2019年12月21日

◆米国民主党の弾劾訴追決定で

宮崎 正弘


令和元年(2019)12月20日(金曜日)弐 通巻6314号   

米国民主党の弾劾訴追決定で、逆にトランプ支持率が上昇した不思議
  世論調査も弾劾反対が弾劾賛成を上回った

まさに民主党の自爆テロ。共和党幹部は「自殺行為」「論理より感情が優
先した」と批判したが、次の選挙、民主党の惨敗が予測されている。
 弾劾と言えば、なにか犯罪的な物騒なイメージがあるが、メディアの報
道姿勢が、状況を作用する。

本質を理解するには日本の国会における与野党の駆け引きと照合すればよ
い。野党が根拠の薄い内閣不信任案を出しても、まったく可決の見通しが
ない。なぜ出すのか? 国会戦術である。だが、そういう議会運営で支持
拡大をはかろうとしても、野党に国民の失望は深まる。

下院民主党の弾劾決議で、逆にトランプ支持率が上昇した。不思議という
より共和党が団結したからだろう。また世論調査も弾劾反対が弾劾賛成を
上回った。共和党にむしろ追い風が吹いた。

嘗てニクソンを嫌った左派メディアの猛烈な批判が議会人を揺らし、与党
を動揺させたため、ニクソン大統領を弾劾決定寸前まで追い込んだ。ニク
ソンは直前にフォード副大統領に譲り、カリフォルニアへ去った。

ところがクリントンとなると、あれほど証拠が揃ったにもかかわらず、左
派メディアはクリントン擁護のキャンペーンを巧妙に演出し、ついには弾
劾に至らなかった。つまり左派の援護射撃で救われたのだ。

ならばトランプはどうか? メディアを国民はまったく信用しないという
報道空間が、過去のパターンを変容させている。

民主党の大統領候補は、この段階で7人が残り、バイデンを追うが極左の
サンダーズとウォーレンになった。

民主党が分列を回避し、団結するためには中間派のバイデンを選ぶしかな
いが、ウクライナ騒動で、金に汚いバイデンというイメージが出来上が
り、当選には覚束なくなった。だから来年11月、トランプのランドスラ
イド(地滑り)勝利が展望されている。

      
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BOOKREVIEBOOKREVIEW
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スティーブン・ムーア、アーサー・B・ラッファー著、藤井幹久訳
  『トランポノミクス アメリカ復活の戦いは続く』(幸福の科学出版)
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4年前(2015年)の6月、不動産王のドナルド・トランプがNYのトラン
プタワーに内外記者を集めて立候補宣言をしたとき、メディアの殆どがピ
エロ、泡沫候補として扱かった。

ただし、当時、立候補を噂された共和党16人の候補者の中でトランプは
TVでも顔を売っていたからダントツに有名人だった。

その記者会見でトランプは1冊の自著を配布した。「障害を背負ったアメ
リカ」という著作には、以後にトランプが打ち上げる政策のすべてが網羅
されていた。ところが真面目に通読したジャーナリストはいなかったらし
く、内容は話題にもならなかった。

日本でも当該書を取り上げたのは、じつは評者(宮崎)だけだったような
記憶がある。

2016年があけて予備選の幕が切られようとしていたとき、本命視され
ていたのは保守本流のブッシュ(弟)とマルコ・ルビオ(フロリダ州、上
院議員)、茶会系からはテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)、
ウォール街が期待したのはケーシック知事だった。前回に負けたミット・
ロムニーの名前も欄外にあったが、誰一人トランプに眼をやるジャーナリ
ストはいなかった。

すなわち米国の政治環境はエスタブリシュメントを基盤に、グローバリズ
ムに酔っていた。

アウトサイダーのトランプをまともな候補とは見ていなかったのだ。

著書のラッファーらは振り返る。
 
「選挙運動のコンサルタント業者を通じて、政治評論家、選挙スタッフ、
世論調査会社、広告会社などに大金を払うというやり方を、(トランプは)
完全に覆してしまった」

だから「共和党の職業政治家たちは、トランプを嫌っていた。そして、現
在でも嫌っているのだ」。

共和党選挙関係者は、「自分たちの存在を脅かす危険な前例とならないよ
うに、徹底的にトランプを叩きつぶそうとして」(40p)

トランプは選挙プロに頼らないで素朴な人々、底辺の人々に訴える。トラ
ンプは草深い牧場、農場、そして教会を重要視した。

奥深き雪国の奥地に、その村始まって以来の大集会が開催されていた。こ
のアメリカの田舎の集会に注目したのは週刊誌『TIME』だった。人口
2万足らずの村に1万近い村人が雪を構わずに集まりだした。雪と寒さに
耐えながら、じっとトランプの到着を待っていたのだ。村、始まって以来
の動員は自然発生だった。トランプ旋風のうねり、奇跡の驀進劇が始まろ
うとしていた。

以後、中西部のエバンジュリカルの集会は、2万、3万の人が集まりだし
た。トランプが来るというので、奥地の町や村が騒ぎ出した。

予備選がスタートするや選挙プロ達の想定になかったことが起きた。意
外、トランプがトップに躍り出た。
 
「まさか、こんな莫迦なことがおこるなんて」。
 
保守本流はブッシュ擁立を諦め、ルビオ議員に集中して支援した。ネオコ
ンはクルーズだった。ウォール街はケーシック知事だった。

予備選で次々とトランプがリードをはじめると、初めて共和党が焦り、ネ
オコンや保守本流、ウォールストリートが、本命候補をそっちのけでトラ
ンプ批判を始めた。

共和党あげて、トランプ選挙に冷淡だった。党は、とうとう最後までトラ
ンプに冷たく、予備選に勝利しても、選挙協力をするどころか、トランプ
を落選させよう、ヒラリーに投票しようという呼びかけが、それもブッ
シュ政権の幹部だった人々が五十名の連名で声明をだした。つまり共和党
もいつしか、ディープステーツに乗っ取られていたのだ。民主党と通底し
ているからである。

共和党の分裂と大混乱の事態を喜んでいたのはヒラリー陣営だった。共和
党が分裂し、悲惨な結末になるだろう、多くのジャーナリストらは、もち
ろん、ヒラリーが当確と予測していた。

評者は現地へ飛んで選挙集会より街の表情と庶民レベルの反応を探った。
例えばNY42丁目に有名なお土産屋がある。トランプ人形は飛ぶような
売れ行きに対して、ヒラリーを土産にする人がいない。書店にはいると、
トランプの著作はベストセラーだった。ヒラリー本は片隅にあるが、だれ
も買わないではないか。

さて本書である。

予備選直前からトランプ選対に集合し、経済政策のアドバイスをしていた
3人の男たちがいた。自弁で飛行機大を支払い、手弁当でNYのトランプ
タワーに集合し、予備選から本番にかけての経済政策の公約を煮詰めてい
た。トランプと何回も会合を重ね、大型減税や、規制緩和、失業対策、オ
バマケアの廃止など、アメリカが復活に向かうシナリオが用意された。

それが本書の著者、スティーブン・ムーアとアーサー・B・ラッファー。
もうひとりがラリー・クドローだった。クドローは経済番組をもつ有名人
で、トランプによって国家経済会議の委員長となったため、本書執筆に連
名から降りた。

ムーアはヘイティジ財団のフェロー、元ウォールストリートジャーナルに
いた。

ラッファーはレーガン政権のブレーンとして活躍し、税率と歳入のグラフ
を描いたラッファーカーブで知られる経済学者である。

彼らがトランプとの懇談を重ねながらも選対本部の実態をつぶさに見てき
た。あまりに少ないスタッフ、素人の選挙軍団。ヒラリー陣営の二十分の
一しか戦力がないのだ。テレビCMをうつ予算もなければ、大口の寄付は
限られていた。目に見える劣勢にあった。

本書の魅力のひとつは、このインサイドストーリーである。

とくにカメレオンのように論調を変化させながらも、トランプに極度に冷
たかったのが投資家やエコノミストが愛読するウォールストリートジャー
ナルだったことに、私たちは印象深い感想を抱くだろう。著者らはそのこ
とを指摘する。

選対では「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」などの
力強くパンチの効いた標語などが決められていく。

メディアは本番がはじまっても、ヒラリー優勢の報道に凝り固まってい
て、例外はフォックニュースだけだった。

ところが、この劣勢状況をトランプはSNSのツィッターを利用してメッ
セージを連続発信したため、トランプのメッセージがTVニュースや新聞
種になった。トランプの集会は立錐の余地がない。一方でヒラリー集会は
観客で会場が埋まらず、テレビは小細工して、全景を撮影せずにヒラリー
だけをアップに、トランプ集会も熱気に満ちた会場風景を意図的に撮影せ
ずに、トランプの失言だけを報じる情報操作、印象操作に明け暮れた。

予備選たけなわの頃、評者もアメリカへ行って、日本の報道実態とリアル
との、あまりの格差に唖然となって、すぐに『トランプ熱狂、アメリカの
反知性主義』(海竜社)を緊急に上梓した。

当選後は、景気が回復するだろうとして『トランプノミクス』(同)を書
いた。本書は「プ」を「ポ」と一字違いだ。トランプはゲームのカードだ
が、アメリカの語感には『切り札』という意味がある。当時のトランプ陣
営のインサイドストーリーは、じつに面白い。
        
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS  読
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(読者の声1)商社勤め四半世紀の読者です。ぶっ飛んだ話題になり恐縮
ですが、自分はたぶん宮崎さんより海外渡航は多いと思います。出張ゆえ
に行く先は限定的で、自分の場合は北米と欧州が多い。休暇を取れば欧州
をビジネスクラスで往復できるほどマイルも溜まっていますが、休暇が取
れないので、宝の持ち腐れ、友人に譲渡できないので、結局、無駄になる
こともあります。

で、本稿は飛行機の話です。日系の航空会社を利用するばかりでは能がな
いと、外国キャリアに乗ることが多いですが、日本ではスチュワーデス
(いまはエアホステルと言いますが)がエリート、女性の憧れの職業だっ
た時代が去って欧米と同様に、機内の給仕のような、憧れの職場ではない。

れが鮮明になるのが、スチュワーデスのサービスの質の低下です。米国は
中年のおばさん、食堂のホステスさんのように、労働者という感じです
ね。ロシアの機内食では、皿を投げて寄こしたり。

対照的に途上国のキャリアに乗ると、スチュワーデスは俄然エリートです
から、サービスも良ければ、質も高い。食事のまずさとは無関係に美人が
揃う。台湾は往時、国民党幹部の娘達が優先してスチュワーデスでした
が、昨今はエバエアーのほうが、評価が高くなりました。

というわけで、海外旅行の機会の多い宮崎さんは、最近のエアラインの
質、評価など聞きたいとおもってメールをします。(ABC生)


(宮崎正弘のコメント)小生は還暦以後は、日本の航空会社を選ぶことが
多いです。なぜならサービスと食事に安心感があるからです。帰国便に蕎
麦や寿司が用意されていたり、やはりサービス精神の質の高さは維持され
ています。ただし往時のようなエリート意識はなく、職場のひとつという
認識が、搭乗員にもあるのでは?

というわけで、小生より、面白いランキングがあるので紹介します。なん
と中国の『環球時報』が各国航空会社キャビン・アテンダントの『美人ラ
ンキング』を作りました。

中国共産党系のメディアにも余裕が出たのでしょうか。

中国人の審美観を基礎に選んだランクに従うと、第一位はエアフランス、
二位がシンガポール航空。三位以下は深セン航空、アエロフロート、ルフ
トハンザ、タイ、エバエアー、ヴィージン、エミレーツ、そして十位が
キャセイでした。中国系が十位のなかで四つを占めていてあからさまな依
怙贔屓。そして憧れの抽象化ですが、日・米が入っていませんね。

彼らの感情の代弁とも取れ、政治的意図があまりにも露骨です。ま、人民
日報系のメディアですから、そういうことでしょう。

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