2019年09月05日

◆妖艶「西馬音内」盆踊り

渡部亮次郎


秋田県羽後町のお盆の夏の夜を彩る西馬音内(にしもない)盆踊り(国指
定重要無形民俗文化財)。この祭の起源は記録されたものがまったく無い
ために、すべて言い伝えによるものである。

秋田県南部の雄勝郡(おがちぐん)羽後町(うごまち)西馬音内(にしも
ない)でのお盆のお祭である。

秋田県内には、このほかにも有名な盆踊りがあり、8月の月遅れのお盆行
事として15,6日頃から若者を興奮させる。女性の妊娠数も多くなると昔は
色っぽく語られたものだが、過疎の現在は踊りの維持さえ大変なようだ
が、頑張っている。

西馬音内の呉服屋の息子矢野恵之助君と秋田高校2年の時、同級生になっ
たが、郷里は汽車でも通えないぐらい遠いので、秋田市内に下宿してい
た。しかし盆踊りなど我々の話題にはならず、専ら演劇と小説に熱中した。

西馬音内の盆踊りは、1288〜93の正応年間、源親という修行僧が御嶽神社
(当時蔵王権現)を勧請して、ここの境内で踊らせたものという説がある。

これが1601年(慶長6年)城主の小野寺茂道一族が滅び、その家臣たちの
子孫が主君を偲んで8/16〜20までの5日間に西馬音内寺町の宝泉寺境内で
行った亡者踊りと合流し、さらに1781〜89の天明年間に本町通りに移り現
在まで継承されてきたものと伝えられている。

現在は月遅れのお盆を中心とした毎年8/16〜18まで西馬音内本町通りでか
がり火を囲んだ細長い一つの輪をつくり、幻想的なひこさ頭巾とあでやか
な端縫い衣装の踊り手たちが、にぎやかで勇ましく野性的なお囃子にあわ
せて、夕方から夜更けまで踊り続ける。

篝火にぼぉっと浮かぶひこさ頭巾に酔う  ひこさ頭巾。

黒い覆面をかぶった踊り手。ひこさ頭巾は、踊り手の表情がまったく見え
ず、亡者を連想させ幻想的な雰囲気をかもし出す。

秋田県由利地方(日本海岸)の「はなふくべ」や山形県庄内地方の「はん
こたんな」と関連があるとか、歌舞伎の黒子がヒントになっている等、諸
説あるが、ハッキリとした由来は分からない。

4〜5種類の絹生地をあわせて端縫った衣装で、女性が多く用いる。この場
合はひこさ頭巾ではなく、編み笠をかぶり、帯の結び方は御殿女中風な形
になる。

多くの人に見守られながら踊る女性達は、図柄と配色に工夫を重ね、少し
でも人目を引くように苦心したことだろう。中には祖母から母へ、娘へと
代々受け継がれて来たものも少なくない。

編み笠ごしには踊り手の表情はほとんど見えないが、うしろ姿の美しいう
なじが魅力的だ、と殺到する観光客はいう。

指先の柔らかいくねりに酔う 。

囃子はやぐらの上で"よせ太鼓"、"音頭"、"とり音頭"、"がんけ"の4種類
がある。お囃子には、笛、大太鼓、小太鼓、三味線、鼓、鉦(すりがね)
などのほかに唄い手が加わる。

西馬音内盆踊りの魅力は、実は美しい踊りとはまるで趣を異とするこの囃
子という人もいる。世を風刺したもの、野趣叙情溢れるもの、からっとし
たエロティシズムを匂わすもの等、多彩な即興詞で踊りを盛り上げる。

これらは通りのほぼ中央に組まれる踊りの輪の外側の特設やぐらの上にお
り、その左右の柱には「五穀豊穰」「豊年満作」と書かれた長灯籠がかけ
られ、周りには幔幕が張られる。

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