2019年11月19日

◆嘗てロシアマフィアが資金洗浄に利用した

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月17日(日曜日)参 通巻第6280号 

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嘗てロシアマフィアが資金洗浄に利
用したのはキプロスだった
いまは沿ドニエステルとウクライナ東部にマフィアとFSBのハッカ
ー部隊

ロシアの諜報機関FSB(ロシア連邦保安局)と言えば、米国のFBIの
ような防諜専門ではなく、謀略を展開する秘密組織、前身はなく子も黙る
KGB。あのプーチン大統領の出身母体である。

中国軍のハッカー部隊ほどの規模ではないが、ハッカー専門部隊も持って
いる。

ビットコイン搾取で、ロシアのFSBが関与している疑惑が浮上した。

被害総額4億5000万ドル相当、発覚が遅れたのは「外国」扱いを受ける危
険地域からハッカー部隊がビットコインの取引所を攻撃したからだ。

小誌の2016年8月13日付けで、筆者は次の情勢報告をしている。

(引用開始)「ウクライナばかりか、旧ソ連圏の東欧諸国がプーチンに揺
さぶられている。

まずモルドバである。ルーマニアへの合邦復帰を望むモルドバは国内にロ
シア系の未承認国家「沿ドニエステル共和国」を抱えており、ロシア軍が
駐屯しているため、どうしてもロシアの顔色を窺う。2015年からわず
か一年でモルドバは、行政トップの首相が五人も交代したほどの政局不安
を抱えている(ちなみにロシアはトルコ制裁で農作物の輸入を制限したた
め、この沿ドニエステルからトマトを緊急に輸入していた)。

モルドバの経済沈下の発端は銀行のスキャンダルだった。モルドバの3つ
の銀行が中央銀行によって免許停止処分となった。原因はロシア財閥のマ
ネーロンダリングに手を貸していたという疑惑である。過去五年の間にロ
シア新興財閥はモルドバの銀行を通じて200億ドルを資金洗浄してい
た」(引用止め)。


 ▲モルドバがまた暗転していた。
 
そのモルドバのロシア人居住区は「沿ドニエステル」、事実上の独立国家
である。

ここにロシアのマフィアが蝟集し、ビットコイン取引で合計4億5000万ド
ルが、「蒸発」していた。モルドバ領内に、未承認国家ゆえに国際機関の
監視も行き届かず、沿ドニエステルは無法地帯とも言える。
ここが彼らの活動拠点となる。

馬淵睦夫氏は元ウクライナ兼モルドバ大使である。数年前に、「モルドバ
からウクライナへバスで入ろうと計画しているが、どの道を行ったら良い
か?」と尋ねたことがある。すると「沿ドニエステルを避けるバスルート
がありますよ」と助言を受けた。

モルドバの首都キシニューはこじんまりとまとまって意外に美しい街で公
園が多い。此処へはイスタンブール経由で入国し、3泊した。長距離バス
ターミナルからのオデッサ行きはミニバス、後の座席にはロマ(ジプ
シー)の母子が座り、騒がしかった。地図で見ると短い距離だが、国境の
検問に時間を取られ、六時間ほどかかったような記憶がある。

2016年に大統領選挙へのロシアのネット集団の介入は主にヒラリー陣営を
狙ったが、この作戦の主犯と見なされる「ファンシー・ベア」集団は、東
ウクライナが拠点である。

ウクライナの東部は、ウクライナ中央政府(キエフ)の統治が及んでいない。
 
ベルギーからの冷凍コンテナが英国に陸揚げされ、トラックのなかで、
「中国人」が39名死亡していた事件があった。偽の中国パスポートを保有
していたためだった。その後の調査で、遺体は全てベトナム人だった。


 ▲ベトナム ー 中国 ― ウクライナを結ぶマフィアルートが存在している

なぜこんなことが起きるのか。

ベトナムのマフィアと中国のマフィアが連携し、この闇ルートにウクライ
ナのマフィアが絡んでいるからである。かれらのドル箱となった密航ルー
トもまた、東ウクライナ経由だった。EUへの密入国ルートを利用する犯
罪者集団が、バックにあることが判明している。

嘗てロシアマフィアが資金洗浄に利用したのはキプロスだった。

その一部がマルタへ移動し、そのマルタは中国のマフィアが進出し、魑魅
魍魎の地域となった。そしてドニエステルとウクライナ東部に蝟集したマ
フィアとFSBのハッカー部隊が組んでいたという闇が浮かんだのである。

世界の闇は果てしなく深い。

       
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読者の声   どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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   ♪
(読者の声1)貴誌前号「読者の声」の投稿は印象的でした。即位式、大
嘗祭における雅な音楽は雅楽。そして投書子は、三島由紀夫の『蘭稜王』
を連想するという、当意即妙。そういえば、三島由紀夫追悼会『憂国忌』
は来週ですね。(DF子、千葉)

  ♪
(読者の声2)このところの貴誌の香港情勢分析ですが、ほかの大手メ
ディアがカバーしない詳細にふれていてとても参考になります。

大学が軍事要塞となって、学生が戦闘訓練をしており、「大学は武器庫に
なった」との口実で警官隊が導入され、激しい武力衝突が繰り返され、
まったくカルチェラタンンていどの騒ぎではなくなりましたね。

バルセロナで、チリで、フランスで、デモが大荒れですが、これらは香港
の影響でしょうか。
 
それはともかく中国大陸からの留学生は深センへ逃げ去り、台湾、日本か
らの留学生は帰国、そのうえ台湾は香港学生の編入を認める由です。
 こうなると香港の大学は向こう数ヶ月、授業がないことになり、卒業は
延びるのでしょうか。

昭和44年でしたか、東大入試が中止され、あのときの受験生らは、京都大
学、東北大学や早慶に流れました。香港大学、中文大学という老舗名門校
も、そういう宿命になるのでしょうか。

縁戚の子が香港に留学しているので心配です。(TY生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)小生のまわりにも、あの年、東大を受けられな
かった後輩たちがいます。それぞれ京都、東北そして早稲田、慶応へと散
りましたが、ひとり京都大学へ行ったT君は、翌年また東大を受け直して
合格しましたっけ。

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