2019年07月27日

◆「尖閣」から身を隠す米国

渡部 亮次郎


アメリカは如何なる態度をとってきたか。調べる為に「ウィキペディア」
にあたってみた。

その結果言える事は安保条約も有り、何よりも中国への刺激を避けること
を最優先に考えており、私から言えば「アメリカは尖閣問題から常に身を
かくそうとしている」との印象である。

1972年5月に、アメリカニクソン政権でキッシンジャー大統領補佐官の指
導の下、ホワイトハウス国家安全保障会議において「尖閣諸島に関しては
(日中などの)大衆の注目が集まらないようにすることが最も賢明」とす
る機密文書をまとめた。

同年2月に訪中に踏み切ったニクソン政権にとって歴史的和解を進める中
国と、同盟国日本のどちらにつくのかと踏み絵を迫られないようにするた
めの知恵だった。

この機密文書には、日本政府から尖閣諸島が日米安保条約が適用されるか
どうか問われた際の返答として「安保条約の適用対象」と断定的に答える
のではなく「適用対象と解釈され得る」と第三者的に説明するように政府
高官に指示している。

2009年3月、アメリカのオバマ政権は、「尖閣諸島は沖縄返還以来、日本
政府の施政下にある。日米安保条約は日本の施政下にある領域に適用され
る」とする見解を日本政府に伝えた。

同時に、アメリカ政府は尖閣諸島の領有権(主権)については当事者間の
平和的な解決を期待するとして、領土権の主張の争いには関与しないとい
う立場を強調している。すなわち、アメリカ政府は、尖閣諸島に対する日
本の「施政権」を認めているが「主権」については不明にしている。

1996年9月15日、ニューヨーク・タイムズ紙はモンデール駐日大使の「米
国は諸島の領有問題のいずれの側にもつかない。米軍は条約によって介入
を強制されるものではない」という発言を伝え、10月20日には大使発言に
ついて「尖閣諸島の中国による奪取が、安保条約を発動させ米軍の介入を
強制するものではないこと」を明らかにした、と報じた。

この発言は日本で動揺を起こし、米国はそれに対して、尖閣は日米安保5
条の適用範囲内であると表明した。米国政府は1996年以降、尖閣諸島は
「領土権係争地」と認定(「領土権の主張において争いがある」という日
中間の関係での事実認定であって、米国としての主権に関する認定ではな
い)した。

その一方では、日本の施政下にある尖閣諸島が武力攻撃を受けた場合は、
日米安保条約5条の適用の対象にはなる、と言明している。この見解は、
クリントン政権時の1996年米政府高官が示した見解と変わらないとされる。

ブッシュ政権時の2004年3月には、エアリー国務省副報道官がこれに加え
「従って安保条約は尖閣諸島に適用される」と発言し、それが今でも米政
府関係者から繰り返されている。

ただし「安保条約5条の適用」は米国政府においても「憲法に従って」の
条件付であって米軍出動は無制限ではない(条約により米国に共同対処を
する義務が発生するが「戦争」の認定をした場合の米軍出動は議会の承認
が必要である)ことから、「尖閣諸島でもし武力衝突が起きたなら初動対
応として米軍が戦線に必ず共同対処する」とは記述されていない(これは
尖閣諸島のみならず日本の領土全般に対する可能性が含まれる)。

むろん「出動しない」とも記述されていない。第5条については条約締改
時の情勢に鑑み本質的に「軍事大国日本」を再現することで地域の安定を
そこなわないための米国のプレゼンスに重点がおかれているものと一般に
は解釈されている。

なお、米国の対日防衛義務を果たす約束が揺るぎないものであることは、
累次の機会に確認されていると日本の外務省は主張している。

2011年11月14日、フィールド在日米軍司令官は日本記者クラブで会見し、
尖閣諸島について日米安全保障条約の適用対象とする従来の立場を確認し
つつも、「最善の方法は平和解決であり、必ず収束の道を見つけられる。
軍事力行使よりもよほど良い解決策だ」と述べ、日中関係改善に期待を示
した。

尖閣諸島の主権に限らず、領土主権の認定は、主権認定に関する条約が締
結されていた場合には、国際法上、行政権限ではなく国会の権限が優先す
るというのが通説である。

つまり、サンフランシスコ平和条約に米国政府が調印して米国議会が批准
(国会で承認)している以上、オバマ政権の行政府としての政治的判断や
政治的発言がどのようなものであっても、それは条約の更改や廃止や破棄
として国会の承認(批准)を経たものでないから、条約更改や廃止、破棄
としての法的効果は生じていない。

国際法上、米国の国家責任としての尖閣諸島の主権に関する認定は、議会
によって条約の更改や廃止、破棄などの決議がされない限り、あくまでも
サンフランシスコ平和条約2条に帰結する。

なお、米国政府(行政府)が尖閣諸島の主権が日本にあることを明言しな
いことは、尖閣諸島の主権が日本にないことを主張したものとはいえない。

つまりブッシュ政権もオバマ政権も、米国政府として「領土権の主張の争
いには関与しない。」と言っているのであって「尖閣諸島の主権は日本に
はない」と主張したことはない。

もっとも、もしそのような明言を米国議会の承認なしにすれば、米国議会
が批准した条約、条文を行政府が国会承認の手続を経ず恣意的に変更する
わけで、それは明白な越権行為であり米国憲法違反になる。

2010年9月に起こった尖閣諸島中国漁船衝突事件の際は、ヒラリー・クリ
ントン国務長官は、日本の前原誠司外務大臣との日米外相会談で、「尖閣
諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象範囲内である」との認識を示
し、同日行われた会見でロバート・ゲーツ国防長官は「日米同盟における
責任を果たす」「同盟国としての責任を十分果たすとし、マイケル・マレ
ン統合参謀本部議長は「同盟国である日本を強力に支援する」と表明して
いる。2013・12・27

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