2019年07月01日

◆特別の寄与の制度の新設

川原 俊明 弁護士

例えば、長男(死亡)の嫁が長年義父と一緒に暮らし、義父の世話を一人で献身的にしていたが、義父が亡くなり相続人が長女のみの場合。

 これまでは、何ら世話の一つもしていない長女が義父の遺産を独り占め
 できてしまうという不公平なものでした。

 ところが、この制度の新設により、被相続人(義父)に対して
 無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、
 被相続人の財産の維持または増加について、特別の寄与をした
 相続人以外の親族(特別寄与者:長男の嫁)については、
 相続の開始後、相続人(長女)に対して、寄与に応じた額の金銭
 (特別寄与料)の支払いを請求することができることとなりました
 (民法1050条1項)。
 
 ただし、特別の寄与の制度においては、
 労務の提供が無償であることを要件としています。
 そこで、被相続人(義父)が労務の提供をした者(長男の嫁)の
 生活費を負担していた場合に無償性の要件を満たすかどうか
 が問題になります。

 その判断は、個別具体的な事情に基づいてなされるものと考えられます。
 例えば、長男の嫁が、義父が要介護状態になる前から義父と同居
 しており、義父がその生活費を負担していたような場合であれば、
 療養看護開始後も引き続き義父が生活費を負担していても、
 そのことから直ちに無償性が否定されることにはならないと考えられます。

 また、一般に、労務の提供の対価といえるためには、その財産給付の
 内容が労務の提供の程度に応じて決められているという関係にあること
 を要すると考えられるため、例えば、長男の嫁が義父からごく僅かな金銭を
 受け取っていたに過ぎない場合には、対価的な意義がない
 と判断される場合が多いと考えられます。

 この制度にも弱点があります。
 例えば、長男の妻が内縁の妻の場合には、この制度の適用外となります。
 この場合には、生前に義父から特別寄与料に応じた死因贈与を受けておく
 (遺言書に記載してもらう、死因贈与契約書を作成する)方法があります。

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