2019年11月17日

◆香港の大学は「軍事要塞」に化けた

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月15日(金曜日)通巻第6276号 

香港の大学は「軍事要塞」に化けた。海外からの留学生は帰国の途に
 キャンパス内は籠城戦に備え食料備蓄、武器製造、運動場では投擲訓練

想像より多い。数千の学生がキャンパスを軍事要塞化して立て籠った。
セメントを調達し、道路のレンガを壊しバリケードを築き、火炎瓶を大量
に用意している。籠城戦の部署を分担し合っている。

古代の戦争に登場する投擲機をかれらは自分たちで作った。弓の練習も行
われている。投石機の大型化も進んでいる。

中文大学、香港大学、香港理工大学ほか、軍事要塞化は警官隊突入を防ぐ
ためである。付近の道路は通行不能状態。九龍と香港島を結ぶ海底トンネ
ルもバリケードで封鎖された。

キャンパスには「これは戦争だ!」という標語。

ロビィや講堂などは夥しい食料と水、学生食堂は、職員に代わって料理を
作れる学生たちが食事を作っている。

戦闘服、グーグル、手袋、ヘルメットも積み上げられ、準備を整えた。

火炎瓶が大量に用意され、投擲マシーンも自分たちで周辺の木材などを運
び込み、あまつさえ防御用兵器も科技大学の学生らが工夫している。

中国大陸からの留学生が大使館の手配で特別のフェリーが用意され、脱出
した。
続いて14日からは日本、台湾などからの留学生も一斉に帰国の途に就いた。
いよいよ人民解放軍が入りそうだという情報が乱れ飛び、夜間外出禁止令
施行は時間の問題とも言われるようになった。
 何が起きるのか?
      
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1985回】                 
――「支那を亡すものは鴉片の害毒である」――上塚(3)
上塚司『揚子江を中心として』(織田書店 大正14年)

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ここで些か飛躍するようだが、「中欧班列」の最近の状況を簡単に紹介し
ておきたい。

中国の59都市とヨーロッパの15カ国を結んでいる中欧班列はロシア経由と
カザフスタン経由の2路線が稼働し、ユーラシア大陸の東と西とを結ぶ1万
km超の路線を2週間余りで繋いでいる。

輸送コストは空路の75%前後と安い。海路の2、3倍は高い運賃ではある
が所要時間は半分前後。つまり中欧班列は、空路より安い運賃で海路より
は断然早い。加えて季節による運賃変動が少ないことも魅力の1つだ。

当初の最大の懸案であった片荷問題だが、2018年を見ると欧州発便は前年
比111%増で全体の42.3%を占めるなど、解消に向かっている。スマート
フォンやモバイルなどのIT製品、自動車・自動車部品、一般機械、金属加
工品、衣類、コーヒー豆、ワイン、木材、家具などが中国から欧州へ、自
動車、日用品、食品、機械設備などが欧州から中国へ送り込まれている。
中国・欧州間を往来するコンテナーは2019年3月には110万を超えている。

中欧班列は中国以外の企業も利用し、たとえばホンダは中国で生産したエ
ンジンを欧州物流拠点(在ベルギー)への輸送に利用。日本通運は陝西省
西安とデュイスブルク(ドイツ)を繋ぐ専用貸し切り列車の試運転を開
始。フォードはドイツで生産した部品を重慶に送り込み、完成車を欧州に
送り出す。

2011年の中欧班列の列車本数を歴年で追ってみると、2011年(中国発:17
本/欧州発0本。以下同)、2012年(42本/0本)、2013年(80本/0
本)、2014年(280本/28本)、2015年(550本/265本)、2016年(1,130
本/527本)、2017年(2,339本/1,274本)、2018年(3,673本/2,690
本)――2018年の実績は6363本で前年比73%増。累計本数は2018年末で1万
3千本を突破している。

こう見てくると、20世紀初頭に構想された海蘭鉄道の先見性や戦略性、加
えるなら1世紀と言う時代の激動を改めて思い知らされるようだ。
 
上塚に戻るが、彼は20世紀初頭における中国を巡る列強の「蟻軍の甘きに
附く」ような振る舞いを「表に正義人道の衣を纏ひて、内に恐るべき豺狼
の牙を磨くあり」と形容しているが、これはそのまま一帯一路を推し進め
る習近平政権の姿勢に当てはまるに違いない。

1世紀前には「豺狼の牙」に慄いていた中国が、今や自らが「豺狼の牙」
を研ぐ。かつて列強は「正義人道の衣を纏ひて、内に恐るべき豺狼の牙を
磨」きながら、中国に利権を求めた。そして今、習近平政権の率いられた
中国は、かつて列強が中国に向かった野望の道を反対方向に進み、「正義
人道の衣」ならぬ「双?(ウィンウィン)関係」をチラつかせながら相手
国を丸め込み、「内に恐るべき豺狼の牙を磨」いている。

かつての「東亜病夫」と蔑まれた中国だったが、今や「恐るべき豺狼」に
まで“成長”してしまった。やはり自らの力で成長したわけではなく、安い
労働力を求めて押し寄せた日本や欧米諸国がカネとモノとを注ぎ込んだか
らだろう。毛沢東が30年ほどの時間をかけて辿り着いた貧乏の共同体は、
「恐るべき豺狼」に激変したのだ。これを歴史の皮肉と見るべきか。はた
また歴史の必然と考えるべきか。

上塚は「俺は一體何の爲めに歩いて居るかと自問自答」しつつ、ひたすら
歩く。
「毎日々々野と山と河とを眺め、南京蟲に喰はれ、蚊に刺され、豚肉と
ボロボロ飯を食ひ乍ら、世の中の總てから離れ、金を使つて苦勞した、得
る所果して幾何ぞや。〔中略〕俺は餘程馬鹿だワイと一方の耳で囁く。

〔中略〕實際御前は馬鹿ダ。然し數字や常識に超越した馬鹿で無くて、何
で之が出來よう。自己と利?とを忘れて馬鹿者でなくて、どうして之れが
忍ばれよう。馬鹿になれ、馬鹿になれと亦一方の耳で囁く」。馬鹿力〈バ
カリョク〉だ。
           
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