2019年09月11日

◆ホルムズ海峡における日本の立場と平和憲法

加瀬 英明


イランと北朝鮮が、中東とアジアの発火点となるか、世界の注目を集めて
いる。

両国は大きく離れているが、共通点が多い。

イランは核兵器開発に取り組んできたかたわら、北朝鮮はすでに核弾頭を
手にしているが、アメリカのトランプ政権が中心となって、核開発、ある
いは核兵器を放棄するように、国際社会を捲き込んだ、厳しい経済制裁に
よって締めつけられて喘いでいる。

中国、ロシア、ヨーロッパ諸国も、アメリカの制裁を恐れて、イランと北
朝鮮に対する経済制裁に加わらざるをえない。

もちろん、イランはキムチを食べないとか、イスラム教の厳しい戒律に
よって飲酒を禁じているとか、違いも多い。

 イランは、地理が有利だ。日本の石油・天然ガスの80%以上、ヨー
ロッパ諸国にとってもエネルギーの大動脈が通っている、ペルシア湾の幅
37キロの狭い出入り口であるホルムズ海峡が、イランに面している。イラ
ンはイスラム教主流のスンニー派と、不俱戴天の二大宗派の一方で
あるシーア派の総本家で、アメリカ、イスラエルが支援するスンニー派の
多くの諸国で、イラン革命防衛隊や、代理兵を使って、紛争をひき起して
いるが、北朝鮮は地域的な影響力がない。

イランも、北朝鮮も、アメリカによる経済制裁を何とか緩和させようとし
て、駄々をこねている。イランは6月にアメリカの無人偵察機を撃墜し、
革命防衛隊がホルムズ海峡周辺で、日本、イギリス、ノルウェーなどのタ
ンカーを攻撃、拿捕(だほ)し、ウラン濃縮の度合いを高めた。北朝鮮は5
月、7月に短距離ミサイルを発射し、年内に合意できなければ、アメリカ
ともう話し合わないと脅している。

トランプ大統領も、口では勇ましいことをいっても、戦いたくない。イラ
ンがアメリカの無人偵察機を撃墜すると、トランプ大統領はいったんイラ
ンに限定的攻撃を加えるように命じたものの、その直後に取り消した。

イランを攻撃すれば、中東全域にわたってイランの代理兵が、米軍を攻撃
することになっただろう。

トランプ大統領はアフガニスタン、イラク、シリアから、米軍を撤収する
ことを発表しているものの、実現できないでいる。トランプ大統領は米軍
を海外から引き揚げたことを、レガシーとしたい。だが、7月にサウジア
ラビアに小規模の米軍部隊が、派遣された。

 ペルシア湾の状況は、一触即発だ。

トランプ大統領はこれまで3回にわたった米朝首脳会談が、北朝鮮の核実
験と、中長距離弾道弾の発射を中断させてきたほかに、何一つ成果をあげ
ず、すれ違いに終わったのにもかかわらず、話し合いを続けるといい、金
正恩国家主席に対して微笑み続けている。

だが、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師と差しで、友好的に会談しよ
うとしない。アメリカは核開発と並んで、イランが中東全域にわたって安
定を乱しているのを阻止しようとしているが、イランは北朝鮮と同じ強権
による独裁国家なのに、ハメネイ師が金主席のような唯一人の独裁者では
なく、僧侶勢力、革命防衛隊など、八岐大蛇(やまたのおろち)のような集
団指導体制にあるからだ。

アメリカはイランの核開発と、北朝鮮の核兵器を放棄させることに、成功
するだろうか。核開発と核戦力の増強を先送りできても、放棄させること
はできないだろう。

トランプ政権は、ホルムズ海峡の自由航行を確保するために、ペルシア湾
にエネルギーを依存している諸国が有志連合を結成して、海軍部隊を派遣
することを求めている。日本はホルムズ海峡に対して、依存度がどの国よ
り高い。

“平和憲法”を楯にして、アメリカにホルムズ海峡において日本のタンカー
を護るのを委ねるべきだというのなら、京都アニメーションのような火災
も、アメリカの消防隊に消してもらったらよいだろう。


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