2019年05月26日

◆村下孝蔵の「初恋」

馬場伯明


たまに行く四谷のスナックのカラオケで、若い女性が村下孝蔵の「初恋」
を歌った。「初恋」は名曲である(と思う)。男性歌手の歌なのに、彼女
の歌いっぷりは妙にしっくりしていて違和感がない。10代半ばの女生徒が
自分の初恋の心情と情景を語っているように聞こえた。

「♪〜好きだよと言えずに 初恋は ふり子細工の心」の部分を、少し高
めのハスキーな声で美しく歌った。うまいなあ〜〜。

村下孝蔵とはだれか。Wikipediaより抜粋し抄録する。

《村下孝蔵(むらした こうぞう、1953.2.28〜1999.6.24)は、日本のシン
ガーソングライター。「初恋」「踊り子」「ゆうこ」「陽だまり」などの
ヒット曲がある。熊本県水俣市出身。鎮西高校卒、1972年日本デザイナー
学院広島校入学。卒業後、ヤマハ広島店に就職、ピアノ販売員やピアノ調
律師。1975年からホテルラウンジでの弾き語りなど地道に音楽活動を続け
る。1979年ヤマハを退社し楽曲の自主制作活動に・・・》。

最大のヒット曲が1983年30歳で発表した5枚目のシングル「初恋」であ
る。オリコンチャートで最高3位を記録した。

初恋    作詞・作曲・歌唱 村下孝蔵

五月雨は緑色     悲しくさせたよ一人の午後は 
恋をして淋しくて   届かぬ想いを暖めていた 
好きだよと言えずに  初恋は
ふり子細工の心 
放課後の校庭を走る君がいた 
遠くで僕はいつでも君を探してた 
浅い夢だから 胸をはなれない 

夕映えはあんず色   帰り道一人口笛吹いて 
名前さえ呼べなくて  とらわれた心見つめていたよ 
好きだよと言えずに  初恋は
ふり子細工の心 
風に舞った花びらが  水面を乱すように 
愛という字書いてみては ふるえてた あの頃 
浅い夢だから 胸をはなれない 

放課後の校庭を走る君がいた 
遠くで僕はいつでも君を探してた 
浅い夢だから 胸をはなれない

《・・・結婚後の1983年「初恋」を発表した頃に肝炎を患う。1984年生活
拠点を東京に移す。「やっと納得する作品が出来た」と語った渾身の「ロ
マンスカー(1992)」が売れず、村下は「自分には『初恋』を越える曲は
できんかもしれん」「時代は追いかけるものではなく、巡りくるもの。向
こうからやってくる・・」という境地に至った》。

《1999.6.20、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A7%92%E8%BE%BCリハー
サルの途中に突然体調不良を訴え、病院で「高血圧性脳内出血」と判明し
た直後昏睡状態に陥り、4日後に死去。46歳。茨城県稲敷郡(現つくば
市)の墓地に眠る》

村下孝蔵、早世。不運である。今死後20年、世間からはほぼ忘れられつつ
あるだろう。しかし「初恋」は単なるヒット曲から伝説の歌になった。

この歌はなぜヒットしたのだろうか。まず、歌詞がよく、作曲がすばらし
く、そして、歌い手に歌唱力がある。これに尽きる。シンガーソングライ
ター、村下孝蔵の能力が凝縮された独り舞台の歌である。

次に、ジャケットの「切り絵の少女」だ。創作は村上保。1950年愛媛県生
まれ〜。彫刻家、切り絵作家。東京学芸大学卒。田舎の学校風のセーラー
服姿で少しさびしげな女生徒。これが村下孝蔵の純朴な歌詞と旋律に完全
にマッチしていた。

「初恋」はPCやスマホのU-Tubeで手軽に聴くことができる。画面では全盛
期の村下孝蔵がギターを弾きながら歌っている。また、多くの男女の歌手
がカバーしている。玉置浩二、福山雅治、三田寛子、沢田知可子、島谷ひ
とみ、美吉田月(みよしだるな)など。「『初恋』カバーメドレー」(u-
tube)では1曲を12人の歌手がつないでいる。

玉置浩二のかすれ声は魅力的。福山雅治のギターの弾き語りには特有の
こってり感がある。(当然)うまいけれども私の趣味ではない。森口博子
はゆっくりバージョンで歌う。美吉田月はSka調(2・4拍を強調)で新曲
風。島谷ひとみの「初恋」は女性歌手ではもっとも心がこもっているよう
で好きだ。

村下孝蔵はギターが上手かった。《彼はベンチャーズが好きで「ひとりベ
ンチャーズ」を舞台で(ご愛敬に)演奏していた。さだまさしは「村下の
弾く『ひとりベンチャーズ』は凄い。居ないはずのメル・テイラーのドラ
ムが聞こえてくる」と語っている》とある。

私には願いがある。「初恋」をカラオケで歌えるようになりたい。先日、
四谷のスナック(*1)で、客が少なかったので店主に頼み思い切って歌っ
てみた。でも、私には難しい。ドタバタと歌詞を追いかけ読むような歌い
方になってしまった(トホホ)。それでも、店主(ママ)は商売人だ。何
も感想を言わずあたたかく微笑(わらっ)ていた。

私にとってなぜ難しいのか?たとえば「放課後の校庭を走る君がいた 遠
くで僕はいつでも君を探してた」とあるが、この歌詞と曲とが合わせにく
い。歌詞を平板に等間隔に歌っても歌にならない。次のように言葉に母音
の長短をつけ歌う必要があるようだ。

「放課後(お〜)の校(お〜)庭を(お〜)走る(う〜〜)君がいた
(あ〜〜) 遠くで僕は(あ〜) い(っ)つ(う)でも(お) 君を
(お〜〜)探してた(ああ〜〜)」 

そうは言っても(書いても)、これは私見であって、「リズム音痴」でな
い普通の人にとっては「楽譜通りに、村下孝蔵が歌うように、するする歌
えばいい」だけということなのだが(笑)。

村下孝蔵の(自作の)座右の銘は「飾らない、変わらない、僕の人生、僕
の歌」だったという。「初恋」はこの銘のままに「伝説の歌」になった。
これからも長く残り歌い継がれてほしい。

そして、私も、いつの日か、スナックの人前でよどみなく歌うことができ
るように、はかない!修練を重ねたい。(2019.4.30 千葉市在住)

(追記)
(*1)四谷のスナックを紹介する。安い。スナック「高樹(たかぎ)」。
四谷2丁目9 NK第7ビルBF1 03-6380-0057 隣店に「麻雀高樹」もあり、
昼間、高齢者らの「健康麻雀」で賑わっている。

  
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。