2019年09月21日

◆イスラエル次期政権は

宮崎 正弘


令和元年(2019)9月21日(土曜日)通算第6203号 

イスラエル次期政権はガンツ元参謀総長か連立を主導へ
    ネタニヤフ政権の継続は難しい雲行き。米国外交にも影響

ユダヤ人の特質は「全員一致ならやめちまえ」である。

定数わずか120の国会(クネセト)の議席を巡り少数政党乱立。全国区だ
から、その選挙制度からも、乱戦となる。

今回の選挙で議席を得た政党が11もある、そのうえ、議席を得なかった
少数党が、じつ18.多彩さに鎬を削るコンクール?

ネタニヤフ首相は10年以上の長期政権となって、国民からかなり飽きられ
ている。

そのうえ、汚職の噂がついて回った。しかし米国トランプ政権と呼吸が
あって、米国大使館のエルサレム移転。ゴラン高原の併呑容認、そしてヨ
ルダン川西岸の入植拡大は黙認と、事実上の応援団長だった。

トランプ政権で実務的な中東問題を担当するのはイヴァンカの夫、クシュ
ナーであり、かれは屡々エルサレムとリヤドを往復し、イラン問題などを
協議してきた。トランプ政権はネタニヤフ続投と踏んでいたからだ。

ジョンボルトン補佐官が解任されたのも、イランに対する政策に一貫性が
ないとして、トランプ大統領と激論をしたことが原因の一つとされた。

事前のネタニヤフ有利という予測は修正された。

9月17日のイスラエル総選挙は、与党リクードと、新・野党連合の「青
と白」が議席35で同数。今後、連立相手を求め、政策調整がこれから進む。

リクードの唱える「大連立」を「青と白」が拒否しており、中間派の「我
が家イスラエル」をはじめとする少数政党のいずれを味方につけるかで、
政権の行方が右に曲がるか、左に逸れるかが決まる。

まず選挙結果を得票率でみるとリクードが26・27%、青と白が25・
95%と伯仲しており、議席数はともに仲良く35。

ということはどちらかが連立の主導権をとって他の少数政党を説得し、政
策協定を結んでいくことになるだろう。

議席数をみるとリクードも五議席増やしているが、青と白はいきなり24
義戦増だ。

リクードと連立を組む宗教政党「シャス」の議席獲得は8,ユダヤトーラ
連合が同8、これにハタシュタールが6議席。

野党側は従来の労働党が13議席も減らして6議席となった。

同様に議席減を記録したのは、「我が家イスラエル」が5議席に留まり,
右翼連合が5,「メレツ」が4,クラヌも同数4,そしてアラブ政党が
4.これら少数党の議席減は合計24,つまり、この少数政党が減らした
24議席がすべて「青と白」に流れ込んだ結果となった。


 ▲ネタニヤフ下野、大連立も先行き不透明

事前予測と開票速報の段階ではキャスティング・ボードを握るのは「吾が
家イスラエル」と言われたが、予測議席10が、結果は5に終わり、とて
も連立のキィを握るとは言えなくなった。

「我が家イスラエル」は「正統ユダヤ教徒の兵役免除、免税得点を廃止せ
よ」と公平を訴えて支持を伸ばしてきただけに、その敗北が意味するの
は、正統ユダヤ教徒への優遇措置に変更はないだろうと考えられる。

投票から2日後、ネタニヤフは敗北を宣言し、一方「青と白」のガンツは
「勝利宣言」をした。

この結果を踏まえ、米紙ワシントンポストは、ガンツ元参謀長が連立政権
を率いるだとうと予測した(9月20日)。

ガンツは18歳で軍隊へ入隊し、38年間軍人一筋の生活を送り、着々と
軍歴をあげて、幾多の戦争を指導し、現役組トップの参謀総長となって、
引退した。しばし実業界に身を置いたが、政治への関心が高く、新政党を
組織したのだ。世界の政界は「ガンツ? WHO?」だ。

さて日本への影響は殆どないが、米国は深刻な影響が出る。

イラン政策でネタニヤフと米国は一致してきた点が多いだけに、もしガン
ツ元参謀総長が率いる「青と白」が中核の連立政権となれば、外交政策に
多少の路線修正、とりわけイランへの姿勢に変化が出るかも知れない。


 ▲イスラエルと中国の怪しい関係

 問題は中国である。

中国はイランから大量の石油を輸入しているが、同時に武器を供与してき
た。イラン・イラク戦争ではイランと同時にイラクへもスカッドミサイル
を供与し、「死の商人」と言われた。

その中国が、イランと併行してイスラエルにも深く食い込んでいる。この
二重人格的多芸ぶりは、日本が到底真似の出来ない外交の多重性外交を発
揮する。

イスラエル重視の中国の狙いは、第一にハイテク、暗号技術、ハッカー防
御。つまり軍事方面でのテクノロジー取得である。イスラルは米国と協同
で開発していたアロウ・ミサイル技術を、米国の怒りをよそに、秘かに中
国へ供与していた。

イスラエルのコンピュータ特殊部隊はイランの原子炉設備のコンピュータ
システムにウィルスをしかけて開発を数年遅らせた。その技量を中国は教
訓としている。

第二は中国企業の多国籍化、とりわけM&A(企業合併、買収)のノウハ
ウを米国のファンドや乗っ取り屋から学び、欧米並びに豪、日本のハイテ
ク企業を巧妙に買収してきた。その秘訣を中国はユダヤ人から得たフシが
ある。

       
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1958回】                 
 ――「浦口は非常に汚い中國人の街だ」――徳田(13)
  徳田球一『わが思い出 第一部』(東京書院 昭和23年)

     △
徳田は「(満鉄の)設備のほとんどすべてがツアール・ロシアの殘したも
の」と綴るが、「坊主憎けりゃ・・・」といった類の言い掛かりであるこ
とは明らかだ。

ここでモスクワで開催された極東民族大会への往復の旅程を追うと、
1921(大正10)年10月初旬の上海到着後、長江を遡って南京へ。南京から
北上し曲阜、済南を経て天津へ。天津から北上し山海関で満洲入りし、以
後は長春、ハルピンへ。ここで西に向かって満洲里でモンゴル入りした
後、「何となくソヴエト同盟入りの目的をその日のうちに達した」。

一方、モスクワからの帰路を見ると、「蒙古を通過したのは一九二二年の
三月末から四月の中旬にかけて」であり、その後は張家口、北京、天津、
徐州、南京、上海、大連を経て帰国している。おそらく各地に張り巡らさ
れたスパイ網から逃れるために、このように手の込んだ旅をせざるを得な
かったのだろう。

ところで徳田は、帰国から3年ほどが過ぎた1925年に上海に現れた。中国
共産党創立から4年後で、3回目の上海ということになる。

1923年のドイツ革命失敗「世界的に革命運動が低調とな」る一方、国内で
は1924年に「憲政會の加藤高明を中心とする資本家勢力の内閣が成立し
た」。こういった内外状況のなか、日本共産党内で「解黨の可否の論議が
鬪わされていた」。

それを知ったコミンテルンが日本共産党の中心人物を上海に呼び付けたの
である。

「1925年の1月に解黨を主張する側の代表として佐野文夫、青野季吉兩君
とこれに反對する荒畑寒村君と佐野學君と私が代表して上海でコミンテル
ン代表者極東部長同志ボイチンスキーと會見することとなつた」わけだ。

「會見」とはいうものの、実態はボイチンスキーの前で釈明し、解党すべ
きか否かの指示を仰ごうというのだろう。(以後、徳田は「ヴォイチンス
キー」と記す)

「同志ヴォイチンスキーの住んでいた宿は日本人租界の中にあ」り、「事
務員級の人ばかり住んでいる相當大きなアパート式の家で、多くのソヴエ
ト同盟人が住んでいた」。

ここで徳田ら日本共産党員は解党問題に就いて「約一週間にわたつて晝夜
をわかたず論議した」のである。日本人租界にコミンテルンの拠点とは。
これを灯台下暗しというのだろうか。

徳田も「こういう家が何の不安もなく日本人租界内にあつたことからみて
も當時の上海の空氣がどんなものであるか察しがつく」。無政府状態とで
も言うべきか。

「上海での一週間の討論の結果黨を解體することの誤びようは全代表者に
よつて認められた」。「特に当時の上海の革命的ふん圍氣がこれまで解黨
を主張していた人々をも勇気づけることのなつたのである」。じつは中国
共産党は1923年の第3回党大会で「黨全體として國民黨に參加する決議が
採擇」された。

この第一次国共合作が「上海の革命的ふん圍氣」を醸成させたことから、
「わが黨は再び勇氣りんりんと起ち上がった」という。「勇氣りんりん」
と少年探偵団の主題歌のようなアッケらかんとした表現が徳らしく微笑ま
しいが、まあ実態は「同志ヴォイチンスキー」に強く叱責されたというこ
とだろう。

じつは上海行きの船に日本のスパイが乗っているとの情報を事前に得てい
た徳田らは、「上海行の半客船である4千トン級の熊野丸に乘つた」。こ
の船も満員だったが、満員であることは「日本帝國主義がイギリスと中國
市場を爭つて動亂を援助し、その背景の下に中國に手をのばしていた」こ
との証拠だと言う。やはり日本帝国主義は「親の仇」か。

この時、非合法時代の日本共産党(第二次日本共産党)で書記長を務め、
1928(昭和3年)に湾の基隆で官憲包囲の中で拳銃自殺した「渡政」こと
渡邊政之輔も一緒だった。
「同志渡邊政之輔ははじめての外國行きだものだからすつかり有頂天にな
つて」いた。
          
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 読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1海外放送を見ていたら、トランプ大統領について気になる報
道があった。それは米国の議員の発言だが、トランプは今八方ふさがりで
混乱しており戦争になる危険があると言う。

八方ふさがりとはトランプは再選を目指すので当面海外のトラブルは避け
たい。しかしそれを見こして海外の反米勢力が重大なトラブルを起こして
くる。イランのサウジ精油所攻撃は良い例だ。北の核問題もある。そこで
困ったトランプは解決が見いだせずフラフラ状態だという。それが逆に戦
争を起こす可能性があるということだ。

これが正しいかわからないが、日本が国防をトランプ個人に頼っているの
は危ない。失敗すると破滅する。日本の優先課題はやはり再軍備だ。国防
は外国と違い裏切らないからだ。

トランプの真の解決案は、日本やドイツのような地域の核になる国に核保
有を認めることであろう。米国は必死に核拡散を止めようとしているが、
止まらない。技術というものはそういうものなのだ。その結果、米国は途
方もない負担を背負い込んでいる。さらに不拡散の代償に必要な防衛代行
が出来ないことだ。いくら米国でも核の身代わり被曝はできないのだ。こ
うした状況で、地域に狂気じみた強気の指導者が出ると被害国も米国も屈
服せざるをえない。

ジョージ・ケナンの著書を読んでいると、第二次大戦の米国はまるで高校
生のようであったと批判している。

日本を滅ぼせばソ連が南下することは現在の目で見れば明らかだった。こ
れを当時外交専門家のマクマレが気づき、国務省に対日敵視方針を止める
ように建言したが握りつぶされてしまった。

その結果は戦後の冷戦であり被害国は勿論米国にとっても大損害だった。
これは米国の政治家が愚かであったからである。したがって日本は全面的
には米国に頼ることは出来ないのだ。(落合道夫)

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