2019年06月30日

◆怪しい日米安保破棄報道

阿比留 瑠比


トランプ米大統領が最近の私的会話で、日米安全保障条約破棄に言及した
との米ブルムバーグ通信の報道が話題となっている。朝日新聞は26日付朝
刊で「トランプ氏 透ける本音」と見出しをつけ「『日米関係は最強』と
蜜月をアピールする安倍(晋三)政権だが、衝撃と不安を隠しきれない」と
書くなどはしゃいでいるが、政府にそんな動揺はみられない。

むしろ筆者は、元の報道の中身やトランプ氏が会話した時期に眉に唾をつ
けて眺めている。これを前提とした論理を展開するのは、無理があると考
える。

両政府とも否定

報道にあるような話は全くない。米国からも米政府の立場と相いれないも
のだという確認を受けた」

菅義偉官房長官は25日の記者会見でこう述べた。米政府も報道を否定して
いるが、何を言い出すか分からないトランプ氏のことだから、案外あり得
る話だとの見方もあるのもわかる。

確かにトランプ氏は2016年の米大統領選の最中には、日米同盟の片務性を
批判し、在日米軍の駐留経費大幅増を求めるなど、日米安保条約の在り方
に不満を表明していた。大統領選の直後、安倍首相はトランプ氏がこうし
た主張をぶつけてきた場合について、周囲にこう話していた。

「そうなれば、それを日本の対米自立のきっかけにすればいいんだ」

同盟の重要性増大

この時期のトランプ氏であれば今回の報道のように語る可能性はあるが、
大統領就任後は日米同盟の重要性を理解をした発言を続けている。安部首
相との緊密な関係もあり、5月に米大統領として初めて、日本の海上自衛
隊艦船であるいずも型護衛艦「かが」に乗艦した際には、こう訓示した。

「日本が令和の時代を迎えたその歴史的瞬間に、われわれは米日同盟を祝う」

「米国の安全保障をも向上させる日本の防衛力向上に対する私の友人、安
部首相の尽力に感謝する」

その舌の根の乾かぬうちに、日米安保条約破棄を口にするどんな動機があ
ろうか。在韓米軍の撤退と米韓同盟の破棄ならば近い将来あり得るかもし
れないが、そうなればむしろ日米同盟の重要性は決定的に増すのである。
「韓国から撤退した米軍の半分は日本に来る」(外務省幹部)との観測す
らある。

まして米国が中国との対決姿勢を強めている中で、日本ほど戦略的・地政
学的に重要な国はない。そして米国の対中政策の「プロセスの始まりは、
安部首相の(16年11月の)訪米でした」(バノン前主席戦略官兼大統領上
級顧問、月刊『Hanada』5月号)とされる。この最初の会談で、安部首
相は話題の大半を中国の脅威に絞った。

今さら考えにくい

昨年9月の日米首脳会談では、日米同盟の現状をめぐって、安部首相とト
ランプ氏との間で次のようなやりとりがあった。

トランプ氏「米軍が日本を守るために、相当の費用を費やしていることも
忘れないでほしい」

安倍首相「だからこそ安全保障関連法を成立させ、今や米国と助け合うこ
とができるようになった。米軍の防護もやっている」

トランプ氏「それは素晴らしい。ただ、米国は駐留米軍のために相当の負
担をしている」

安倍首相「日本はどの国よりも駐留経費を負担しているし、基地も提供し
ている。駐留米軍の経費は、米国内にいるときよりも安くついている」

最後にトランプ氏が「あなたは、反論の天才だな」と笑って議論は終わった。

トランプ氏が、日米安保条約破棄を今さら言うなど考えにくい。ただ、緊
迫する中東情勢に関してのツイッターに投稿したこの言葉は重視すべきで
ある。

「(中国、日本などは)危険な旅をしている自国の船を自らで守るべきだ」

 トランプ氏にいわれるまでもなく、自分で努力してこそ、他者の協力や
支援を得られるものだろう。

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】 平成元年(2019)6月27日
(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
               松本市 久保田 康文氏採録 
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