2019年09月01日

◆亡父の薫陶

加瀬 英明


私は幼いころから、父から「女と動物を苛めてはならない」と教えられ
て、育った。

もう一つ、小学校に進むようになってから、正座して『論語』の素読をさ
せられた。父が同じ歳のころに、祖父から強いられたことだった。

私が漢籍から引用できるようになったのと、女性と動物を大切にするよう
になったのは、この2つの躾によるもので、感謝している。

父は私が高校生のころから、馴染みの座敷に連れていってくれて、芸妓の
伽羅の香りや、絃歌の世界を知った。私は父の秘密を共有するようになっ
たから、父をいっそう好きになったし、母を大切にするようになった。

父は人が羨むほど夫婦仲がよかったし、犬と猫を可愛がった。母が逝って
からは、純白の雌のペルシア猫を溺愛した。

それでも、生物のなかで、ペットが存在するのは人間だけだが、なぜなの
だろうか。

動物はいつも本心だけで、嘘をつかない。そこで私たちの心が和み、癒さ
れるからだろう。

父がある時、愛犬の頭を撫でながら、「もし、人間に尻尾があったら、こ
の世から騙し合いがなくなることだろう」といった。私は人間は進化が遅
れているから、まだ尻尾がはえていないにちがいないと、思った。

植物も、嘘をつかない。だから森のなかを散歩すると、爽快になる。人は
自分を偽って生きなければならないから、疲れる。

女性に出会うとおだてるのは、父譲りである。女性のほうが男性よりも強
いから、諍わないほうがよい。

科学的にいって、女性と言い争ったら、男に勝ち目はない。女性の声の高
さは200から300ヘルツであるのに対して、男性は100から150
ヘルツしかない。100ヘルツは声帯が1秒間に、100回震動している
のをいう。

女性は男性よりエネルギーに溢れているから、際限なく喋ることができる
が、男性はすぐに畏縮してしまう。「君子危キニ近カヨラズ」と、中国の
聖賢が宣うているではないか。

男が女性に甘えるのは、弱いからだ。女性は男性より強いから、耐える。
男性は合理的だから、女性に負ける。女性はその証拠に占いを信じるが、
占いの語源は「うらづけがない」というものだ。

明治の日本を創った賢人の福沢諭吉先生が、「無力な道理は、有力な無道
理に勝てず」と諭しておられる。



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