2019年07月02日

◆EC完全統合への道遠し

渡部 亮次郎


今のEUのことを日本で初めて取り上げた政治家は故・河野一郎であった。
1960年代の中ごろ、ヨーロッパ視察旅行から帰って、今にヨーロッパは経
済的に大団結すると喝破し、その対応を各界に求めた。

しかし反応は全く無かった。当時フランスを訪問した池田勇人首相がド
ゴール大統領からトランジスターのセールスマンと揶揄されても国民は誰
も怒らなかった。国際感覚も外交感覚からもズレていたのである。

初めは緩い経済的連帯とでも言うべきECだった。その基をなすのがローマ
条約であり、2007年3月で締結50周年を迎えたが、加盟国が増大する一方で
各国間の温度差も広がっているようである。

<ローマ条約とは、欧州経済共同体 (EEC) 設立に関する、フランス、西
ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ及びルクセンブルグの6カ国が
1957年3月25日に調印した条約である。もとの正式名称は、欧州経済共同
体設立条約 (Treaty establishing the European Economic Community)
であった。

しかしマーストリヒト条約により、他の事項とともに共同体と条約両方の
名称から"経済"を除去する修正を受けた。この結果、本条約は欧州共同体
設立条約又はEC条約と呼ばれている>。

欧州共同体 (EC) から発展、1993年11月1日、マーストリヒト条約により
ヨーロッパ各国によるEC国家連合体欧州連合(おうしゅうれんごう)と
なった。

ヨーロッパ各国において経済、政治、軍事など社会的なあらゆる分野での
統合を目指している。本部はベルギーのブリュッセル。現在の加盟国は27
か国である。

産経新聞ベルリン=黒沢潤記者によれば欧州連合(EU)は2004年以来、
東欧など12カ国にも「統合の翼」を広げたことで、その性格を変えつつある。

「(15カ国時代に比べて文化、宗教、経済面で)『異質』な者同士の集
まりとなり、アイデンティティーの危機にすら直面している」(ドイツの
シンクタンクCAPのベティーナ・タールマイヤー研究員)のが実情だと
いうのだ。

EUが冷戦終結後、ソ連のくびきから解き放たれた東欧諸国を組み入れた
ことは、欧州の政治的安定や経済発展といった観点から意味があった。

しかしポーランドが04年に欧州憲法条約に「キリスト教の伝統」を謳うよ
う唱えて政教分離の国々と対立したことでも明らかなように、価値観をめ
ぐる“温度差”が徐々に表面化している。

経済面でも、新・旧加盟国の違いは歴然としている。EUの経済成長率に
占める新規加盟国の貢献度はわずか5%に過ぎず、巨額の補助金がこれら
の国に流れることへの不満もくすぶっている。

1月に加盟したルーマニアとブルガリアは国内の機構改革に追われ、EU
に今後の戦略を提示できる状況にはない。外から見れば強力な組織に見え
るEUもこうした国々を抱え、「内部は弱体化しつつある」(政治専門
家)との見方もある。

加盟当時、東欧諸国の側は約40年ぶりの「欧州回帰」に沸いたが今や不満
が募る。域内での自由労働が認められないなど、加盟の恩恵を十分、感じ
ることができないためだ。

冷戦後、やっとソ連の下から独り立ちした東欧諸国は、内政への「ブ
リュッセル」からの横やりに困惑気味だという。

独ブランデンブルク応用科学大のウルリヒ・ブラッシェ政治学教授は、
「東欧では『モスクワからブリュッセルの独裁主義に変わっただけだ』と
の声も出ている」と話す。

「これ以上の拡大は、『EUの顔』の問題にかかわる」(ミヒャエル・ク
ライレ独フンボルト大教授)との指摘もあるように、EUは「拡大」より
も「深化」に重きを置いていく可能性が高い。
(Sankei Web 2007/03/24 01:54)

加盟候補国としてクロアチア、トルコ、マケドニア、セルビアの4カ国が
控えている。トルコの加盟のハードルが最も高いようだ。

加盟27か国の公用語がEUでは等しく扱われる。そのためEUの公式文章は22
の言語に翻訳される。言語は五十音順。

イタリア語 英語 エストニア語 オランダ語 ギリシャ語 スウェーデ
ン語 スペイン語 スロヴァキア語 スロヴェニア語 チェコ語 デン
マーク語 ドイツ語 ハンガリー語 フィンランド語 フランス語 ブル
ガリア語 ポーランド語 ポルトガル語 マルタ語 ラトビア語 リトア
ニア語 ルーマニア語

黒沢潤記者によればEUの公式言語は22でなく23だそうだが、とにかく臨時
を含めて通訳者が5500人も居て通訳に要する予算も年間10億ユーロ、日本
円では約1570億円だそうだ。

加盟候補国 のクロアチア、トルコ、マケドニア、セルビア のうちクロア
チアの加盟が3年後には見込まれているため、EUは新たに建築する庁舎の
通訳ブースを21カラ30に増やす。それでも悲鳴は上がる。

たとえばオランダ・ギリシャ語間の通訳は英語を仲介するリレー通訳。即
時性が求められる各種会議や記者会見は修羅場と化すそうだ。
加えて小国の言語は小さな会議では通訳されないことも多く、議論が迷走
することになる。

EUの本部はブリュッセルだが、欧州議会は仏のストラスブール、欧州中央
銀行は独のフランクフルトと機能は分散したまま。整理統合は容易ではない。

こんな状況を捉えて黒澤記者は「域内人口が5億人に膨張したEUは、統合
の成果を強調するが、使用言語や庁舎の乱立振りを見る限り、完全統合へ
の道程はなお遠そうだ」としている。出典: フリー百科事典『ウィキペ
ディア(Wikipedia)』2007・04・05

   
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