にも売り込んだ。

インドネシア、マレーシア、ラオス、タイで工事は進んでいるものの、ベ
ネズエラ、米国などでは新幹線工事中止、プロジェクトそのものが拒否さ
れるなど散々な結末となっている。

中国新幹線の民間への払い下げとは、回転資金確保のためなのか、経営の
硬直化を民間のフレキシブルな判断に委ねるのか、あるいはすでに資金
ショートを来しての断末魔的な最終処理なのか。いずれにせよ、正念場を
むかえたようだ。
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