2019年11月17日

◆しらじらしい桜を見る会騒ぎ

阿比留瑠比


昭和27年以来、歴代政府がほぼ毎年実施してきた首相主催の行事「桜を
見る会」がにわかに注目を集めている。立憲民主党、共産党などの野党は
活気づいて追及チームを発足させたほか、メディアでも13日付の朝日、毎
日両紙の社説が次のような見出しで、安部晋三政権を批判していた。

「首相の私物化許されぬ」(朝日新聞)

「公金私物化の疑問が募る」(毎日新聞)

また、これに呼応して13日午前の菅義偉(スガヨシヒデ)官房長官の記者会見で
は、朝日の記者が矢継ぎ早にこんな質問をしていた。

「首相に近い人たちが特別な便宜を受けたことにならないか」「各界の功
績者に該当しないように見える特定政治家の支援者が参加しているが、適
切な運営と言えるのか」

断っておくが、筆者自身は「桜を見る会」が開催されようが中止されよう
があまり関心はない。運営に適当でない部分があれば、改めるのも当然だ
ろう。ただ、野党やメディアが、以前からこの会に関心を示し、問題点が
あると指摘してきたとは到底思えないため、また難癖をつけていると受け
止めてしまうのである。

記念撮影に28分

ある年の「首相動静」記事をみると、産経新聞はこう報じている。

【午前】8時18分、公邸発。30分、東京・内藤町の新宿御苑着。31分から
59分まで、地元の後援会関係者らと記念撮影。9時、夫人とともに「桜を
見る会」に出席。10時21分、同所発。

桜を見る会の会場で、実に28分間にわたり後援会関係者と写真を撮ってい
る。いったい何人いたら、こんなに時間がかかるのだろうか。ちなみにこ
れは平成22年4月17日の民主党の鳩山由紀夫首相の動静である。

おそらく各界の功績者や功労者ではない地元の後援会関係者を明らかに優
遇していることが分かるが、この時民主党内やメディアから批判の声が上
がったとは寡黙にして知らない。

同日付朝日の夕刊はこの「桜を見る会」について写真付きで、「『雨天の
友・・・』首相、自らを鼓舞?」という見出しを付けて次のように書いて
いる。

「首相は『雨の時に集まってくれる友こそ真の友。みなさんは鳩山政権の
雨天の友だ』と呼びかけた」

もちろん、朝日が鳩山氏が「真の友」である後援会関係者と記念撮影をし
たことに気づいていなかったわけではない。

便宜感じたのか

18日付朝日朝刊の首相動静蘭にはちゃんと「地元の後援会関係者らと記
念撮影」と記録されている。毎日も同様だが、両紙はこのとき、首相によ
る私物化だなどと一切書いていない。

鳩山政権時には民主党に所属していた自民党の長尾敬前内閣府政務官は、
こう証言する。「民主党本部から、せっかくの機会だから地元後援者に上
京してもらい、後援会固めに使うよう指示があり、後援会名簿を出した。
このことは、今野党で安倍政権の私物化だと批判している旧民主党出身の
人たちも、みんな知っているはずだ。しらじらしいし、不思議な光景だと
思う」

「桜を見る会」では、メディア各社の上層部や、首相官邸キャップにも招
待状が来るため、出席経験者は少なくないはずである。彼らは、この会に
参加したことで、時の首相に特別な便宜を図ってもらったと感じたり、首
相による会の私物化に協力したと思ったりしているだろうか。

一連の騒動で来年度の「桜を見る会」は中止されることになった。長尾氏
ではないが、本当に「しらじらしい」「ばかばかしい」とむなしくなる。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】しらじらしい桜を見る会騒ぎ  
令和元年(2019)11月14日
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。