2019年05月30日

◆トランプ 次の中国企業の標的はMEGVII

宮崎 正弘


令和元年(2019)5月30日(木曜日)通巻第6092号 <前日発行>

 トランプ、次の中国企業の標的はMEGVII(メグビー)
  顔面認識メーカーの機器が新彊ウィグルの監視体制で「大活躍」

トランプ政権の用意する中国企業のブラックリスト。
 これまでにもファーウェイ(華為技術)、ZTE(中興通訊)、ハイク
ビジョン(海康威視数字技術)、ハイテラ(海能達)、ダーファ(大華技
術)などがブラックリスト入りしてきた。

後者3社はいずれも監視カメラならびに通信監視技術の新興企業だ。

このほかにインテルは半導体供給を注視し、また半導体製造装置の対中輸
出も不可能になった。クアルコム幹部は中国で開催される展示会への出席
を見合わせ、またAMD(アドバンスド・ミクロン・デバイス)は、中国
の合弁工場へに新規技術の提供をやめると発表した。

トランプはファーウェイだけを敵視しているのではなく、中国のブラック
企業と資本提携、技術提携している日米欧の企業並びに部品、コンポーネ
ント供給をしている西側企業をも制裁の対象としかねない勢いにある。

現に台湾のハイテク企業の多くが、中国への部品供給を続けられなくなっ
ている。このなかにはBASF台湾現地法人なども含まれている。

次に標的として動いているのは中国にAI企業のスターと言われる
MEGVII(メグビー)社である。

同社は2011年に北京の中関村(ハイテクパーク)で設立された。清華大学
の仲間三人でスタートしたベンチャーだった。顧客にはアリババ、レノ
ボ、小美(シャオメイ)などがあったが、2016年から顔認証技術に優れて
いたため中国政府が最大の顧客となった。

新彊ウィグル自治区における人民弾圧、監視システムに転用され、指名手
配5000名の逮捕に役立ったのだ。これを問題視したのがNYに拠点をおく
「人権ウォッチ」で、メグビー批判の先陣を切った。

現地取材から帰国した福島香織さんによれば、監視カメラは50メートルお
きに設置されており、警察ステーションが町辻に新設置され、この警官ら
が「家庭訪問」し、いきなり家宅捜査のように、宗教関係の書籍の有無な
どを調べるという。

AIは諸刃の剣である。明るい展望を見ると、これからの健康管理、医
療、財務、自動運転、ロボットなどに応用されるが、中国政府の狙いは第
一に人権弾圧と人民支配のための監視装置への適用にある。

第二にAI技術の軍事転用を活発化させ、中国軍のロボット兵士開発、攻
撃用ドローンなどに既に転用されている。

しかも、この巨大ユニコン(未上場の優良企業)MEGUVIIは、近く
上場を予定し、株式市場から7億5000萬ドルの資金調達に乗り出すという。


 ▲中国の究極の報復手段はレアアース供給中断

中国政府はトランプ政策の変更により関税戦争、中国企業の米国市場から
の排斥を受けて、報復関税をかけたが、次ぎにレアアースの供給停止を取
引材料に駆使する手筈だと、中国語の多くのメディアが報じている。中国
の国家発展改革委員会は、レアアース停止計画の存在を示唆している。

日本ではレアアースはハイブリッドカーとスマホが主たる使用用途ゆえ
に、民生用としてのレアアース概念しかない。

もし中国が対米レアアース輸出を停止すると米国はスマホレベルの話では
なく、米軍が開発、建造中のミサイル発射駆逐艦、原潜、F35戦闘機な
どの製造に支障が出る。

戦略物資としての備蓄はすくなく、米国内でのレアアース生産は需要の
5%に過ぎないため、米国の軍事関係者が懸念を表明しているという。。

しかし日本がレアアース供給を差し止められた時に、代替地としてカザフ
スタンなどから調達した。日本ではハイブリッドカー、半導体などでレア
アースが不足すると生産に支障が出たことは事実だが代替供給国には事欠
かないのだ。

ともかく前回のレアアース中断では、むしろ中国のほうで値崩れを起こし
た。レアアース生産地は内蒙古商パオトウ、江西省などで、品目によって
は中国が世界全生産の99%を占める。平均値として世界需要の3割が中国
のレアアースに依存している。

ところが、日本は南鳥島沖合海底に膨大なレアアース鉱脈が確認されてお
り、世界有数の埋蔵と言われている。だから日米は、中国の警告に慌てな
いのである。

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