2020年01月23日

◆狂った現実

三橋貴明


世界のある場所に、政治家が、
有権者である国民に対し、

「お前たちを貧しくする政策の
 達成時期が遅れる!」

と叫び、国民が、

「何やっているんだ!
 早く、俺たちを貧しくしろ!
 政府は怠慢だ!」

などと大騒ぎしている国があったら、
どう思います?

自分たちを貧しくすることを政治家に要求する
って、一体、何を考えているんだろう?

と、疑問に思うところですが、
実は我が国です。

何しろ、プライマリーバランス
(基礎的財政収支、以下PB)の黒字化を
政府が目標に掲げているわけです。

「民間収支+政府収支+海外収支=0」

です。
上記は、地球に住んでいる限り、
どうしても逃れられない公式になります。

日本政府(内閣府)は海外収支の赤字
(=日本の経常収支の黒字)について、
高い水準(対GDP比4%弱)で
推移し続けると設定しています。

この設定自体に無理があると思いますが、
その上で、政府はPB黒字化、つまりは
「政府収支の黒字化」を目指している。

となると、
コインの表の反対側が裏であるのと同様に、

「民間収支の黒字が削減される」

ということにならざるを得ません。

実際、1月17日に内閣府が示した
「中長期の財政試算」では、民間収支は
2019年の対GDP比6.6%から、
2029年には2.3%に
減らされてしまいます。

現在の「グローバリズム」に基づく
企業優先の政治を考えると、
「民間の黒字減少」の主役が「家計」に
なることは明らかです。

つまりは、社会保障支出のカット、
社会保障負担の引き上げ、さらには
消費税増税など、家計を貧困化させる
政策がこれからも続くことになります。

しかも、2019年10月の
消費税増税により「アベショック」が
始まってしまいました。

景気動向指数を見ると、DIが10月、
11月と二か月連続で「ゼロ」という
信じがたい状況になっているのです。
つまりは、改善している指標が一つもない。

景気が落ち込む中、政治家が、

「お前たちを貧しくする政策の
 達成時期が遅れる!」

と悲嘆にくれ、マスコミが
「財政健全化へ多難な道のり
 アベノミクスに陰り(産経新聞)」
といった見出しで、
「国民を貧しくする目標の達成時期が遅れる」
ことを危機として煽る。

この狂った現実を
何とかしなければなりません。
とりあえず、多くの国民が、

「政府のPB黒字化目標は、
 国民赤字化(貧困化)目標である」

という事実を知る必要があります。
at 08:09 | Comment(0) | 三橋貴明
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