2020年01月18日

◆台湾総統選に勝った民進党、戦い済んで

                                    宮崎 正弘
 

令和弐年(2020)1月15日(水曜日)弐 通巻6340号   

台湾総統選に勝った民進党、戦い済んで、「勝利の美酒」も醒めて
次の目標は2024年、頼清徳(副総統)政権の実現ではないのか?

1月11日、結果は以前から小誌も予想した通り、台湾総統は蔡英文が再認された。

上初の810万票という「勝利の美酒」に酔うのは1夜限り。結果を分析すれば、投票率が75%で若者の参加が目立ったのに、この新有権者は民進党ではなく、新党へ流れていた。

何を言っているのか、よく分からないがニューモードの「台湾民衆党」(何文哲台北市長が率いる)がいきなりの五議席。この犠牲となって宋楚諭の「親民党」は4・6%の得票があったにもかかわらず(5%ルールに従って)五議席からゼロへ。まさに壊党の危機に陥った。つまり新旧交代がはっきりと出たのだ。新世代からすれば、民進党も古いのだ。

同時に民進党は立法委員選挙では7階席減、国民党は3議席増となり、支持率は国民党が6%増だった。具体的な数次をみると、これでは「大勝利」とは言えないのである。

この事実は重要である。台湾の有権者は満腔の賛意を示したのではない。それもこれも蔡英文への「消極的」な支持であることを証明しており、他方で国民党は「中国共産党の番犬」でしかないが、いまだに39%の台湾有権者が、この政党を支持しているという奇妙な乖離をいかに説明できるのか。

今後4年、台湾政治が前途多難なことは指摘するまでもない。

当面、一国両制度をきっぱりと拒否し「現状維持」を継続しつつ、アメリカの支援を拡大し、2024年に備えることになるだろう。

極言すれば、蔡英文政権は次の独立を主張する政権への「つなぎ」であり、2024年に頼清徳政権実現へ向けて、党内結束を強固な態勢とする必要に迫られる。

民進党支持者の多くが頼清徳を信任するのは、かれが台湾独立を明確に志向しているからだ。

アメリカで言えばペンス副大統領のように、安定を堅持しつつも、着実に実績を積み上げる。頼清徳にとって次期総統への道は険しいが、難関はむしろ党内の4つの派閥をうまくまとめる指導力が発揮できるのかどうかにかかっている。

五月の正式就任まで、頼清徳(副総統に就任する)はフリーの立場にある。

ということは、訪米、訪日のチャンスであり、日本にきて人脈を増やし、或いは安部首相と懇談の機会も設営が可能、靖国神社への参拝も、現時点では自由は立場だから北京としては歯ぎしりしつつ、見ている他はないだろう。
 
ともかく台湾総統選挙、大勝という印象と実態とはかくも隔たりがある。


 
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2017回】                
 ──「支那を亡すものは鴉片の害毒である」──上塚(35)
 上塚司『揚子江を中心として』(織田書店 大正14年)

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1896年にフランスとの間で契約が締結された?越(昆明=老開)鉄道を皮切りとして、1916年までの間に、イギリス(7路線)、白耳義シンヂケート(3路線)、フランス(2路線)、四国財団(2路線)、アメリカ(5路線)、日本(1路線)と、「揚子江流域の鐵道は、悉く列強の手に委せられ、列強は此の利權を基礎として牢乎たる勢力を扶植し、若し此の情勢を以て推移したならば、支那は分割乎、然らずとも、鐵道の共同管理は是れ當然の運命であつた」。

鉄道建設に関する借款問題が「辛亥革命の導火線とも稱すべき」動きを誘い、やがて革命が勃発し清朝が崩壊し、中華民国が生まれる。だが、全国混乱は続く。この機を逃すまいと、「邊境の疆域至る所に蜂起した。就中蒙古及西蔵の兩域は率先して自主獨立を宣言する」。この動きを見透かしたかのように、「露、英の巨腕が一は蒙古に向つて、他は西蔵に對して振るはれたのは言ふまでもない」。

辛亥革命を達成し中華民国を打ち立てたとはいえ、財政危機という現実は避けようもない。そこで革命のキッカケとなったはずであった「鐵道利權は、續々として革命政府によつて列強に濫與さらるゝに至つた」。そのまま第1次世界大戦が勃発しなかったなら、鉄道利権をテコに列強による搾取・支配構造は定着化しただろう。


だが、戦争によって、ヨーロッパ列強は中国利権どころではなくなってしまった。その間隙を衝いて「支那に於て其の勢力を伸張しめたものは、日本と米國とである」。


日本は「日英同盟の誼によつて聯合國に参加し」、東洋におけるドイツの権益を押さえた。その一方で「工業は振興し、商圏は擴張せられた。一躍して債權國となり」、「盛んに支那の借款に應じ」、「此の勢に乘じ對支21ケ條を提出した」。その結果、「猛烈なる反對が四方から起つた、排日を叫び、不賣同盟が至る處に勃發した」。


そんな「日本より以上に其の勢力を支那の上に植付けたものは米國」である。じつは第1次世界大戦参戦によって莫大な富を得たことから、アメリカが進める「資本主義的侵略政策は、其の有効な投下地を求むるに汲々であつた」。であればこそ、「彼の眼が、特に廣莫たる老大支那の上に注がれた事は、之れ當然の成行と云わねばならぬ」。そこで後発国としては、先行していた「各國に向つて、其の勢力範圍を撤廢させ、門戸を開放せしむるより外に途は無」かった。

戦争の結果、「歐州の列強は疲弊困憊」の極にあり、アメリカの敵ではない。「東洋に於ける障害は一日本あるのみ」となったところで、「果然1917年11月、彼は日本に向つて、支那の門戸開放、機會均等を誓約せしめた」。この石井ランシング協定をキッカケにして「米國の弗費は、自由に支那を闊歩するの見込みがついたのである」。また「聯合國側に組して獨墺に宣戰」したことで、「支那の得たる収穫は非常に大なるものがあつた」。

「(辛亥)革命後、洪水の如く全國に?流せる思想上の變化は、歐州大戰の結果更に徹底し、讀書生は勿論、店頭の小僧さへ、自由を論じ、民主、共和を議するに至つた。婦人の間には參政權の要求が叫ばるゝに至つた。就中米大統領『ウ井ルソン』の提唱せる民族自決主義は、束縛、侵犯、凌辱、四面梗塞の支那に取り天來の福音だつた」のである。

 このような状況下で始まったゆえに、「支那は此の機(ヴェルサイユ講和会議)に於て、あらゆる利權を回収せんと猛烈なる活動を開始し」、「遂に支那は、我が日本が多大なる犠牲を以て攻略したる山東一帶の利權を無代償を以て還附せよと暴言を吐くに至つた」。

「之れに對する日本の拒否は米國の煽動と相俟つて果然支那の排日熱を激發し、其の勢は燎原の火の如く全國に廣がつた」のである。
やはり排日の背後にアメリカあり、なのか。《QED》
    
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)革命前のイラン。40年前といえば一昔前で、憶えている人が減ると「洗脳」は簡単に出来る様になる。いや違う、という年寄りがいなくなる。大正時代の「モボ・モガ現象」あるいはGHQ支配下における3S(スポーツ、セックス、スクリーン(米国の映画)による極端な西欧文化礼賛、があった事も忘れられる。

1970年代には西欧ではビートルズなどによる体制の文化全否定が世界同時に起こり、若者のファッションは劇的に変化した。

イランもその影響を受け、当時の画像を見ると街には大きなアメ車があふれ、女はミニスカートを、男は長髪のビートルズの様で、まるで当時の米国の大学と見分けがつかない。つまり当時のイランは米国の一部の様な文化、自由と富を享受していた。彼らはまだその記憶があるから、現在宗教政権の抑圧に強く抗議している。

問題は日本の国内情報統制である。

マスゴミ、NHK、朝日など支那の「国立公共放送」の様な役割を嬉々として受け入れ、政府からはその謝礼をいただく、という共謀・癒着が現在も進行している。その例がこの「イラン革命前」の情報遮断である。

日本政府は、石油のためなら何でもとりあえず主義主張道徳同義宗教など関与せずと「アメリカの顔色を窺いながら、可能な範囲でイランとの関係を維持、強化する」方針を決め今日に至る。故に厳格なイスラム教政権を批判せぬ様マスゴミに通達し、日本国民はその様に洗脳される。

この様な情報操作は現在の対支那外交にも当てはまれ、支那占領軍共産党に阿ってチベット、ウイグル、臓器移植、人民弾圧などなど、GHQも感心するほど見事に「自主規制」されている。台湾も簡単に裏切って、今頃になって少し反省する様になった。

もちろん、国家運営は臨機応変にしかも短期・長期の国益の最適な解を求めて行う、べきではあるが、全国民の知識まで完璧にとりあえず操作してしまうと、その人工的に作った認識・情緒・価値観が国の政策にいずれ影響し、狂った方向に行く、行った、という日本の歴史がある。

山本七平氏の「空気の力学」であり、今回のゴーン氏の国内情報・有識者の特捜礼賛的な異様なまでの99%の「団結した意見」に国家の危険な脆弱さを見る。

特捜の99%有罪獲得率とは、99%危険な国の運営のフラクタルな仕組みの一例でもある。クワバラ、クワバラ。
   (KM生)
  
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(読者の声2)貴誌1月9日付通巻6337号で(アポトーシス)氏が「山本長官の脳裏には、日露戦争中、日本海で常陸丸・佐渡丸がロシア=ウラジオ艦隊に撃沈されると、民衆が第2艦隊長官の上村彦之亟の自宅に投石した、という生々しい、民衆不信の記憶があり、海軍は開戦劈頭に打ち上げ花火というか、華々しい戦果を挙げねば、民衆は米英との戦争にとても耐えられないと考えたと。「実際、その通りになった」というか、山本長官の思考のベクトルは、椿本氏の思考のベクトルとは逆向きだった、という事なのでは?」

と述べられている点ですが、
 
一般的には、山本案に基づくミッドウェー作戦(山本はもともとミッドウェー政略作戦には反対しており、それを強引に認めさせたのは首席参謀黒島亀人大佐である

という説もあるが)に対して、軍令部では反対論が強かった中で、ドーリトル空襲が発生したことから、軍令部の雰囲気も変わったと言われています。しかし、ドーリトル空襲など、どう見ても単発的で、反復継続的な作戦ではない、いわば米国内世論向けのショー的なものに過ぎず、山本五十六は過剰に反応し過ぎたのではないか、と私は考えます。生出寿氏は「真珠湾攻撃という大ブラフ(こけおどし)でアメリカをひっかけようとした山本が、逆手をとられてアメリカの小ブラフにひっかけられた感がある」と述べておられますが、同感です。

三村文男氏(『米内光政と山本五十六は愚将だった』の著者)は「(ドーリットルによる)4月18日の東京発空襲の時も、私(三村)は東京にいて敵B25が飛ぶのを見たが、戦争だからこういう事もあるだろうと思っただけだった。ところが山本は余程のショックだったようで、その後の作戦に焦りと狂いが出て来るのだ」と述べておられます。

次に、1月14日付通巻6338号の「読者の声」意見について、簡単に私見を述べます。

まず、現下の問題を考えるにあたっては、「他人の経験(歴史)」に学ぶことは不可欠であり、ましてや「自分の経験(自国の歴史)」に学ばない、学べないのでは、大馬鹿というほかないということです。

次に、過去の歴史を見るに当たっては、政略面、戦略面、戦術面は、それぞれに別個の問題として論じるべきだということです。

すなわち、たとえ、日米戦争に自存自衛の側面があり、その勃発において、ルーズベルト、スターリンの謀略、挑発があったとしても(政略面)、そして、それが主観的には「やむを得ずにした行為」だと主張できたとしても、だからといって、英米に対する宣戦、先制的開戦が正当化、妥当視されるというわけではない、ということです(戦略面)。
 
開戦に踏み切った行為が、少なくとも主観的には、「やむを得ずにした行為」と主張し得たとしても、真珠湾奇襲というような作戦を実施したこと(宣戦通告が遅れたという点は決定的に重大な問題ではなく、いずれにしても米国の反応はそう変わらなかったのではないか)が賢明であったかというのは、さらに別の問題点だということです(戦術面)。

戦前の軍部についての評価ですが、負ける戦争をやったこと自体が愚かなことで、それに尽きるのではないか。孫子でも、「無謀な戦争はしない。戦争を決断する前に、戦争をするべきか避けるべきか、被害の大きさなどを考える」ことが肝要だと述べられています(始計篇)。

なお、守屋洋氏は、「大昔」に書かれた「孫子の兵法」を、以下の7つに集約されるとしています(Wiki)。
これらの諸点を総合的に精察して、東条英機や戦前の軍部が賢明であったか否かは明白だと私は考えます。
1. 彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。
2. 主導権を握って変幻自在に戦え。
3. 事前に的確な見通しを立て、敵の無備を攻め、その不意を衝く。
4.
敵と対峙するときは正(正攻法)の作戦を採用し、戦いは奇(奇襲)によって勝つ。
5. 守勢のときはじっと鳴りをひそめ、攻勢のときは一気にたたみかける。
6. 勝算があれば戦い、なければ戦わない。
7. 兵力の分散と集中に注意し、たえず敵の状況に対応して変化する。
        (椿本祐弘)


(読者の声3)昨晩のフロントJAPAN番組「台湾総統選挙総括」(福島香織)「香港から見た台湾選挙と香港のこれから」(宮崎正弘)は下記でご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=fDsG5iK9cw8
 宮崎正弘の香港問題の解説は同番組の54分ごろから1時間12分までの部分です。(編集部)



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(読者の声4)ラジオ日本から番組のお知らせです。17日、金曜日)の「マット安川のずばり勝負」に宮崎正弘先生が生出演します。時局から国際情勢の分析を、マットさんとの対論のなかで、開陳します。

またリスナーの皆さんからのご意見、質問も受け付けています。番組中にメール送信先のメルアドも放送されます。
 宮崎先生の出番は17日午後1240頃から1357までの予定です。
  (ラジオ日本「マット安川のずばり勝負」番組担当)


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